日本の本来の宗教は多神教で、だから一神教には無いであらう樣々な習慣がある。例へば、神々を数へるための数詞がある。この話は以前したから繰返さない。


今回の話は、枕言葉である。「神」といふ言葉にも枕言葉がある。かう言ふと人によつてはすぐ、「千早振る」といふ言葉が思ひ浮ぶかも知れない。けど、もう一つあるんだよ。


もう一つの神の枕言葉は、「たまちはふ」といふ。「タマチハウ」と発音し、無理に漢字で書けば「霊幸」となる。では、「ちはやぶる」「たまちはふ」はどう使ひ分けるのか。


『古事記』には「この国に道速振(ちはやぶ)る荒ぶる国つ神等(ども)」といふ文がある。「ちはやぶる」の註には、「暴威を振るう」とある。あまり良い言葉ではない。


善神たちの枕言葉が「たまちはふ」で、悪神どもの枕言葉が「ちはやぶる」である。少なくとも、古い文献ではさう区別されてゐる。


実はこのネタは、今日「鎌倉で『古事記』を読む会」で仕入れてきた。講師は高校の教員をしてゐる私の友人の博士である。あ、国文学の博士ではなく、神道学の博士ね(本当にかういふ博士号が存在する)


今回は正仮名遣で記事を書いてみた。漢字は読めないとまずいので新字を使つてゐる。クレームが多くなければ、今後はこれでいくつもりである。