オリジナル短編小説連載 16回目
【第七章 敵基地】
🎉 【 15回目からの続き 】 🎉




💮 オリジナル短編小説 🎉
🔥 ジャンル:SFアクション 🔥
🚫 許可無く、転載・パクリ禁止 🈲
[アグレッション・デターレント]
著者:jpt♂
【 続き 】
[第七章 敵基地]
一.宇宙船内部
裕子・・・「あっ!!」
裕子・・・「外に誰かいるわ!!」
光の部屋だった光がスッと消える。
光が消えたその時、目の前に2メートル強もあるエイリアンが立っていた。
裕子・・・「鉢合わせだ」
なつみは呆然とそこに立ち尽くした。
エイリアンは、さっと身構え、右腕をなつみに向けた。
なつみ・・・「あっ!!」
右手の甲を突き破るようにして「シュッ」と銀色に光輝く金属筒のようなものが出る。
甲斐・・・ 「おりゃ!!」
甲斐の右回し蹴りが空を切りエイリアンの右腕を蹴り払った。
エイリアンの右手は大きく弾かれ、よろりとよろめいたがすぐ左手で甲斐のボディめかけて 鞭のようにしなやかにシュッという空を切る音とともに一撃を加えようと払う。
甲斐・・・「トゥ!!」
エイリアンのその左腕を甲斐は左下段払いで受け、すかさずツッと横すり足でエイリアンに近づく。
甲斐・・・「おりゃ!!」
左横蹴りでエイリアンの横脇腹をえぐった。
エイリアンは身体をくの字に曲げ痛みをこらえる。
甲斐・・・「チョアッ!!」
甲斐の気合が響いた。
甲斐の身体は空を飛び、 一撃必殺の飛び前蹴りを空中でエイリアンの顔面に炸裂する。
エイリアンのけぞりズッシンと倒れる。
甲斐・・・「アチョアッ!!」
鋭い気合を残して甲斐は宙高く飛び、そしてエイリアンの首めがけて飛び側刀蹴りを全精神を集中して入れた。
エイリアン・・・「ゲッ!!」
エイリアンの奇妙な声と「バキッ!!」という鈍い骨の折れる音と一緒に響いた。
裕子となつみは、目をおおきく見開き、口をおおきく開け、いまにも悲鳴をあげそうな状態で、しかし、 声も上がらない状態でわなわなふるえながらそこに立ち尽くし、目の前の真剣バトルを見ていた。
残りのボディガードはバトルも見ずに、周りの気配に神経を集中している。
鬼三郎と智恵は、この壮絶なバトルを見守っていた。
裕子・・・「ステキ!!」
裕子・・・「甲斐がこんなに強かったなんて知らなかったわ!!」
裕子・・・「ホームビデオで見たパパの時代のスーパーヒーローのシュワちゃんよりもすてきだわ!!」
皆、興奮が治まって周りを見渡して「アッ!!」と驚く。
なつみ・・・「見て見て、すごいよ、姉ちゃん」
宇宙船の内部は全てが光の世界だった。
見渡すと、そこには木の葉型UFOが3機並んで駐機していた。
なつみ・・・「小型UFOだわ」
裕子・・・「きっと一人乗りのUFO」
木の葉型UFOは3機とふわりと宙に浮いている状態で駐機していた。
なつみ・・・「中はどうなっているのかな」
なつみ・・・「見てみようかな」
好奇心旺盛ななつみが腕を上げ、UFOを指差した。
高倉・・・「ま、まて!!」
高倉が制止する。
高倉・・・「今動かしたらそこらじゅうにアラームが鳴り響くかもしれん」
高倉・・・「中を調べるのは後にしよう」
鬼三郎・・・「こっちへ来てくれ!!」
全員鬼三郎の方へ急いだ。
鬼三郎・・・「これを見てくれ」
それを指差す。
そこには、16本の直径約1メートル程度で高さが3メートルあるシリンダー状の筒が並んで立っていて、その全てのシリンダーにチュウブが3本づつつながっていた。
小さな窓があり、そこから内部を観察するようになっている
窓がくもっていて良く見えない。
吉良が窓のくもりを手でぬぐい、そっと中を覗いた吉良の顔はみるみる青ざめていった、顔に脂汗がにじんでいる。
吉良・・・「何という事を!!」
吉良はあえぎながら言った。
吉良・・・「なつみと裕子は絶対に見るんじゃない!!」
吉良・・・「できれば奥さんも見ない方がいい!!」
吉良は青ざめた顔で次々とシリンダーを見て歩いた。
吉良・・・「くそ!!」
吉良・・・「くそ!!」
と言いながら涙を流した。
鬼三郎、 高倉、甲斐、大橋もシリンダーを覗いた。
鬼三郎・・・「なんだこれは!!」
鬼三郎・・・「なんてこった!!」
鬼三郎は怒りで顔が真っ赤になっていた。
シリンダーの中には、これまで行方不明になっていた人達が、腹を裂かれ標本となって入っていた。
シリンダーの中は透明な液体で満たされ、中に男も女も子供も老人も全裸で漬けられている。
