2.水銀の使用・排出規制に関する条約
2013年1月19日、水銀による環境汚染や健康被害を防ぐ条約制定に向け、ジュネーブで開かれていた国連での政府間交渉が、水銀の輸出入規制などを柱とする条約案に合意した。そしてその名称を日本が提案していた、「水銀に関する水俣条約」とすることを各国が了承し、本年10月に熊本県で開かれる国際会議で採択されることとなった。
この条約では、水銀を一定量以上使用した照明器具などの製造、輸出入が原則禁止され、大気や水、土壌への排出削減、適切な保管と廃棄、などが規定される。
世界でも類を見ない、「水銀公害」を経験した日本が、これから地球と人類のためにどのような貢献が出来るか、国民の意識、産業経済界の良識が問われるとこになる。近視眼的なコスト優先で蛍光灯や水銀灯を作り続け、また使い続けて、「将来に問題を先送りする」ことは、もはや許されるべきではない。
今後「水俣条約」の採択によって、水銀の使用が禁止されると共に、これまで使用されてきた製品の水銀回収と保存が大きな問題となる。一度にすべての対象製品を市場から排除することは現実的ではないこともあり、自動車や家電製品で行われているような「リサイクル法」に習い、「水銀回収保存法」を立案し、対象品を購入使用する使用者が、「その回収や保存費用を、応分の負担をする制度」を施行すべきである。蛍光灯・水銀等にリサイクル費用を付加して販売することを義務づけ、製造・販売会社には回収と保存の責任を明確にすれば、LED照明の普及は更に加速して省エネが進むと期待できる。これはLED照明の購入者にエコポイントを出すより、はるかに効果的で「使用者も製造会社にも、環境問題を意識させる」社会性の高い対策となるであろう。
我国の水銀使用量は年間約10トンでその約40%が照明機器に使用されている。しかし、その2倍以上の年間約20~24トンの水銀を大気に排出しており(照明機器における水銀の回収率は、約10%程度と言われている。)、年間約100トンの水銀を輸出している。今後はこの輸出と、また水銀を使用した製品の輸入を、世界に先駆けて禁止すべきである。やむを得ない事情により輸入が必要な場合は、カーボンオフセット制度のように、水銀の輸入量に見合う回収と長期保管を、個々の企業に義務つけることが肝要である。
また、将来的に水銀使用廃止が決まった『今』、今後新たな建築物を設計する企業やその技術者の、『社会的責任は、極めて重い』ものとなる。経済的論理や過去のしがらみ等の安易な発想によって、公害汚染物質を世に送り出すことがあってはならない。特に、公的な施設や病院、大型の建築物においては、今後蛍光灯や水銀灯の使用が設計に織り込まれた計画は、『その建築申請を受理しない』公的機関の意識改革が必要である。それらの制度により、他国の先達となることが『水俣条約と、命名された』我国の責務であろう。
そして、それが容易に実行されるよう、LED照明の導入に見合う合理性が納得して頂けるよう、「技術革新とコスト削減を、早急に実現すること」が、LED照明業界に課された大きな責任である。
