~ぶらぶら江戸散歩~vol.107『名古屋~名古屋をどり』番外編 | 文化家ブログ 「轍(わだち)」

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江戸開府より約400年。東京下町には、江戸の息吹が今なお息づいております。
身近な江戸をぶらぶら散歩。新富に生まれた私、中西聡。
八丁堀・日本橋を中心に、江戸の町のちょっとした情報をお届けいたします。
今回は番外編でお届けいたします。

お邪魔いたしましたのは、今年で69回を迎えます『名古屋をどり』。9月7日~11日の5日間に渡りまして、1日3回、計15ステージが上演されました。

 

ロビーに貼られていた香盤表


日舞には、多くの流儀が存在いたします。
いわゆる5大流派と呼ばれるのが、「花柳流」「若柳流」「藤間流」「坂東流」、そして今回お邪魔しました「西川流」でございます。

特に「西川流」の流れは古く、今や最大の門弟数を抱えると言われます「花柳」ももともとは「西川流」より独立しました流派です。

このぶらぶら散歩では、今年に入り、京都祇園の「都をどり」、新橋演舞場の「東をどり」をご紹介して参りました。

それぞれの花街には、芸妓さん(関東では芸者さん)がおりまして、踊り、地唄、三味線、鼓、茶道などまるで昔の日本の花嫁教育のごとくお稽古に勤しんでおります。

それぞれ花街には、流儀のお師匠さんがおりまして、例えば、「都をどり」は井上流、東をどりは「花柳流」「尾上流」「西川流」など。

今回の「名古屋をどり」は、名古屋&岐阜の芸妓組合が日頃の練習を発表する場にもなっております。

そのお師匠さんが、西川流なのです。

説明が長くなってしまいました。
名古屋をどり、まさしくその名前の通り、名古屋中日劇場にて行われております。

中日劇場は、JR名古屋駅から市営地下鉄 東山線に乗り換えまして2駅目。駅名は「栄」まさに名古屋の中心街といった風情です。周囲にはブランドショップが立ち並び、デパートも三越、松坂屋がございます。

私は、中日劇場には因縁がありまして、東宝時代に地方公演のスタッフとしてお邪魔したものです。

名古屋は地下街が発達しております。栄駅から劇場が入っております中日ビル9Fは地上に出る事なく、一直線で伺えます。


お久しぶりの中日劇場に伺いまして、驚きましたのは、ロビー。いつもはエレベーターを9階で降りますと、右手に開けたスペースがあり、開場待つ人たちがのんびりと座る椅子があるのです。

それが、今回は少し仄暗い空間に赤い提灯。さらには屋台が並び、色とりどりのお花でかざられております。

 

 

ロビーは華やかに飾られておりました


まさに、花街がここに出現したかのよう。
劇場内に入りますと、ここにたくさんのパネルが。これから上演される演目の背景の書き割りをコンパクトにしたセットが飾られております。

 

 

書き割り


さらには、「なも!」と書かれたパネルが!!
言われは、三世お家元 西川右近総師が考案された「名古屋締め」に由来するとの事。拍子木を叩きながら、「なも、なも なもなもなも」と〆る独特の言い回しです!!

 

 

なもパネルと拍子木


西川流は、起こりは元禄時代と伝えられております。多数の支流に分かれましたが、名古屋の地で深く根を張り、多くの門弟を輩出して参りました。

三世お家元は、1981年41歳で名古屋をどりの主催者を、お父上、お家元鯉三郎氏より引き継ぎ、さらには1883年には43歳にして家元を継承されました。

以降、伝統の枠は守りながら、さまざまな革新的な挑戦を続けてこられております。2014年に、四世お家元をご長男に譲られ、77歳を迎えられました現在もかくしゃくとされ、今は日舞と健康体操を融合させたNOSSを推進されております。

名古屋をどりの舞台は、絢爛豪華!! 芸妓さんと一緒に西川流の踊りの名手の皆さまの演目。最後の〆は、4世お家元千雅氏と右近先生の親子共演。

何とも素敵な舞台を拝見いたしました。
終演後は、すぐお暇しようと思っておりましたが、劇場案内の方にどうぞ楽屋にお回りくださいと!

ここでは、勝手しったる中日劇場でよかったな!と感謝したものです。

7階の楽屋を訪れましたら、まだ化粧を落とされている途中の右近先生。でも、気さくにお招き入れてくださいました。

 

右近先生と


少し長居をしてしまい、恐縮に思いながら楽屋を後にした次第です。
名古屋にはちょっと行けないな…と思われている皆様。

西川右近先生が構成&振付をなさっております「赤坂をどり」が毎年3月に東京でございます。

次回は、3月10日~11日 ACTシアターですのでどうぞお時間ございましたら、いらしてみてください!!


それでは、機会ありましたら「名古屋~名古屋をどり」お邪魔してみてください!!

 


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