*****1歳馬*****

【アグネスラズベリの2012

<配合診断>

母アグネスラズベリは短距離重賞で活躍し、函館スプリントSを勝ちました。ベリアーニの牝系は昨今活躍ぶりが目立ち、皐月賞と朝日杯フューチュリティSを勝ったロゴタイプ、短距離重賞を3勝したパドトロワなどが出ています。いま最も勢いのあるファミリーといえるでしょう。2013年の菜の花賞を勝ち、アネモネSで大外枠ながら3着に食い込んだサクラディソールもその1頭。同馬はダイワメジャー産駒なので本馬とは4分の3同血(父と2代母が同じ)です。母方にあるWhat a Pleasureは、その4分の3同血のボールドラッドともども、ダイワメジャーとは相性良好。底力あふれる配合構成で、これを活かすスピードが備わっていれば大仕事も可能でしょう。スパッと切れる脚はないものの先行してしぶとく、好位でうまく立ち回る器用さと堅実さを期待できるので、コストパフォーマンスは悪くないと思います。


<馬体解説>

両親共に栗毛ですが、銅色に近い父ではなく、色が薄くて光沢に富んだ皮膚の質感は母系からの由来です。脂肪が少ない細めの首に加えて、下腿骨も細長い形状。500キロ前後の母アグネスラズベリとは違いますが、全体のバランスが取れています。繋ぎの長さは平均的でブレがなく、上体も軽いので故障の心配が少ないタイプ。この時期にしては薄く肋骨が見えていますが、運動量の多い活発な馬は飼食いが追いつかないケースがあります。母父エアジハードの産駒は5、6歳で本格化する傾向もあり、今後徐々に体重が増え、距離適性も見えてくるはずです。


<シミュレーション>

名マイラーとして確固たる地位を築き、種牡馬としても活躍中のダイワメジャーを父に持ち、母アグネスラズベリは重賞の函館スプリントSを制した他、スワンSやCBC賞でも3着に入った快速馬。さらに母の父は安田記念、マイルCS連覇のエアジハードとなれば、この馬の持つスピード能力はかなり高いものがあると予想されます。しかし、アグネスラズベリ12の魅力はそれだけではありません。母系をたどると曽祖母ベリアーニからは、ローズSを勝ったスターバレリーナがおり、さらにその孫にはスプリンターズSで2着に入ったパドトロワがいます。そして極めつけは、2013年の皐月賞を制したロゴタイプも同じ一族の出身であること。マイラーという枠に収まらない活躍を見せる可能性は十分にあります。その可能性を踏まえた理想的な競走生活のAプランは、スプリングSから皐月賞、そしてダービーという3歳クラシックの王道路線。秋は持ち味のスピードを活かしての天皇賞・秋で古馬に挑戦します。一方、Bプランでは、春はマイル路線を進み、秋には天皇賞・秋、マイルCSでマイラーとしての頂点を狙います。どちらも非常に楽しみです。


【サヤカの2012

<配合診断>

母サヤカはG3フラワーCなど4勝をあげた活躍馬。Bold Ruler 4・5×4、Princequillo 5・6・7×6・6と、「Bold RulerPrincequillo」の組み合わせのクロスを重ねるという、Seattle SlewA.P.Indy系の成功パターンを踏襲していたのが成功の因でしょう。一方父のネオユニヴァースはサンデー産駒としても母系が重厚で、その母ポインテッドパスはHyperion 5×4など欧州血脈で固められています。そしてネオユニヴァース×サヤカの組み合わせは、父の父サンデーサイレンスと母サヤカが米血主体、そして父の母ポインテッドパスだけが欧血主体という「3/4米、1/4欧」のバランスのとれた形になり、これが本馬の配合の最も優れた点といえるでしょう。父の粘着力と母のしなやかさが上手く噛み合えば、芝中距離で上級を期待できるのではないでしょうか。ちなみに母系にSeattle Slewを持つネオユニ産駒にはアドバンスウェイ、タカオノボル、ツルマルネオ、エチゴイチエなどがいます。


<馬体解説>

一見して顔が縦に短く、チーター同様スピードの出るバランス。項からき甲の終点までが流れるような綺麗なライン。一体感があるので、上体をうまく連動して動かせます。後駆は後ろ脚を流し気味だった父ネオユニヴァースに比べ、臀端から地面へ垂直に下ろした線の内側に飛節も球節も収まっています。大腿骨→下腿骨→管骨が浅く連結されているのでクッション性は少なくなりますが、瞬間的に地面を蹴る力が大きく、切れ味を発揮します。胴がコンパクトな面から、マイル前後で成功する可能性が高くなります。


