『數學ビギナーズ・マニュアル』といふ本を讀むでゐたら、「一意的」といふ數學用語の解説が載つてゐて、「uniqueの譯で唯一存在する事」と書かれてゐた。


間違ひである、ビギナーにかういふ間違ひをする人が多い。一意的とか一意性といふのは、二つあればそれは同じものといふだけの意味である。存在までは保證してゐない。


例へば或る方程式の解が一意的とは、二つの解があればそれは同じものといふ意味である。解の存在も、そもそも解法が存在するかさへ分らない。といふか言及してゐない。


よくビギナーは誤解するのだが、「存在」と「一意性」は獨立した別の概念なのである。少なくとも、數學の「unique」はさういふ意味である。


かう説明すれば分りやすいだらうか。解が存在するとは、1個以上の解がある、といふ事である。解が一意的とは、解が1個以下といふ事なのである。當然、0個といふ事も有り得る。


だから、「一意的に存在する」と言つて始めて「唯一存在する」事が言へたのである。そのためには、一意性と存在を別に證明しなければならない。


これは特に組合せ論では、嚴密に區別されてゐる。といふか、正しく理解してゐないと專門書を讀むでも意味が分らん、といふ事になるのである。