日本人の捕鯨だけを標的にする反捕鯨団体、アラスカの捕鯨はなぜ容認するのか、ベルギーのフェロー諸島のイルカ漁についてはほとんど何も言わないのは、人種差別が根底にあるのではないかと言う人もある。

 

【関西の議論】

「なぜクジラだけが特別なのか」捕鯨是非 ガチンコ論争で露呈した反対派の〝論点ずれまくり〟

 

http://www.sankei.com/west/news/170720/wst1707200003-n1.html

 

 日本伝統の捕鯨文化は是か、それとも非か。京都大のキャンパスで6月3日に開かれた討論イベントで、捕鯨の容認派と反対派が同じテーブルに着いた。双方が対峙(たいじ)するのは異例だという。それぞれの国が食を含めた多種多様な文化を育んできた中、捕鯨だけが標的になっている疑問を整理した容認派。これに対し、反対派はクジラを捕ることへの批判的感情をあらわにして応戦していたように見えた。互いの意見を尊重する趣旨で行われたが、果たして議論は深まり、解決の道は見いだせたのか。(小泉一敏)

 

日本伝統の捕鯨文化について賛否両論が交わされた討論イベント。反捕鯨活動家もスクリーン上で議論に参加した=6月3日、京都市左京区の京都大

日本伝統の捕鯨文化について賛否両論が交わされた討論イベント。反捕鯨活動家もスクリーン上で議論に参加した=6月3日、京都市左京区の京都大

 

クジラだけが捕獲制限

 

 討論イベントの会場となった京大には約90人が集まった。捕鯨に関心のある学生や留学生のほか、反捕鯨に異を唱える映画「ビハインド・ザ・コーヴ」を手がけた八木景子監督が参加。インターネットを通じ、米国の反捕鯨活動家も討論に加わった。

 

 「なぜクジラだけが特別なのか」。討論は、八木監督の疑問から始まった。

 

 世界中を見れば、ウシやブタといった動物が食べられており、当然、魚も捕獲されている。イヌを食べる習慣のある国もある。反捕鯨団体はクジラだけではなく、ウシなども食べない「ベジタリアン(菜食主義者)になるべきだ」と訴えている。

 

 だが、絶滅危惧種ではない種もあるにもかかわらず、クジラだけが全体に網をかけられて捕獲が制限されているのが実情だ。ウシは食べることに制限は一切加えられていないのだ。

 

 八木監督は「クジラだけが制限されているのは大きな差で疑問だった。このことを関係者に取材を進める中で、矛盾だらけと分かり、その憤りがこの映画になった」と切り出した。

 

 だが、八木監督の素朴な疑問に対する反対派の意見は分かりにくい。「ウシやブタなどすべての生き物を殺すのはよくない」。反捕鯨活動家はこう訴えたが、なぜクジラだけを標的としているのかという言及はなかった。

 

ザ・コーヴが反捕鯨の流れに拍車

 

 反捕鯨の流れに拍車をかけたのが、2009年公開の米国のドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」(ルイ・シホヨス監督)とされている。

 

 ザ・コーヴは、和歌山県太地町のイルカ追い込み漁、殺処分を隠し撮りするなどして批判的に描いた。映画はアカデミー賞を獲得し、国際世論の反捕鯨が加速した。

 

 一昨年に問題となった世界動物園水族館協会(WAZA)による日本動物園水族館協会(JAZA)に対する加盟施設の追い込み漁からのイルカ入手禁止を求める通告も、こうした延長線上にあるとされる。

 

 日本政府やJAZAなどは繰り返し、漁の正当性を主張。イルカに負担がかからないように漁の方法を変更するなど譲歩も重ねてきた。だが、ザ・コーヴに端を発した国際的な“外圧”に対し、日本は防戦一方の状態が続いている。

 

 ビハインド・ザ・コーヴは、こうした流れに、冷静な疑問の目を向けるべきだとして作られ、今回の討論会場では、まず予備知識として2作品が上映された

 

表面事象だけをとらえて「悪」と批判?

 

 討論は映画の本質にも及んだ。

 

 八木監督は、イルカなど鯨類の殺処分だけをことさらに強調するザ・コーヴの偏向性を指摘。「ドキュメンタリーとするならば、最初から先入観を持たせるようにすべきではない」と訴えた。

 

 これに対し、反捕鯨活動家はビハインド・ザ・コーヴを見ていないと主張。太地町で鯨類の殺処分が公開されず、閉鎖的に行われていることに疑問を呈し、「やましい部分があるからではないのか」と反論した。

 

 ただ、太地町では反捕鯨団体の動きが活発化している。さらには国際的批判を意識し、ザ・コーヴ以前は何ら隠すことのなかった解体を、人目に触れないように配慮するなどした経緯がある。反捕鯨活動家がこうした変遷に触れず、隠しているとする現在の表面的な事象だけをとらえ、「悪」だと批判の矛先を向けたことに、八木監督はさらに応戦した。

 

 「どのような動物であれ、殺処分の場面を見て平気な人はいない。ザ・コーヴのシーンは人の感情をあおっていて卑怯(ひきょう)だ。隠すことを批判するのであれば、他の動物の殺処分シーンも同様に見せるべきだ」と主張したが、活動家の見解とは平行線をたどった。

 

「日本人の立場発言し続けるべきだ」

 

 双方の姿勢の違いが鮮明となった討論は2時間に及び、最後に会場に集まった留学生らに捕鯨の是非の採決が取られた。結果は賛成、反対ともに約4割で差がつかず、残りは「まだ決められない」とした。

