秋の、
サイレンスズカの悲劇は、いまだ記憶に新鮮に残るほど衝撃的だった。

思う返す度に、胸が引き散られそうな気分に陥いる。。

私はこのレース、WINS後楽園の地下モニターで観ていた。

だいたいWINS後楽園は、制服に身を固めた軍団が、

エスカレーターで、タバコを吸おうものなら、
待ってましたとばかりに、大いに注意される(当たり前だが)。

地上4階が喫煙OKだったのが、全館禁煙になってしまった。

まったく嘆かわしいものである。

それでも、どうしても喫煙観戦ができない輩は、

地下の、呑み屋やらラーメン屋やらが軒を連ねる
小さなモニターのある場所に、自然と追い込まれる。

喫煙堂々OK、酔っぱらいはフラフラ、人にぶつかり放題OK。

100円単位の馬券を握り締めたのおじちゃんばかりなのだが、
レースの発走が近付くと、三々五々、どっと押し寄せ、
WINS後楽園で一番息苦しい雰囲気に包まれる。

私は愛煙家ではないが、
実はその、煙草の煙と呑み屋とラーメン屋の香りで
昭和ロマンの匂いプンプンの雰囲気が、
どうも性にあうようでで、よくそこにいるのだが…。

――サイレンスズカの話でしたね。…

みなさんも、サイレンスズカは、
印象が強烈だったのではないでしょうか?
97年のダービーで、ダービーお決まりの1~2頭ははいる
「関西の秘密兵器」が、サイレンススズカだった。

当日4番人気。

しかし、ゲートで大ドジ踏んで、結果9着。

その後、神戸新聞杯で2着があるも、
パッとしない成績が続いた。

それが、神様武様仏様に乗り移って、
2戦目。以降からは怒涛の逃げ切り勝ちの連続。

そのスピードたるや場内がシーンとしてしまうほど呆気にとられるものだった。

世間でも、にわかスズカファンで盛り上がった。

史上最強馬とのウワサと囁かれた。
それがどうだ、天皇賞3コーナーでの骨折。

脚がブランブランにあるほどの重症。
武様もあせりまくりの表情がありありと伺える。

その時、
私は背後から信じられない合唱を聞いた。

「やったァー!!ブライト!!ブライト!(メジロ)」
「いいぞ、ブライト行けっ!」
「ステイ(ゴールド)、行けーっ!」と、

サイレンススズカの大怪我に多数のファンが大歓声なのだ。


…耳を疑った。


あれほど、スズカ、スズカと、スターホース扱いたした挙句、
<圧倒的1番人気馬の故障=その馬を外して買った馬券も持っているヒト>が、
大合唱だ。

歴史的名馬の故障に、
私は改めて耳を疑った.

