生殘つた異端」といふ記事で以前、キリスト教の異端について解説したのだが、アリウス派やネストリウス派は消えた、といふやうな事を書いた。


間違いでした、御免なさいm(_ _)m ネストリウス派(景教)は今日でも生殘つてゐるらしいのである。アツシリア東方教會である。これがネストリウス派の流を汲み、アツシリア正教會とも呼ばれる。


勿論、東方教會とか正教會とか言つても希臘正教とは關係がない。正教、舊教、新教の主流派からみれば、彼らは異端なのである。


ちなみにネストリウス派が異端として追放されたのは第三囘エフエソス公會議によるもので、問題になつた教義はマリヤを「神の母」と呼ぶか呼ばないかといふ事である。


ネストリウス派マリヤを「神の母」ではなく「救世主の母」と呼んだ。これをテオトコス論爭といふ。因みにアッシリア東方教會といふか景教も三位一體のニケア信條は受け入れてゐる。


といふ事は、消え去つた大きな異端信仰はアリウス派だけらしい。これは、イエスは人であつて神ではない、といふ解釈をするからニケア信條も認めない。一時は羅馬(ロオマ)などで大勢力だつたらしい。


第三囘エフエソス公會議までは認めるが、その後の第四囘カルケドン公會議は認めないといふ非カルケドン派も、現在では生殘つてゐる。コプト(埃及の古稱)正教會やアルメニア使徒教會、シリア正教會、エチオピア正教會などがある。


ムツソリイニがエチオピアを侵略した理由の一に、彼らの異端信仰があつた。といつても舊教(カソリック)といふかカルケドン信條を認める宗派にとつての異端だけれども。


一應、カルケドン信條についても解説しとく。カルケドン公會議では、キリストは神性と人性という二つの本性を持つという立場(両性説)が確認された。


キリストは神性のみもつといふ信條は單性論と呼ばれ異端とされた。コプトその他の上記教會である。ただし、彼らは自分たちの説を單性論と自稱してゐる訣ではないので、今日では非カルケドン派などと呼ばれてゐる。


かうしてみると、三位一體を含むニケア信條はアリウス派を除くキリスト教諸派の共通の信條である事に気づく。アリウス派はもう存在しないらしいので、ニケア信條がキリスト教諸派の共通の教義である。