ここに来てここで生まれたこの恋はこの手の中にこっそり隠し
こころには持つて行き場があればいいだから私はただ歌ふだけ
手のひらにひと匙のせし氷菓子の行くあてもなき恋の患い
坂の下で待つ若き日の胸の内を想い返してなお持て余し

生まれたらあとにひけない生きものの同志ばかりがいまここにいて

握りしめた手の青白き悲しみはゆるめた指の血潮に抱かれ

慈しみのメッタ・スッタのパーリ語の生きとし生ける響きの中に

捨てるものがこれだけあると聞かされし動揺の中ふと我を消し

ことわりを知らぬがままに身を添へて道知らぬ間に息従ひて