珠玉のザールシュタイン2006
2007年5月に醸造所を訪問した際、買って帰ったボトル。
シュロス・ザールシュタイン醸造所の2006年産リースリング・シュペートレーゼ・トロッケン。
2本買ったうちの1本は1年後に開けたが、もう1本は約15年半の間、大切に寝かせて保管してあった。
どんなワインだったかはすっかり忘れてしまっているが、試飲して買ったんだからたぶん美味しかったんだろう。
敢えて昔の記録は見ずに、初めて飲むつもりで開けてみた。
抜栓途中でコルクがちぎれて破砕するも、なんとか事無きを得る。
外観はオレンジ色がかった黄金色...ありゃ~、ひょっとして逝っちまったか?と若干不安になる濃い色合い。
香りは熟したアプリコットやマンゴーなどの果実に、ローストアーモンド、ドライフルーツ、アンズジャム、
湿った木や土、蜂蜜、カラメル、ココナッツサブレ、シェリー酒など、ナッティーでペトローリーな熟成香。
貴腐のニュアンスもある。あ~、確かエバートの旦那がそんな事言ってたっけなぁ。
飲んでみると、マッタリとしたまろやかな果実味で、実にナッティー。
歯に少し染みるような刺激があるので、この酸とバランスを取るため多少なりとも残糖は多めなのかもしれない。
各要素の混然一体感があるのでミネラル感の吟味は難しいが、とにかく美味い。そして凄いわ、コレ。
今夜の夕食、サバフグのタタキや鰺のムニエルとも違和感無し。
でも辛口とは言え、これは食事酒じゃなく単独で愉しむべき古酒だと思う。
抜栓2日目。相変わらずの心地良い熟成香と貴腐感。初日より若干甘味が後退して綺麗な酸が存在感を増す。
舌の上に拡がる、重心低めの苦み走ったシーファー・ミネラル味も初日より明瞭。
抜栓3日目になると酸が俄然存在感を増す。貴腐感や複雑感、熟成感を向こうに回して
透明感や柑橘感が半端無いのはこの秀逸な酸のおかげだろう。ザールシュタインの面目躍如といったところ。
抜栓6日目。ボトル底に残った最後のグラス半杯を注ぐと
瓶底にごっそり溜まっていた白い粉状の酒石が舞って、まるで濁り酒状態。
それにしても14年半前に開けた時も素晴らしかったが、瓶熟を経た今もなお素晴らしい。90/100
2006 Riesling Spaetlese trocken
Weingut Schloss Saarstein (Serrig/Saar)
A P Nr 3 555 014 7 07,Alc 12.5%vol