地政學には、心臓地帶(ハートランド)といふ言葉がある。恰度、現在のロシヤが占めてゐる位置である。昔から心臓地帶(ハートランド)を制する者は世界島を制す、と言はれて來た。

 

 

岡田英弘によると、モンゴル帝國から世界史が始まつたのださうだ。文字に記された歴史といふ事ではさうなのだが、世界システム自體は紀元前から成立してゐた。

 

 

さうでなければ日本の銅鐸文化や支那の青銅器文化は成立しない。あれはメソポタミアの非食用の蜜蝋が無ければ築けない文化だ。つまり世界システム自體は紀元前から存在した。

 

 

それは世界の東西を交流させた本當の世界システムだつた。その本體がハートランドである。支那やヨーロッパは世界システムの邊境世界、周邊地帶(リムランド)にすぎない。

 

 

但し、モンゴル帝國成立まで、ハートランドに獨自の文字は無かつた。だからモンゴル帝國の成立まで世界史が記述されなかつたのである。

 

 

ヨーロッパに大航海時代が始つて、世界システムに大きな異變が起きた。それまで東西の情報や文物はハートランドのステップ地帶で主に交換されて來た。

 

 

これは絹街道(シルクロード)ではなく、それより北にある大街道である。それが大航海時代以後、物と情報との移動は海が主役になる。これが第二の世界システムの仕組である。

 

 

馬車で運べる物品など、大型船に比べれば僅かなものである。例へば現在の支那の海外貿易の九十五パーセント以上は海に頼つてゐる。

 

 

そして今日では情報交換のメインロードは假裝空間になつた。所謂、インターネットの時代である。世界システムの主軸は二度転換したのだ。

 

 

もつとも物の移動の主軸は海の儘である。これが今日の世界システムの姿である。かうした世界システムがわからなければ、歴史も理解できない、

 

 

いまやハートランドを制しても世界島は支配できない。世界島の支配自體がモンゴル帝國でさへ不可能な事だつた(惜しい處までは行つた)

 

 

ましてソ聯ごときに世界島が支配できた筈がない。そのときの世界システムの主軸はユーラシアの大草原ではなく海なのだ。