<シミュレーション>

母はエーピーインディ直仔の外国産馬として走り、重賞のフラワーCを含む4勝をあげています。繁殖入りしてからは、現役で活躍中のママキジャ(父ストラヴィンスキー)などを産んでいます。母系は、G1級の大物こそいませんが、米で重賞勝ち馬を出しています。母の父エーピーインディは米の大種牡馬で、日本ではブルードメアサイアーとしてヒカルアマランサス(京都牝馬S)を輩出しています。配合的に中距離色の濃い血統ですが、決して長距離が不向きというわけではありません。理想的な競走生活としては、まず2歳戦から重賞戦線で活躍し、3歳時には共同通信杯、弥生賞、そして皐月賞、ダービーと駒を進めていきます。父に負けない活躍が期待されるところですが、やはり秋は父の果たせなかった菊花賞制覇が最大の目標となります。また、オープン入りに時間を要し、結局、春のクラシックに出走できなかった場合は、Bプランのように、ラジオNIKKEI賞で重賞勝ちを目指し、そこから秋に向けて仕切り直しです。セントライト記念で結果を出せば、本番では注目の存在となることでしょう。


【スターリーロマンスの2012

<配合診断>

若葉Sを勝ったダノンミルの全妹。母スターリーロマンスは名種牡馬フジキセキの全妹にあたる良血で、繁殖成績が優れています。ダノンミル以外にも、ノボリディアーナ(白百合S)、クリスティロマンス(3勝)、ファイブスター(3勝)と、4頭の兄姉はすべて3勝以上を挙げています。凡馬を出さずコンスタントに走らせているのですから信頼性の高い繁殖牝馬です。もちろん本馬も順調に成長すれば兄姉レベルの活躍が見込めます。「ジャングルポケット×サンデーサイレンス」の組み合わせは、“2代母の父”の部分にスピードタイプや軟弱な血が入るともうひとつの成績で、いかついNorthern Dancer系やヨーロッパの重厚な血が入るとうまく行きます。本馬はその部分にLe Fabuleuxというフランス産の重厚なスタミナ血統が入るので、配合的にも隙がありません。芝向きの中距離タイプでしょう。


<馬体解説>

撮影時期は青草がおいしく食欲旺盛なので脂肪がつきやすいはずですが、本馬はお腹は丸くても背中が薄く、たてがみの付け根付近の皮膚のキメも細やかです。新陳代謝が活発で体質的にはオールシーズン戦えるタイプ。牝馬なので下腿骨が極太だった父ジャングルポケットとは異なり細く長い形状ですが、連結される管骨は長く、中長距離で威力を発揮する点は父譲り。父の産駒は芝に実績が集中していて、本馬も繋の角度は芝向きです。上品な顔立ちはサンデー系の母由来ですが、成長の段階で父の仕草だった歯茎を出したりする口元の癖が出てくれば性格は父系と判断でき、ハミなどに工夫が必要になります。


<シミュレーション>

母スターリーロマンスは名種牡馬フジキセキの全妹という良血馬で、自身は4勝をあげた中級馬でした。繁殖に入ってからは、若葉S勝ちのダノンミル、白百合S勝ちのノボリディアーナなど4頭の産駒が、いずれも複数勝利をあげるという優秀な成績を残しています。その5番仔がこのスターリーロマンス12です。兄姉たち同様、この馬にも3歳時からの活躍が期待されます。父はクラシックに強いジャングルポケット。ややムラっぽいところはありますが、はまれば頼りになる種牡馬です。さらには、母の父サンデーサイレンスにも注目が集まります。オークス馬トールポピーも、秋華賞馬アヴェンチュラも、ジャングルポケット×サンデーサイレンスという血統です。本馬が、先輩馬に続いて牝馬3冠レースで活躍する可能性は十分にあります。Aのように、新馬からすぐにG1に挑戦して結果を出すのが理想的な流れで、その後は王道のローテーションで本番に挑みます。秋華賞の後は古馬との対戦に注目です。一方Bは、勝ち上がるのに数戦を要した場合のものです。無理に桜花賞に間に合わせようとせず、オークス、秋華賞をじっくり狙っていきたいところです。


【ラピーダシャリナの2012

<配合診断>

レッドスパーダとはイトコというだけでなく、父タイキシャトルと2代母Barbarikaが共通する4分の3同血の間柄。レッドスパーダは母の父がStorm Cat、こちらは母の父がVicarWild Again産駒で米G1を2勝)でここだけが異なるわけですが、Vicarの母Escrow AgentNorthern Dancer×SecretariatというStorm Catと同じ組み合わせなので、厳密にいうと血脈構成の8分の7ぐらいが共通することになります。タイキシャトル×Storm Catは他にもメイショウボーラーなどが出て成功している組み合わせで、その根拠はCaerleonStorm Catの血脈構成が似ていること、つまりCaerleonStorm Catのニアリークロスにあると考えられます。本馬はStorm Catは持たないものの似た血脈構成を母父Vicarに持つので、レッドスパーダと全く同じ評価にはならないですが、同じようなツボを押さえた配合パターンになっているとはいえるでしょう。芝・ダート兼用の好マイラー。


