JL491便の機内では、いつもならすぐに爆睡する長女が、意外にも起きて本を読んでいる。逆に、本を読んでいるから寝ないのかも知れない。
 長男は、窓の外を見て「関空だ!」と言っていたが、ルートと経過時間を考えると見える筈がない。恐らくセントレア(NGO/中部国際空港)と勘違いしているんだろう。一旦ベルトを外し、窓の傍に行って一緒に見てみた。最前列のバルクヘッドなのでできる芸当ではある。
 案の定、セントレアで、「ほら、滑走路1本しかないよ。関空なら2本ある。それにその向こうに川が3つ絡まって並んでいるのが、木曽川・長良川・揖斐川で、あれは伊勢湾。大体、淡路島がないじゃん」と「解説」。

 

 8時42分、ベルトサイン再点灯。途中、コクピットから「西風が強いため10分程度遅れる見込み」とアナウンスがあったが、窓から見える景色からすれば、さほどの遅れにはならなそうだ。
 果たして、8時53分に、KCZのRWY32にランディング。ブロック・インは8時58分で、定刻8時55分に対しては3分遅れだった。

 

 預けた荷物を受け取り、予約してあったレンタカーのカウンタへ。
 色々と考える所があったため、今回はバジェット・レンタカーを予約した。金額はほとんど同じだったのだが、敢えて小型車ではなく軽自動車で予約。高知県の山間部は、郵便局があるような道でも、半端なく狭い所が多かったりする。
 送迎車で営業所へ運ばれ、借りることになったのは、マツダ・HB35S「キャロルエコ」。スズキ・HA35S「アルトエコ」のOEM車である。

 レンタカー営業所で手続をして、龍馬パスポートにスタンプを貰う。乗車人員分は押してくれるようなので(他業種の店舗では500円以上の買物という「閾値」設定が多いので、単価の高いレンタカーではこのような対応なのだろう)、筆者の「ブロンズ・パスポート」の代わりに来ていないXYLの「赤パスポート」を入れて3冊出した。
 筆者と長女のパスポートは、前回のKCZ遠征(日祝日だったため郵便局はATM入金のみ)で。2段階目の「赤」から3段階目の「ブロンズ」になっていたが、XYLと長男のパスポートは「赤」のままで、クリアまで残り1つ、という状態になっていた。これで、全員が「ブロンズ」になることができる。

 

 レンタカー営業所を後に、香南市役所のある野市(旧・香美郡野市町)方面に向かい、既訪の64748:山南簡易局前を通って、県道231号線(福万)経由で行くことを考えていた。
 ところが、うっかり通り過ぎてしまったので、多少、峠道になってしまうが、距離的には短くなる県道221号線(稗地)経由のルートで行くことにした。この両者は山川で合流するのだが、結論から言って、稗地経由は険しい道だった。稗地まではいいのだが、その先がとんでもない悪路、というか隘路。軽自動車で良かったとつくづく思った。

 

 どうにかこうにか、本日の最初の目的地である64823:東川簡易局を訪問。通算6,703局目としてテーリングをスタートする。と同時に、(平成の大)合併後初になるので、香南市のJCCカウントも増える。


 ネーミング的に、かつての45703:東の川簡易局を思い出してしまうが、途中の道のとんでもなさは(距離が短いとはいえ)結構いい勝負だが、そこまでの「秘境」ではない。
 ここは前年の2015年4月までは直営局(局所コード:64066)で、簡易郵便局となってからは、まだ1年半少々。直営局(民営化前は特定局)時代に訪問することが叶わなかったのは心残りではある。

 

 さて、ここからは更に県道221号線を奥へと進み、先ほどと同じようなカーブの多い隘路が続く。奈良という集落の近くで左折し(221号線は、この先も奥西川という集落を経て県道51号線に合流するが、どの道を経由しても、この辺りに来るには「とんでもない道」経由になる)、県道224号線へ。
 小川沿いに2キロほど進むと、県道30号線に突き当たる。ここで左折すれば、64737:香北西川簡易局がある。名前で察しが付くとおり、香南市(旧・香美郡香我美町)から香美市(旧・香美郡香北町)に入っている。


 ところが、この香北西川簡易局、何と12月30日は休業であった。いつもなら、ある程度下調べするのだが、年末でバタバタしていたことや、土地勘のある高知県内ということもあってか、それを怠ってしまった。

 2局目にして「凡ミス」をしてしまい、動揺したのか、更に傷口を拡げてしまう。既に県道30号線に入っていることを失念したのか、香北西川簡易局へ入ってきた道を引き返すのではなく、さらに先の方向に「何となく」スタートしてしまった。


 この後は、香美市の旧・香北町や旧・物部村域(64041:美良布局と64054:大栃局のみ既訪)を巡る予定で、取り敢えず香北町美良布方面に向かうつもりだった。西川から美良布への県道30号線は、さほど険しい道ではない、少なくとも先刻までの道とは「雲泥の差」の筈だった。

 ところが、道を進むにつれて、どんどん険しくなっていく。そうこうするうちに、再び香南市に入る看板があった。
 本来なら、ここで気付くべきだった。また、ナビをもっと広域表示にしていれば、気付いた筈だ。そして、山間のため陽射しが届かず、方向感覚を失っていたのもあったかも知れない。
再び、険しいカーブの続く隘路になった。後で地図を見ると、香南市の香我美町中西川上組の奥辺り。その先は緩やかな下り坂の、比較的カーブの少ない道になったが、現れた標識を見て驚いた。

 

 「山北……」

 

 それは、香我美町山北。64132:山北局の近く。何と、ぐるっと回って元の場所(山南簡易局付近)近くに戻って来てしまっていた

 

 もう、ここから美良布に向かう気力は失ってしまった。

 そもそも、旧・香北町エリアでは、美良布局を除いて未訪のまま残っているのだが、そのうち64750:五百蔵簡易局は、2015年5月から一時閉鎖中。場所的には、そのうち再開されてもおかしくはない地域のため、そこだけが残ってしまうことになる、という懸念は抱いていた。

 

 この際、香北町域は、今回すっぱり諦めよう。

 出発前の計画上、このエリアの他に候補に挙げていたのが、須崎市。
 ここからは距離があるが、南国から高知自動車道を利用すれば、比較的簡単に行けそうだ。

 取り敢えず、南国市街を目指して走ることにした。

 

 ~ つづく ~