 

 日本では、3年後に東京オリンピックの開催が予定され、反捕鯨団体の動きも活発になるとみられている。そんな中で行われた今回の討論イベント。八木監督は反捕鯨活動家との対峙を終え、危機感を募らせつつこう力を込めた。

 

 「反捕鯨(の主張)は当初、絶滅危惧種だから駄目というものだった。それが捕獲方法が残酷だに変わって、最後は(鯨類は)賢いから駄目だと、論点がどんどんずれてきている。日本人の立場をきっちりと発言し続けることが重要だ」

 

 

「 デンマークの鯨漁は認められ日本のイルカ漁が糾弾される理由 」

『週刊ダイヤモンド』   2011年4月30日・5月7日合併号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 885

http://yoshiko-sakurai.jp/2011/05/07/2643

 

東日本大震災で明らかになった最も深刻な問題点の一つが、いまさらではあるが、日本の情報力の欠如である。 

 

情報力の基本は、(1)正確な情報の入手、(2)誤解を招かずわかりやすく伝える、(3)最速のタイミングを計る、に尽きる。今回の原発事故では、明らかに日本政府の情報力の弱さが被害拡大の要因となった。

 

事故からひと月以上が過ぎた4月17日、クリントン米国務長官は自ら希望して訪日した。日米同盟の絆と日米関係の強固さを確認することは、中国やロシアへの抑止力ともなる。

 

一方、長官は原発事故に関しても重要な情報を発信した。事故直後、米国政府は自国民に日本、特に東日本からの退避勧告を出したが、今回、長官は原発から50マイル(約80キロメートル)圏内を除き、退避勧告を解除したのだ。

 

「米国のビジネス関係者やその他の米国人にも、通常どおり日本を訪れ、生活するようにと奨励しています」と述べ、福島第一原発周辺地域への警戒は必要だが、それらを除く日本は安全だと明言したのだ。米国やフランス、その他多くの国が退避を指示したのは、日本全体が放射能で汚染されたと見たからだ。退避勧告の解除は、一部地域を除く日本全体の安全がわかってきたからだ。

 

日本の安全性が判明しても、誤解は一人歩きする。3月の貿易統計が貿易黒字の前年同月比80%減少を示したように、あらゆる分野で日本の輸出品が風評被害を被っている。情報力の欠如が国力を殺いでいるのだ。

 

情報発信に関する消極性が日本を不当に追い込むもう一つの顕著な事例にイルカ・鯨漁がある。この件での「日本対世界」の対立の奇妙さを分析したのが吉岡逸夫氏の『白人はイルカを食べてもOKで日本人はNGの本当の理由』(講談社新書)である。氏の指摘は、情報力を磨かない限り、日本は原発事故でもイルカ漁でも不当な敗北を喫し続けることを示している。

 

和歌山県太地町で行われている伝統のイルカ漁が「ザ・コーヴ」(入り江)として米国で映画化され2010年のアカデミー賞を受賞したことは当欄でも取り上げた。

 

同映画にはイルカの血で赤く染まった湾が日本人の「野蛮さ」と「残虐さ」を示す場面として繰り返し出てくる。世界で日本人だけが「こんな殺し方をする」という強いメッセージを、映像は発している。

ところが、デンマークのフェロー諸島でも同じように多数の鯨を浅瀬に追い込み、海を赤く染めて殺して食料にしているところがあった。そのことを吉岡氏が詳しく報じたのだ。

 

衝撃的なのは右の書に掲載された写真である。「ザ・コーヴ」が伝えた太地町のイルカ漁の映像とまったく同じでありながら、伝わってくるメッセージは天地ほども異なる。数十頭の鯨が後頭部から円を描くように深く切り込まれて血の海に並べられている。その海岸には、幼な児からお年寄りまで多数の人びとが集まり、豊漁を喜んでいる。鯨漁には誰でも参加でき、参加すれば鯨の肉を分配してもらえるのだそうだ。

 

このフェロー諸島にもシー・シェパードがやって来て漁を妨害した。そのときからフェロー諸島の人びとは伝統としての鯨漁を正当化する情報発信を始めたそうだ。今では鯨をいかに素早く殺すか、その道具や手法から、どのように食生活に取り込んでいるかまでを説明し、正当化するDVDを作製しているという。

 

太地町の人びとと外務省がイルカ漁について沈黙を決め込む日本とは対照的である。結果、フェロー諸島の人びともデンマーク政府も、もはやシー・シェパードにも国際世論にも糾弾されることはない。情報を正確に早く、堂々と発すること、情報力を磨くことによってしか、日本は勝ち残っていけないと思うゆえんである。

 

 

参考記事 ぜひ見てください

 

日本の捕鯨を叩く欧米人がアラスカの捕鯨を観てどう言い訳するのか覗いてきた

 

イルカ漁に抗議するため和歌山県太地町に居座るシー・シェパードの悪質な行動を記録した写真がネットで

 

  ノルウェー、アイスランドは商業捕鯨やっていることについては、ほとんど問題にされないのはなぜなのか?

  

 反捕鯨団体が日本ばかりを叩くのは、人種差別でなく反捕鯨で金になるのは日本だけだからです。

 

フェロー諸島のイルカ漁

どう見ても、日本の方が残酷だとは思えませんが・・・

 

 

 

 

 

日本の捕鯨は伝統漁ではないのか?