「やったァー」、ねぇだろう。

我が国はこんなに競馬に対して精神が貧困なのかとさえ思った。

当日まで「2着探し」とまで
持ち上げたスターホースの哀れな姿に、
なぜ歓喜の声が上がるのか…。

日本の至宝を失った瞬間に・・・。

私はスズカを想い起こすたび、
「やったァー」という声援のトラウマになっている。

結果は、というと、

6番人気オフサイドトラップ1着―4番人気ステイゴールド2着で決まった。

2番人気メジロブライトは伸び切らず、5着に沈んだ。
「ブライト!ブライト!」と連呼した恥知らずの連中に
「ザマアミロ!」

とさえ思った。

私はサイレンスズカを、10年、いや20年に一度の逸材の馬と信じており、
思わず涙ぐみ、唇を強く噛んでいた。

今回は暗澹たる話に終始して申し訳なかったでス。

しかし、
ドンピシャ競馬の予想は、チョーライトです。


ドンピシャ競馬


私の自宅から15分ほど歩くと、
JRA馬事公苑の裏門に突き当たる。

土曜、日曜は、メイン会場の角馬場で、
なんらかの競技会が、必ずおこなわれている。
私は、この馬事公苑の馬術競技の空気が大好きだ。

「誰だ!この旗を付け方は!競技委員が、顔を真っ赤にさせて走り寄る。
「東○大学」と書かれた旗が、
電線に引っかかった凧のように、ヒモがほどけ、風になびいていた。

馬術競技を観続けているうちに、馬術競技の奥深さが理解できてくる。

午前中に馬券を買ってきておいて、
午後はラジオを聴きながらのノンビリ馬術観戦なのだが、
それでもルールが少しずつ分かって来る。
そうなると、馬術競技が俄然面白くなってくる。

しかし、
あらゆるスポーツの中で、最も観戦者が少ないのが馬術競技ともいえるだろう。

いい日和でも私を含めてせいぜい2~3人。
大学の大会のときは、馬術部員で、多少ごった返すが、
それでも、一般の観戦者はほとんどいない。

一番驚いたのは、メインスタンドに10人ほどもいた日があったので、
おや珍しい?
今日はやけに盛況だな、と垂れ幕を見たら、
「全日本選手権兼オリンピック選考会」とあって、ずっコケた。
なんとオリンピック選考会の観客が10人ほどなのだ。

馬術の故郷、英国では、
このような状況だと、国民的行事として、おおいに盛り上がるというので、
わが国とは、なんたる格差だろう。

馬術競技でも、障害馬術といわれる、飛んだり跳ねたりする競技は面白いのだが、
馬場馬術といわれる、馬がトントンと歩いているだけなのは
ルールに疎く、見ていて面白くないので、
馬事公苑の周回馬場に面している芝生の観客席で、缶ビールを飲んで、寝っころがることに決めている。

ドカッ!ドカッ!というダートならではの重い脚音が耳に心地好い。
そのようなビールのウトウト状態で、
ジリジリ照りつける陽の照りを瞼に感じているときが私の至高の状態だ。

そんなある日、
私がウトウトしていると、
「こんにちは!お昼寝ですか?」と私の頭上から大声が降りかかった。

真っ黒な馬に跨るSの声だった。
千葉にある競馬学校で、教官として、
武豊、松永、横山典、福永、柴田善、田中勝、江田照、武幸、和田、四位、池添、角田、渡辺、幸、吉田豊、藤田、熊沢、佐藤哲、
などなど、そうそうたるメンバーを鍛え上げてきた男だ。

その当時、
Sは、馬術競技でオリンピックの強化選手となり、競馬学校を離れ、馬事公苑へとやってきたのだ。

「長屋さん、この馬バナレットです。…もちろん知ってますよね?もうヨレヨレなんですがネ」……

バナレット。

なんと懐かしい名だろう。まさか馬事公苑で再会できるとは思わなかった。

…しかしSは、これほど大柄な馬を何の気配もさせず、
私の側に歩み寄ってきたのだ。
馬は普通、どんなに遅い歩みでも、
ザパザパ音を立てるが、この男の手にかかると、人の歩より、静かに歩ませることができる。

――バナレット。

忘れもしない。舞台は1987年に遡る。

皐月賞トライアル弥生賞。
圧倒的1番人気はマティリアルだった。
そのマティリアル、第4コーナーを廻ったときは、なんと最後方だった。

会場からは悲鳴に近い嗚咽が洩れた。
先行グループからグイっと躍り出たのがバナレット。
ゴールは間近だ。
バナレットの勝利は、誰しもが確実なものに見えた。

……その時、大外を疾風のごとくスッ飛んできたのが、マティリアルだった。

勝利確実に思えたバナレットを、ゴール直前で抜き去ってしまった。
このレースは「マティリアル伝説」と呼ばれ、
マティリアルはその後、皐月賞、ダービーとも圧倒的1番人気に支持されたが、
皐月賞3着、ダービー18着と、ファンの期待には応えられなかった。