全員、頭には細いチューブが突き刺さっている。
口の中に細いチューブが入っていた、また、肛門にもチュウブが入っている。
心臓部分にも細いチューブが埋め込まれていた。
シリンダーの中でただよっている若い女性の目が開いて高倉の目と合った。
若い女は少し身体を動かす。
助けてと目で訴えた。
高倉は目をそむけ、だまってその場を離れる。
唇から血がにじむほど唇を噛み締めた。
ひとりでに涙が出て滴となって床に落ちた。
高倉・・・「なんとむごい事をするんだろう!!」
高倉・・・「行方不明者は全員死亡している」
高倉・・・「長居は無用だ」
高倉・・・「爆破して引き上げよう」
高倉が断固とした口調で言った。
皆うなづいた。
なつみ・・・「待って」
なつみ・・・「私、UFOの中を見てみたい」
高倉・・・「超高性能プラズマ爆弾をセットしてからにしよう」
高倉、吉良、甲斐、大橋はそれぞれベストの内ポケットから単三乾電池に似せて作った 超高性能プラズマ爆弾を2本づつ取出した。
それぞれ2本づつ、木の葉型UFO3機にセットし、残り2本をシリンダー型標本群の中心にセットする。
高倉・・・「よし、爆弾のセッティングは完了したぞ!!」
高倉・・・「30分後に爆発する!!」
高倉・・・「出来るだけ遠くへ逃げなければならないぞ!!」
鬼三郎・・・「さぁ、なつみ、UFOを降ろせ」
なつみ・・・「はい」
なつみはUFOの1機を指差す。
そして指を下に降ろしていくと今まで宙に浮いていたUFOが徐々に下がり、床に着く。
なつみは、サイキックをそのままの状態にし、UFOの表面に付いている突起物を足がかりに 登ろうとしたその時、「ウォーン」、「ウォーン」という不気味な音が響き渡った。
なつみ達のいるフロアーの光が点滅し始めた。
高倉・・・「まずい、さ、退却だ!!」
なつみ・・・「緊張で心臓が口から飛び出しそうな気分、口がからっからに乾いてるよ」
裕子・・・「何かが起きそうで首筋がちりちりしてるわ」
二.脱出
裕子・・・「外にエイリアンが集まって来ているのを感じるわ!!」
高倉・・・「あと25分」
高倉・・・「よし、まず智恵さん、 我々の周りにバリアーを張って下さい」
智恵・・・「でも動きながらバリアーは張れないわ」
鬼三郎・・・「下に着いたら目一杯走るぞ」
高倉・・・「先頭は吉良、 その後ろに鬼神さん夫妻、その後ろに姉ちゃん、その後ろになつみ、 その右横に甲斐、 左横に大橋、俺がしんがりを務める」
高倉・・・「さっ、行くぞ!!」
全員光の中に入る。
グリーン色の光の柱にはレッドのちいさな下向きの矢印が目の高さに浮き出て見える。
なつみが指でそっとさわる。
スッと光が薄れそして無くなる。
目の前には大勢のエイリアンがずらりと並んでる。
なつみ・・・「きゃっ!!」
エイリアンにも動揺が走る。
エイリアンの腕がスッと上がる。
なつみ・・・「む!!」
なつみはとっさに、周りに思いっきり重力場を張る。
周りのエイリアンがバタバタと倒れ、地面にめりこんでいった。
強力な重力場のため、地面にめりこんだエイリアンの戦闘服はバリンと割れ、エイリアンはそのまま潰れてしまった。
高倉・・・「走れ!!」
全員、 力の限り全力で走り出す。
なつみが走り出すと、同時に重力場もなつみと同じく動いていく。
吉良も甲斐も高倉も胸のホルスターからレーザーガンを引き抜く。
なつみの重力場の外にいるエイリアンが、攻撃態勢に入った。
吉良、甲斐、高倉は走りながらレーザーガンをエイリアンに打ちまくる。
「ピカッ」とエイリアンの甲から緑の光が飛ぶ。
なつみ達めかけていく筋もの緑の光線が発射された。
吉良・・・「奥さん、私の背中にそしてバリアーを」
智恵・・・「ええ、わかったわ」
智恵が吉良の背中におんぶされる。
智恵・・・「ムンッ」
周りの景色がゆらりとゆらぐ。
「バシュン」エイリアンの緑の光線が智恵のバリアーに弾き返された。
鬼三郎・・・「カッ!!」
鬼三郎は短く鋭い気合を発する。
その瞬間、鬼三郎の気が光速となってエイリアンに突き刺さった。
エイリアン・・・「ギエッ!!」
エイリアンがバラバラに吹き飛び青い血潮が宙を舞う。
鬼三郎・・・「カッカッカッカッ。 カツ!!」
鬼三郎は短く連続して鋭い気合を発する。
エイリアン・・・「ギエッ!!」
その瞬間鬼三郎の気が、 光速となってエイリアンの群れに突き刺さる。
