厄除大師の真向かいに、佐野市観光物産会館がある。ここは、過去の参拝の際にも立ち寄ったことがある。お手洗いを借用しに入ったようなものだが、「真田父子『犬伏の別れ』の地」の幟がドーンと設置されている。世の中何でも「真田丸」だな、と思ったのだが、この時はあまり深く考えていなかった。


 真田の本拠だった信州・上田は、実は筆者にとって「第何番目かの『実家』のような所」だ。若い頃、あちこちを放浪するうち、足繁く通うようになった街が幾つかあり、その一つが上田だった。正確には、上田市の別所温泉地区を含む、所謂『塩田平』なのだが、上田交通別所線が主な足。そのため、乗換も含め、上田市街は多少土地勘があるほどには歩いている。
最近ではずっとご無沙汰しているが、別所温泉の「上田まほろばYH」には数十泊はしているし、夏祭りの「上田わっしょい」にも何度か参加している(多分、今でも踊れる)。
 

 元々、子供達の迎えの時間までには帰らなければいけない、と計画していたが、最近「秋の花粉症」気味らしく、XYLが「放課後、耳鼻科に連れて行く」とのことで、帰宅時間の制約が緩くなった(それでも19時くらいには帰宅せねばならないが)。ということで、余裕ができたので、両毛線の北側に転戦する。

 

 地図を見れば誰でも考えそうなベタなコース取りで、07267:佐野堀米西局と、07097:佐野堀米局を訪問し、そこで15時過ぎ。まだ行けそうな気もするが、ルートの流れ的に、次に行くべきなのは07136:佐野犬伏局となる。これが道なりで凡そ1.5kmくらいありそうだ。
 時間的には間に合うが、帰りのこともある。両毛線、東武佐野線とも本数は多くない。それに、若干疲れてきた。

 

 計画段階から、犬伏局は、少し遠いな、と思い、ターゲットリストからは外れていた。
 しかし、先刻の観光物産会館の『幟』で、その「犬伏」が、あの「犬伏」だったことに気付き、ちょっと心が揺れた。

 また、かつて両毛線には、佐野の隣に「犬伏」駅が存在した。が、佐野-岩船間の複線化用地の確保の際に休止(1966年12月)となり、国鉄の分割民営化時に、正式に「廃止」となったらしい。

 もしも、今でも犬伏駅が健在だったら、郵便局ではなく駅名で、真田父子の「犬伏の別れ」の舞台がこの地だと、すぐにわかったかも知れない。それだけ「駅名」というのは、とりわけ「鉄」分の濃い人間には、大きな存在なのだ。


 だが、仮に行ったとしても、その足で「薬師堂」を見に行ったりするのは厳しく、中途半端に終わってしまいそうだ。それならば、最近、何故か急に「歴史」にはまり、毎週食い入るように「真田丸」を観ている長男を連れて、後の機会に来るほうが建設的か。その時には、「七軒町」改め佐野赤坂局を訪問することもできるだろう。

 長男の歴史好きは、何の弾みか相当なもので、どう考えても小学校4年生のレベルではないのだが、それはまたの機会に。先日は「今日は(草刈正雄演じる)『昌幸』(幸村の父)が死ぬから、見なきゃいけない」などと言っており、その辺の「昌幸ロス」とか言っている主婦か、お前は……と突っ込みたくなった。

 

 ということで、佐野駅に戻った。

 16時が近いので、もはやテーリングは考えない。

 

 ふと考えると、東武佐野線は、未踏なのではないか、と思う(帰宅後確認すると、そのとおりだった)。

 それどころか、東武伊勢崎線系統は、伊勢崎線を太田まで乗っているだけで、それ以外は全滅のような気がする。日光線系統(宇都宮線や鬼怒川線も含む)は、概ね乗っているように思うのだが。

 

 そこで、折角なので葛生まで乗り、折り返して館林から久喜へと出ることを考えた。佐野と久喜の間は、JRよりも東武を使うほうが安くなる。

 そんなことを考えて、佐野15時44分発の葛生行に乗った。

 

 葛生には、16時01分に到着。09分に折り返すようなので、そそくさと改札を出て、再入場し、「踏破の儀式」とする。こういう時も、IC乗車券は便利だ。

 16時46分、館林に着き、49分発の特急「りょうもう」浅草行は見送って、54分発の普通・久喜行に乗った。17時23分着の久喜からは、26分発の通勤快速3550M・上野行があったが、これは見送り、32分の上野東京ライン経由1589E・熱海行を選択した。

 

 こうして、通算局数では5局増に留まったが、厄除大師にも行ったし、東武佐野線も踏破した。ついでに「位置ゲー」的には、「ニッポン城めぐり」で15城ほど増加させ、637城までこぎつけた。650城までいけば、「従五位上」の「中務少輔」から「正五位下」の「右近衛少将」に「昇格」できるのだが、まだまだ。もっと前からやっていれば、と思うが、この手のものは大抵そうだ。

 ただし、このゲーム、全部で3,000城あるので、先は長いぞ……。

 

 ちなみに、スマホは指の太さと静電気体質(何しろ触る前に反応してしまう)のため、完全ガラケー派。そのため「ポケモンGO!」は、筆者には無理である。

 

 ~ この項、完 ~