確実な勝利をさらわれたバナレットはその後、
ローカルで1勝をあげたが、ひっそりと引退していった。
身柄は馬事公苑が引き取った。

マティリアルは、敗戦を繰り返したが、なんせ、「マティリアル伝説」が競馬ファン信者を後押しした。

いつか復活してくれるだろう。

マティリアルは、ファンの後押しに、
その願いは後の京王杯AHで叶うのだが、ゴール後、予後不良で、薬殺された。

――もし、マテイリィアルが弥生賞で、あんな鬼脚を使わなければ…。

バナレットはそのレースに負けたため、
細々ながらも、馬事公苑で生きている。
マティリアルは毎回ファンの大声援を背にその一生を、線香花火のごとく全うしてしまった。……

サラブレッドの本当の幸せとは何なのだろうか。あなたはどう思いますか?

ドンピシャ競馬の予想、ナイスです。


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京王杯AH―データからみえるもの

ローカルに移行したと思ったら、

もう秋競馬のシーズンになった。競馬の移り変わりは速いものである。
中山の初週を飾る名物レース、

京王杯AHは、このところ9年間で、顕著なデータを残している。
1番人気[3003]2番人気[2115]3番人気[1215]と、
揃いも揃って、連帯率33%だ。
この傾向でいけば、
ついつい3連単に触手が伸びそうになるが、
考えてもみて欲しい。
せっかく3着以内が、33%もあるということは、
無理に3連単に走るより、
1番人気から5番人気あたりの3連複の方に妙味がある、と読んだ。


――各馬のシルシ

◎にはあえて、ステキシンスケクンを推す。
このところの成績はいまひとつパッとしないが、
3走前にみせた、中段から伸びる息の長い脚がこの馬の身上だ。
今回は、開幕週の絨毯芝。
スピード十分のタイプには持ってこいの舞台となるはずだ。

陣営は、同馬の近況は抜きにして、
その血統に惚れ込んでいる。「あの、ノーザンダンサーの直子のダンジグが父。
種牡馬として、卓越した枚挙にいとまがないほどに、名馬を残している。

シンスケも、随所にその傾向をみせる。
やはりスピード型のシンスケはダンジグの血を深く引いているんだろうね。
その点、開幕週の芝は持ってこいだ」と、今回は自信たっぷりの構え。


○には、やはり、十分なスピードを兼ね備えたキストゥヘヴンを挙げたい。
父はアドマイヤベガ。直仔には、アドマイヤフジ、アルナスラインなど。
キストゥへヴンが桜花賞を、スピードだけで後続をちぎった脚の印象は今でも強烈だ。
母は1勝馬だったが、その半姉にはエリザベス女王杯馬のロンググレイス、
京都牝馬特別馬のファイアーダンサー。
いとこにはラッキーオカメ、ファイブコマンダーと、華麗なる血筋をほこる。
母系の仔には、スピードとスタミナを重ねたタイプが多く、
時計勝負の決着になった場合は大きく台頭してくるであろう。
 
▲には、マイケルバローズが不気味な存在だ。
前走、6ヶ月休養後を一叩き。しかも見せ場はたっぷりと作った。
今回は万全の体調で出てくるに違いないはず。
やはりこの馬も、馬券からは外せない。

その他、△の注目馬は、リザーブカード、
サトノプログレス。特にリザーブは関屋記念で、
短期休養明け2着と好走。さらに上積みが見込める今回は、手ごわい存在と言えるだろう。

さて5頭の馬を列記したが、
あなたはどう買いますか。

それとも上記以外から勝負しますか。
先般に述べた通り、
このレース、伏兵馬はまだまだいる。
私のシルシは紛れもなく自信のもとに付けたが、
そうかといって単純に3連単に飛びつかないでいて欲しい。

ここは私推奨の上記5頭の3連複BOX10点買いで、
控えめに勝負に行くべきだ。


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