超のつく數學用語については、以前にも記事に書いた。今囘の話題は、超準解析である。


超準解析は、英語ではノン・スタンダード・アナリシスといふ。直訳すれば、非標準解析といつたところか。では何故、ノン・スタンダードは超準と訳されたのか


スタンダード・アナリシス(要するに微分積分)は、発生当時は大きな問題を抱へてゐた。無限小といふ数を定義出来なかったのである。そこで無限小は数ではなく函数の性質といふ事にした。


この無限小といふ性質は、イプシロン・デルタ論法などを使用して定義される。高校数学の微分積分では、ここまで厳密な議論はせず、ただlim(ギリシャ語でリーメスと読む)といふ記号が良い加減に使はれてゐる。


要するにスタンダードなアナリシスは、無限小といふ数を扱はないのだ。ところが、二十世紀も後半に、数学者たちは無限小を数として合理的に定義する事に成功した。


実数には、無限小や無限大といつた数は含まれない。それは、実数の定義がさうなつてゐるからだ。そこで数学者たちは実数を拡張して無限小や無限大といふ数を含む超実数といふ数を定義した。


超準解析とは、この超実数を使用した解析なのである。この理論では、無限小や無限大といふ数を使つて微分や積分を定義できるのだ。


超準といふ訳語の雰囲気が、いくらかでも伝わつたらうか。それにしても、メタやウルトラ、スーパー、ハイパーだけでなくノン・スタンダードまでと訳すのはどうかと思ふのだが。