エイリアンが次々とバラバラに吹き飛び青い血潮が宙を舞う。
吉良がよろめく。
智恵・・「あっ」
周りの景色ゆらりとゆらぎバリアーが消えた。
「バシュン」エイリアンの緑の光線が大橋の右腕に命中した。
大橋・・・「うあっ!!」
大橋の右腕が肩からスパッと切られて宙を飛ぶ。
大橋の肩ごしから血潮が吹き出る。
なつみ・・・「えい!!」
なつみは大橋を撃ったエイリアンめがけて初めて強力なサイキックを飛ばした。
エイリアン・・・「ギエッ!!」
エイリアンの体がバラバラに吹き飛び青い血潮が宙を舞った。
これが、なつみの本気のサイキックの恐るべき威力だ。
鬼三郎・・・「カッ!!」
鬼三郎は短く鋭い気合を発する。
その瞬間鬼三郎の気が、光速となってエイリアンに突き刺さる。
「ギエッ!!」
エイリアンがバラバラに吹き飛び青い血潮が宙を舞う。
智恵・・・「ムンッ!!」
周りの景色がゆらりとゆらぐ。
「バシュン」
エイリアンの緑の光線が智恵のバリアーに弾き返される。
智恵の顔は真っ青になり、額に深い立て皺が刻まれ、肩で息をしている。
なつみ・・・「むっ!!」
近くまで追い着いて来ているエイリアンがバタバタと倒れ、地中にめり込んで潰される。
エイリアン・・・「クブッ。 グルルッ!!」
エイリアンが耳まで裂けたような口から、青い血を吐きながら地中に消えていく。
エイリアンが退却していく。
大橋・・・「ううううっ!!」
吉良・・・「大橋、大橋〜!!」
全員大橋の周りに集まる。
智恵・・・「裕子」
裕子・・・「まだ致命傷じゃないわ、応急手当てをするわ」
裕子が精神を集中させる。
裕子の身体からピンクのオーラが沸き上がった。
裕子が大橋の肩の傷口に手をかざす。
みるみる出血が止まった。
大橋・・・「あ、ありがとう、裕子さん」
大橋・・・「だ、だいぶ痛みが軽くなりました」
高倉・・・「さっ、急いで我々の基地へ帰ろう」
周りがカッと明るくなる。
なつみ・・・「何、あれ」
エイリアンの基地の方を指差す。
UFOが音も無く、青白く光りながら上空へ吸い込まれていった。
UFOが消えてすぐ空の一角が眩しく輝いた。
高倉・・・「やったぞ!!」
高倉・・・「時間通りだ」
高倉・・・「吉良、大橋を支えろ!!」
甲斐・・・「大橋、研究所に帰ったら、お前の新しい右腕が待ってるぞ。」
高倉・・・「大橋、これでお前も晴れてサイボーグ隊に転属だな」
大橋・・・「えー、そんなー」
大橋・・・「自分は絶対、今の部隊にいます」
全員大声で笑った。
【第八章 2年後】
一.鬼神家の朝
なつみは、 目覚ましの音で目覚めた。
今、鬼神家はなつみ一人で住んでいた。
父と母は旅行中、姉の裕子は出張中だ。
なつみ・・・「ようし、今日もバイト頑張るぞー」
なつみ・・・「でも、なんか昨夜は嫌な夢を見たような気がするわ」
とつぶやきながら、なつみはお気に入りの洋服に着替え、バイト先へと向かった。
バイト先のコンビニに近ずくと、 1台の黒のワゴン車が店の前で止まったのが見えた。
あれ、あの車、見覚えあるわ。
なつみはワゴン車に近ずいた。
すると、ワゴン車のドアが開き、中から大男が下りた。
なつみは大男の顔を見た。
大男はニッと白い歯を見せて微笑んだ。
大橋・・・「お迎えに来ました」
なつみ・・・「あれまー、大橋さん?」
なつみ・・・「どうしたんですか?」
なつみ・・・「腕は大丈夫?」
大橋・・・「ええ、この通りです」
大橋・・・「すごいでしょう」
大橋は満足げに腕まくりして見せた。
普通の人間の腕だ。
大橋・・・「普通の人間の腕と変わりないでしょう?」
大橋・・・「でも、中身は超合金で出来ている優れ物ですよ」
なつみ・・・「へー、すごいね」
なつみ・・・「迎えに来たってどういう事なの」
なつみ・・・「店長に事情は話したの?」
大橋・・・「ええ、店長了解でここで待たせてもらっていたんですよ」
店長が出て来て、両手でしょうがないポーズをとった。
なつみ・・・「・・・」
なつみも、両手でしょうないポーズをとった。
大橋・・・「詳しい事は車の中で、乗って下さい」
なつみはしょうがなく、車に乗り込んだ。
高倉・・・「なつみ、変わり無さそうでなにより」
なつみ・・・「あれー、高倉さん」
なつみ・・・「お久しぶりです」
なつみ・・・「なんか、お話を聞くのが怖いわ」
なつみ・・・「梨華ちゃん呼んでいい?」
【アグレッションデターレント終わり】
【 完 】



