チベットの「聖なる大地」を汚す中国の乱開発…抗議デモに銃口向け、漢人のため資源を“収奪”


先に、チベット問題とは


 第2次大戦後のアジアの勢力図の変化により、チベットの独立状態は突然壊された。1949年、内戦に勝利した毛沢東が率いる中国共産党がチベット侵攻を開始、中国人民解放軍(以下中国軍)が国境に達し、軍事力を背景に十七条協定を強要した。チベットを「中国の不可分の一部」に組み込み、チベット民族に自己決定権(民族自決権)を与えず、「チベット問題」が起こった。


 その中で、チベットの自治を認める代わりに軍事と外交は中国が行う事が取り決められ、それを口実に中国軍がラサを占領。しかし、チベット人による自治は行われず、圧倒的な中国軍に対しチベット各地でゲリラ的な戦闘と流血が繰り返された。

 このような混乱の中、ダライ・ラマ14世は1950年に15歳で即位、中国による侵略を国連に訴え(1950)、中国(1954)、インド(1956)を訪問したが効果はなく、イギリスの協力も得られなかった。

1959年、中国軍はダライ・ラマ14世に一人で基地に観劇に来るよう迫り、拉致を予感したチベット民衆がラサで3月10日に蜂起(チベット民衆蜂起記念日) 、これ以上の流血を避けるために14世はインドに亡命した。


チベット問題の詳細は、下記を参照下さい


中国に侵略されているのは、東トルキスタンだけではありません。

http://ameblo.jp/jpppjppp/entry-11445859227.html



チベットの「聖なる大地」を汚す中国の乱開発…抗議デモに銃口向け、漢人のため資源を“収奪”


産経West【世界を読む】よ

http://www.sankei.com/west/news/141107/wst1411070001-n1.html


 中国チベット自治区で、環境破壊が進んでいる。豊富な天然資源に目をつけた中国政府による鉱山開発が次々に行われ、毒性物質が山河に垂れ流しにされているのだ。チベット人にとっては聖なる大地の汚染であり、各地で抗議の声をあげているが、当局の答えは「武力弾圧」。情報統制の中、妊婦まで銃撃されたという証言もある。公害などお構いなしで、チベットは中国本土の経済発展を支える「収奪植民地」と化している。(河合洋成)



           ニューデリーで、中国の習近平国家主席の訪印に抗議する亡命チベット人女性。

           マスクには「チベットに人権、自由はない」と書かれている=2014年9月(AP)


美しい聖なる山々が毒で犯され


 「役所を包囲していたところへ武装警官がやってきた。そして、突然、発砲を始めたんだよ」


 今年8月9日、同自治区中部のシガツェ地方で事件は起きた。自由アジア放送の伝えるところによると、鉱山による自然破壊への抗議デモをしていたチベット人に武装警官が発砲、13人が負傷した。その中には妊婦もいて、足を撃たれた。けが人は病院に運ばれたが、その後、どうなったかは全く消息がつかめない状況だという。


 同地区の鉱山からは金や銅などが産出され、武器の製造などに利用される。住民らは、何度も地区当局に採掘作業の中止を申し入れていたが、なしのつぶて。


 「役人たちが鉱山会社から袖の下をもらっているのは周知の事実。だから、中央政府から許可を得ているというだけで、会社にはやりたい放題にさせている」


 さらに、9月23日、同自治区のラサ東方、メルト・グンカル地方で繰り広げられたデモには千人以上のチベット人が集結。鉱毒を含んだ廃棄物が川に流れ、魚を殺し、聖地を汚染する状況に我慢できなかった。



              インド・ダラムサラの亡命チベット人学校に掲げられたチベット旗。

              ここに描かれた雪山の自然が破壊されようとしている(AP)


 「かつて、この辺りは清流と美しい山々の自然でも知られていた。今は違う。鉱山からの毒ですっかり汚染されてしまった」


 住民らは5年来、当局に改善を申し入れてきた。地区の環境政策担当者が来たこともあったが、決して鉱山が悪いということを認めず、「自然の成り行きだ」と言い放ったというから、住民無視の共産主義体制がよくわかる。


