微妙なスタイルの差 | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

微妙なスタイルの差

先日、ロバート・ヴァイル醸造所の2014年産カビネット・トロッケンを開けて
久しぶりにヴァイルらしい(と勝手に思い込んでいる)透明感のある香味にいたく感動したけれども
ではまったく同じ価格のオルツヴァイン、2014年産キートリッヒャー・リースリングは
やっぱり2013年産や一部の2012年産に見られたような、これまでと一風変わった冴えない造りなのだろうか。

エティケットにある情報からは、カビネットがアルコール度数11.5%に対してこのキートリッヒャーは12.5%。
生産者による値付けが同じという事から、材料は恐らく同レベルのモストだと推測されるので
後者は市場の趨勢に鑑みて、より辛口ワインとして求められるスタイルに近付けるべく
シャプタリザシオーン(補糖)されての結果がこの1%の度数の差となっているのだろう、少なくともそう思える。
それに加えて何か素人にも判るようなスタイルの違いが両者の間には有るのか?これが目下の興味の的。


薄いライムグリーン。比較的粒の大きな気泡がグラス壁にポツポツ付着。
香りは洋梨やスウィーティーなどの柑橘、そしてカーボン紙のニュアンス。
口当たりはジューシーな果実味、肉付きはしっかりとしている。
果実味にやや押され気味の酸は、それでもそこそこ凝縮感があって不足は無い。
ザクザクとした触感のミネラル味は舌への収斂性も強く、中盤以降前面に出てホロ苦い余韻も長め。

心持ち複雑感も有るような無いような。だが前年産に感じたようなネガティヴな香味は気にならず
昨今素人が気にしているような「木樽比率を高めた事による弊害で、味筋が変わってしまった?」なんて想像は
実は単にヴィンテージの傾向に過ぎなかったのかもしれない。
少なくとも先日開けた同価格のカビネット・トロッケンとの明確な差別化のポイントは利き分けられなかった。

強いて言えば若干フローラルなニュアンスを感じた点ぐらいで、木樽や培養酵母に由来するニュアンスだろうか?
クリーンさ&軽さのカビネット・トロッケン、ややフローラルで複雑&力強いキートリッヒャー、といった構図だろうが
まぁ凡百の飲み手にとっては、造り手が意図するスタイルの差なんて
ヴィンテージによる味わいの差の前ではあまりにも微妙過ぎて判りっこないって事なんだろうな、悲しいけど。

翌日はお決まりの如く酸が引っ込み果実味は前面に出て、幾分残糖も有るのか半辛口寄りの味わい。
翌々日は18年物の古酒の後に飲んでみたが、なるほど確かに残糖は多い。85/100
(過去のヴィンテージ→2013年産2012年産2011年産

2014 Kiedricher Riesling Qualitaetswein trocken
Weingut Robert Weil (Kiedrich/Rheingau)

A P Nr 34 003 021 15,Alc 12.5%vol,16.07€