<馬体解説>

一見して、馬体も横顔も父タイキシャトル似の好ルックス。毛色も父と同じで、内面から輝くような明るい栗毛。新陳代謝が良く、オールシーズンの活躍が可能です。牡馬でも筋繊維が細く緻密で、柔軟性に富んでいるのも長所。肩甲骨はマイル以下に適性のある角度で胴もコンパクト。臀部は上部にボリューム感があり、父と同じ小さめの蹄をしています。父は他の快速種牡馬と異なった部分が2つあり、1つは上腕三頭筋が前腕骨にあまり被らず、長頭の右下部分のみ丸くなる点。もうひとつは引退時でもき甲が極端に高くならなかったこと。本馬もその2つの要素が遺伝しているので、今のバランスを崩すことなく成長するはずです。


<シミュレーション>

2013年の関屋記念を鮮やかに制し、重賞2勝目をあげたレッドスパーダ。当クラブの看板的存在でもあるわけですが、そのレッドスパーダをいとこに持つ良血馬が、このラピーダシャリナ12です。もともと、米年度代表馬カーリンが出るなど優秀な母系であり、期待度はかなり高いです。加えて、ラピーダシャリナ12の父はタイキシャトルなので、レッドスパーダと血統構成がかなり似通ったものとなります。母の父ヴィカーはフロリダダービーなどを勝った中距離馬で、さすがにレッドスパーダの母の父であるストームキャットに比べると、格が落ちますが、傍流系統らしいタフさを伝えてくれているでしょう。理想的な競走生活としては、春の最大目標をNHKマイルCとし、スプリングSからニュージーランドTを経由してNHKマイルCに出走します。できればレッドスパーダ以上の成績を期待したいものです。NHKマイルCで上位争いをしたら、秋はマイル路線で古馬に挑みます。初勝利が3歳になってからというBプランでも、特別戦からニュージーランドTを経てNHKマイルCのローテーションは変わりません。成長力もあるので、秋そして古馬になってからも楽しみです。


*****2歳馬*****

【レッドリベリオン】

(戸田厩舎)角馬場で運動後、ウッドコースで追い切る。
9/5(
) ウッド
内レッドリベリオン 68.8-53.7-39.6-13.4 一杯
外ディープフォンテン 68.7-53.6-39.5-13.3 仕掛け
助手「今日は角馬場で体をほぐしてから、ウッドコースで追い切りました。スムーズな動きでしたし、道中も楽な手応えでしたよ。ただ、3コーナーからスピードが上がるところで、少し反応が鈍い感じがしました。併せた馬は騎手が乗っていたので斤量的に差があったのは確かですが、以前ウッドコースで追い切った時に比べるとやや動きが物足りない感じはしますね。まだレースまでは時間があるので、この一追いで変わって来てほしいですね」


*****3歳馬*****

【レッドマニッシュ】

(国枝厩舎)厩舎周りで乗り運動。

国枝調教師「昨日追い切った後、午後からしっかりチェックをしましたが、歩様は問題なく、痛い所もありませんでした。先々週に出た左前の腫れも、今はもう引いています。今日は乗り運動での調整で、先週は歩様に硬さがありましたが、今週はだいぶ良くなってきていますよ。リップチェーンを使い出してから、曳き運動の時も大人しく運動しています。予定通り、この後も来週のレースに向けて進めて行きます」


【レッドヴィーヴォ】

(鹿戸厩舎)北の角馬場でダクのみ。
鹿戸調教師「今日はいつものように隊列を組んで、角馬場でダクだけ乗って調整しました。厩舎から出て行く時も大人しくなって来ましたし、運動していてもうるさいところはなくなって来ています。精神的にも大人になって来ているのかも知れないですね。それが競馬でも良い方に出てくれればと思います。レースは、9月29日の中山・芝1600mを三浦騎手で予定しています」


*****6歳馬*****

【ラッシュザワーク】

8月15日に下総トレーニングセンターに移動。9月6日、二ノ宮調教師は「今週馬の状態を確認してきました。現在は普通キャンター中心に調整を行っていますが、まだ背腰に硬さが見られます。このペースのまま、治療を続けながら硬さが取れてくるのを待ってからペースを上げていきたいと思います。まだもう少し時間はかかりそうですが」とのこと。