目の前の利益優先、資源開発は「漢人」のため


 「世界の屋根」と呼ばれるチベット高原は北極、南極に次ぐ“第3極”と指摘されるほど氷河に覆われ、豊富な水資源を有する。インドやパキスタン、ベトナム、タイなど南アジアや東南アジアの大河の源流地であり、黄河や長江(揚子江)など中国の河川にもつながっている。つまり、チベットの自然破壊はアジア各国だけではなく、自分たちの首を絞めることにもなるのだが、当局は目の前の利益優先だ。


 目の前の利益とは、この水資源であり、地下に眠る手つかずの鉱物資源だ。中国政府は西部大開発をスタートさせている。名目は後進地域の経済成長促進だが、実質は漢人が大多数を占める中国東部の生活を維持するためのエネルギー開発にほかならない。


 中国がいう“解放”から60年を超えた今、水資源は水力発電のためのダム建設へとつながり、地下資源をめぐっては政府お抱え、お墨付きを受けた企業が大手をふるって鉱山開発に乗り出している。


 金、銀、銅、鉛や亜鉛のほか、モリブデン、アスベスト、ウラン、クロム、リチウム…。“レアメタル”と呼ばれる希少な地下資源はコンピューターやスマートフォンなど現代生活に欠かせない最先端製品に使われ、中国政府は資源輸出による外貨稼ぎにも目がくらむ。

    


      中国チベット自治区ラサ西方にある氷河に覆われた高山(2009年11月)。

      2014年5月には、チベットの氷河が過去30年間で15%、約8千平方キロ

      失われたという報告もあった(ロイター)


「聖なる大地」を浸食する乱開発


 一方で、こうした乱開発が大地の疲弊につながっている状況が報告されている。ロンドンに本拠を置く世界的なNGO「フリーチベット」によると、チベットはもともと地震多発地なのだが、鉱山開発やダム建設で地盤の不安定化が進行し、昨年3月には、ラサ東部にあるギャマ鉱山で大規模な地滑りが発生、漢人の出稼ぎ労働者ら83人が死亡・行方不明となった。


 チベットでは大規模な露天掘りの鉱山開発が展開されている。それは、聖なる山々を切り崩し、大地に穴を開け、挙げ句の果てに汚染物質をまき散らし、山河に垂れ流す。明らかに公害であり、チベットの人々の抗議活動は当然の帰結だ。


 しかし、当局や鉱山会社は軍や武装警官を呼び、丸腰のデモ隊に平気で銃口を向けたり、電気ショックを与える武器を使ったりするのだから、人権などあってないに等しい。


 追い詰められたチベット人の中には、自殺を抗議の手段に選ぶこともある。同団体のホームページでは、昨年5月、飛び降り自殺をした39歳の男性のケースを紹介。「チベットに自由はない。チベットは独立しなければならない。ダ

ライ・ラマ(14世)に帰ってきてほしい」。そう叫びながら彼は制止する人々を振り切って死を選んだという。


 遊牧の地のチベットで、中国政府は過放牧が草原喪失につながるとして、無理やり遊牧民を定住化させている。一見、科学的な政策にみえるが、その裏にはチベット人から土地を取り上げ、その下に眠る天然資源を収奪する狙いがあるという。資源開発競争がチベットの大地を浸食しているのは疑いない。




              インド・ダラムサラで暮らす亡命チベット人の若者たち。

              彼らがまだ見ていない聖なる大地は、中国当局による

              環境破壊に浸食されている(AP)


 チベット亡命政権内閣は9月に発表した声明で次のように言及している。


 「チベットの環境に起きることは、何百万もの人々に影響を与える…。何年もの間、チベット人は自国の脆弱な生態系の自然管財人としてうまく仕えてきた。中国人はこのことを認め、尊重しなくてはならない」


 聖地チベットが、中国の栄華を約束する永遠の植民地として“解放”されたと認識すべきだろう。


追記


中国の侵略はこのチベットだけでなく、東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)がある。(関連記事をぜひお読みください)


関連記事


中国に侵略されているのは、東トルキスタンだけではありません。!

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東トルキスタンと言う国を知っていますか? (1) 中国の民族浄化政策

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