初めての宝塚!観劇レポート『眠らない男ナポレオン』 | 文化家ブログ 「轍(わだち)」

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みなさま、こんにちは!
今回は宝塚を初観劇してまいりましたので、その観劇レポートをお届けしようと思います
まず、劇場に到着するとテレビなどで見たことのある赤絨毯や階段が目の前に広がっており、劇場空間には慣れているはずの自分ですがそれだけで少し興奮しましたw開演前、幕には大きな「N」の文字とともに「L'Homme sans sommeil(「眠らない男」の意)」の文字が光り、これから始まる物語への期待が沸いてきました。


コルシカの大砲男


このブログをお読みいただいている方は既にナポレオンの記事もお読みいただいていると思いますが、かく言う私もブログのお陰で予習はバッチリ

ナポレオンの学生時代から戴冠式まであっという間の1時間半。詳細は過去記事にもありますので割愛させていただきますが、ナポレオンたちが話す各々の人物像、特にナポレオンとマルモンに対する人物像の対比がとても印象的でした。

雪合戦を終えたとき「最後の最後まで戦い抜く」と語るナポレオンに、「負けると分かったら逃げるかも」と語るマルモン。
パリ陥落後、退位宣言に署名する際に「敵を目の前にして逃げたのか」と問うナポレオンに「大勢を救うため」とマルモンが答えるのですが、この時の様子が思い出されて、とても切なかったです。

コルシカ島出身の下級貴族だったナポレオンは一発の大砲で不安定だったパリを落ち着かせ、革命へと進んでいきます。

観劇したこの日、夢咲さんのマイクが途中は入らなくなるというアクシデントがあったのですが、ナポレオンとのデュエットでしたので、オペラグラスを使って読唇。それでも「ナポレオン!」と叫ぶ声が、あの広い劇場の2階席まで聞こえてきたのはさすがでした。

もう1つ一幕で印象に残ったのがナポレオンの母、美穂圭子さん演じるレティツィアの歌。みなさんも上手でしたが、この方は別格でした。もう、一声聞いた途端にその歌に聞き入ってしまいました。

離れていく栄光と友人


二幕。
豪華絢爛な戴冠式のシーンは照明も5割り増しかというほど煌びやかで華やかなシーンでしたが、その一方で式を良く思わない方々の様子がシーンに影を与えていました。

物語が進むにつれ、次第にその影が広がっていきます。

後継者が生まれないナポレオンはジョゼフィーヌとの離婚を決意し、マリー・ルイーズとの政略結婚を決断。
ナポレオン2世が生まれ、歓喜に満ちる民衆の中、ジョゼフィーヌが一人通り過ぎるシーンはジョゼフィーヌの胸の中に抱いている思いがとても切なく伝わり、涙なしには見られませんでした

2幕はナポレオン自身の物語、というよりは周囲に振り回されるナポレオンという印象でしたが、それでも遠くからナポレオンを思うジョゼフィーヌの存在がとても大きかったです。

ロシア遠征で冬将軍にやられ、フランスが狙われ妻に別の地へ避難、いよいよパリが陥落するとナポレオンは旧友や秘書とも別れ、いよいよたった1人に。そんな彼を遠くで想っているのがジョゼフィーヌ。
ナポレオンが追放された後の流刑地を暖かい地方にしてほしいとロシアの皇帝に懇願する彼女。1幕の途中までは浮気もしていた彼女ですが、2幕ではたとえ相手に伝わらなくとも相手を想う、という姿にとても胸を打たれました。

結局ナポレオンはその後エルバ島を脱しパリで復位するも百日足らずで退位することになり、最期はセントヘレナ島で病死されたと説明がありました。

見終えて


一幕の最初に♪嵐のように生きた男で歌われていたように、本当に嵐のような人だったのだなと。
若かりし頃、夢や希望に満ち、夜も眠らず勉強していた姿や仲間と語り合っていた姿と、大人になり夢を叶え輝きに満ちていた姿、さらに皇帝の座を退位していく姿、本当に怒涛の人生だったのだなと。

宝塚を見たのは初めてでしたが、男役のみなさんはとても男らしく、かっこよかったです
むしろ少しは見習わなくてはと思うくらいにw
柚希礼音さんの演じるナポレオンがふとした瞬間に素直な笑顔を見せてくれるシーンでは、女性が男性を可愛いと表現する瞬間が理解出来たような、不思議な感覚でしたw

もう終演してしまいましたが、再演されることがあれば是非、見ていただきたい作品でした!

ミュージカルだとどうしてもチケット代が気になってしまう方もいらっしゃると思いますが、B席だと3,500円で見られますし、オペラグラス持参で是非見てみてください
あ、その際は今回の私のように作品を予習するのがオススメです


では!



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