RUMlogNGがFTX-1をサポートしました。それでWSJT-XでFT8を運用してみましたので、その設定と結果です。
RUMlogNGコントロール下でFT8を実行する場合の評価ポイント
RUMlogNGでWSJT-XにてFT8を行う場合、FTDX101D,FTDX10では問題がありました。それは、 fake it (split)が機能しない ということです。
FT8においては通常3KHzまでの範囲で、送信時にキャリアを出す周波数を選びます。
この場合、以下の問題があります。
- キャリア周波数が1.5KHz以下の場合で、キャリア自体に歪みがあると、その高調波(2倍、3倍・・・)が出た場合に高調波も出力されてしまう。(3KHzより高い周波数は、カットされる)
- 送信機によっては、3KHzに近い帯域では十分な出力が出ない場合がある。
これを解決するために、fake it は、送信時のAF周波数が常に1.5KHzから2KHzの範囲に収まるように、送信周波数をシフトするという機能です。
それで、FTX-1ではこのfake itが正しく動作するかが評価ポイントの1番目です。
もう一つ、Windows版WSJT-XでFTX-1を直接コントロールすると送信時にしばしば、2、3秒の送信開始遅延が生じるという問題がありました(2025年9月時点)
RUMlogNGコントロール下でこの遅延が生じるかどうかが評価ポイントの2番目です。
RUMlogNGの設定
トランシーバーの設定(TX1)
- RUMlogNGでFTX-1をコントロールするための設定です。
- Serial Portは、FTX-1のEnhanced COM Portを選んでください。Baud Rateはデフォルトの38400を選んでいます。もちろん、FTX-1の設定を変更した場合はそれに合わせた1Baud Rateにしてください。
UDPの設定
- CAT Port 7374は、WSJT-XとRUMlogNGがCATコマンドをやり取りするためのPortです。
- RUMlogNGが接続したリグのCATコマンドを通訳してWSJT-XとはDX Lab Suite Commander互換のCATで通信する仕組みです。
- DATA Port 2237は WSJT-Xがログを取ったときにこのポートにログ情報を流しますので、RUMlogNGがそれを拾ってログに書き込む仕組みです。
WSJT-Xの設定
無線機の設定
- DX Lab Suite Commander というのは仮想的なリグです。日本では馴染みがない方が多いと思いますが、無線機でDXを効率よく交信するためのDX Lab というアプリ群があって、Commanderとはその中で使われている仮想的なリグです。RUMlog NGはCATコントロールにこのDX Lab Suite Commander互換のコントロールコマンドを用いています。
- Localhost:7374(または127.0.0.1:7374) は、先ほどRUMlogNGのUDPで設定したCAT Port 7374と一致させる必要があります。
- PTT方式はCATを選べば良いです。以前は、CATコマンドでのPTTコントロールは不安定だったという話を聞いたことがありますが、少なくとも現有のI C-705、FTDX101D,FTDX10,FTX-1Fで問題が起きたことはありません。
- モードはData/Pktを選びます。そして、スプリットは擬似スプリット(fake it)を選んでください。
レポートの設定
- WSJT-Xがロギングした際にそのログ情報をUDPで流します。そのポートが2237というわけです。
- UDPとは、簡単に言いますと、宛先を指定せずに情報をネットワーク上に撒き散らす仕組みです。欲しい人がその情報を勝手に拾えよ・・ という何とも鷹揚な通信プロトコルです(笑)
- UDPサーバーとしてLocal host とか127.0.0.1とか出てきますが、これはお使いのコンピューターの中で仮想的にLANが構築されていて、そのアドレスのことと考えてください。
以上で関係分の設定は終わりました。もちろん、Audio Codecの設定とか他にもありますがここでは説明を割愛します。
試運転
- 早速、FT8で通信してみました。
- 送信キャリア(DF)を2.3KHzぐらいに設定しています。
- わかりにくいかもしれませんが、送信時に7.041,000が 7.041,500 に変化して、キャリアが1.8KHzぐらいになるようにWSJT-X側は調整しています。
- しかし、FTDX101D,FTDX10の場合は、リグ側は7.041,000のまま変化しませんでした。
- それでFTX-1Fはどうかというと・・・・・・
- fake it しっかりと動作しております。 これで評価ポイントの1番目は合格です。
- この後、ダミーロードを繋いで、CQを長時間連続で出させて、送信開始遅延をチェックしましたが、45分間、一度も送信開始遅延が起きなかったので、評価ポイントの2番目も合格です。
まとめ
- FTX-1はRUMlogNGで正しくサポートされています。
- シンプルにFTX-1とRUMlogNGを接続したい方にはおすすめの設定です。
- FTX-1Fの問題でなく、DX Lab SuiteとWSJT-Xの間の問題ですが、WSJT-X 3.0.0 RC1でサポートされたPower/SWR表示機能は利用できません。



