あと5年は開けるべからず | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

あと5年は開けるべからず

先日お客さんへの進物用のボトルを探してゴソゴソやっていたらふと目に付いて、何となく開けてみたくなった。
シュロス・ザールシュタイン醸造所の2007年産リースリング・カビネット・トロッケン。
只今瓶熟8年ちょっとを経過したところである。

上のクラスの開け時を探るために1本残してあったボトルで
確か一昨年だったか、2003年産のコレを瓶熟10年で開けて
「もっと寝かせた方が良かった」と後悔した筈なのに、懐かしさも手伝いつい出来心ってやつで開けてしまった。
最近すっかりご無沙汰してて、もう随分長いこと新しいヴィンテージも買ってないのよね...。


なるほど熟成が進んでいる様子で、外観は黄金色がかった黄色。
湿った木や土の香り、そして蜂蜜や微かにナッツのニュアンス。
スワーリングするとペトロール香一色となり、僅かに鉛筆の芯っぽい香りも。

口当たりは輪郭の丸いポッチャリ系の果実味と、重心低めの鉱物的な味わい。
意外なほど酸が大人しいせいか残糖やや多めに感じる。柑橘の薄皮系のミネラル味。
しばらくするとまず歯にチクチク染みるところから始まり、ようやく酸が前に出て来た。
2日目になると酸がグッと主張と存在感を増す。それでも残糖はちょっと多い方か。85/100

8年前に開けた時はやたら酸が強くて、造り手の側もある程度それに見合う量の糖を残したのだろうが
経年するとそのバランスが変化して、現時点では残糖の多さと軽いペトロール感が引っ掛かる。
そもそもザールシュタインの辛口リースリングって、寝かせるよりもフレッシュな時期に消費してしまった方が
その魅力を最大限に享受出来ると思っているのだが、ある1本の経験がその観念をやんわりと否定する。

もう随分前になるが、瓶熟13年半ほどで開けた蔵出しの1994年産シュペートレーゼ・トロッケン
醸造所で買って来て5年ほど寝かせてから開けたのだが、あれは本当に素晴らしかった。
個人的にはその再現を狙っているけれども、なかなか13年も辛抱出来ないのが修業の足りない証拠。

2003にしろこの2007にしろカビネットでももう少し残糖が落ちるまで寝かせた方が良さそうなのを再確認したので
シュペートレーゼは最低あと5年は寝かせることにしよう。とは言えすぐに忘れるのでここに記録しておく次第。
あとは5年後に今と同じ調子で飲んでいられる健康状態にあるのかどうか、それが最大の問題。

2007 Serriger Schloss Saarsteiner Riesling Kabinett trocken
Weingut Schloss Saarstein (Serrig/Saar)

A P Nr 3 555 014 06 08,Alc 11%vol,9.00€