2003年産、これからでんがな | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

2003年産、これからでんがな

なんだか今日は若くて元気なリースリングを受け止めるだけのエネルギーが無くて
ちょっとくたびれた感のある、元気の無いリースリングが飲みたい気分。たまにはこんな日もある。
えーっと、10年ぐらい経っててちょっと枯れていそうな、出来れば軽めのカビネットはどこにあったっけ...
と探していたらこんなのが未だ残っていた。いや、正確には「敢えて残していた」のだが。

シュロス・ザールシュタイン醸造所の2003年産リースリング・カビネット・トロッケン。
ウチのワイン庫で寝ていたボトルだが、8ユーロちょっとの安ワインを10年も寝かせる酔狂は承知の上である。
5年ぐらい前、吉野へ鮎を食べに行った時に持って行ったっんじゃなかったっけ?いや、あれはQbAだったか。
すっかり忘れてしまっているが、調べてみると4年ほど前に開けている。やっぱり記録は残しておくものである。
4年前は酸が落ちてかなり黄昏感があったので、もう随分枯れてしまったんじゃないかと予想して抜栓。


やや暗い色調の真鍮ゴールド。極僅かに気泡が見られる。
香りはペトロール一色で、土臭い鉱物感と僅かに蜂蜜のニュアンスが有るような無いような。
口当たりはふっくらと優しい果実味、そして若干の残糖感。酸はマイルドだが存在感はある。
舌の中央から奥を強烈に収斂するミネラル味は重心が低くて苦い苦い。
ネーブルオレンジや甘夏を思わせる柑橘的な味わい。好みから言えば、この柑橘っぽい果実味がもっと落ちて
熟成感とシーファー・ミネラルがどんな世界を見せてくれるかに興味が湧く。という事はもっと瓶熟が必要ってか?

4日後。ミントや湿った木の香りがするが、スワーリングするとやはりペトロール香が主となる。口当たりの蜂蜜感。
全体に凝縮感が増しており、意外に酸もしっかりとした量感があるのに驚くが、やはりミネラル味が強烈。
それでも最終的にはやはり残糖が引っ掛かるのがネックで、もう10年待てば結構面白くなるんじゃなかろうか。
5日後。この先のポテンシャルを見極めようと、最後の1杯をチビチビ飲んでみる。
残糖はちょっと多めながら、酸はまだしっかり...いや他の要素が落ちるせいか却って際立つ。
参ったな、こないだ整理した時もっと奥に入れとくんだった。残念ながらもうこれが最後のボトルなのだ。84/100

前々から、時たま開ける2003年産の辛口が予想に反して良いのは経験上わかってはいたが
それにしても2003年産がこんなに長熟なヴィンテージだとは思いも寄らなかった。しかもカビネットで、である。
「夏が暑くて糖度は上がったものの、却って酸が弱くなって長期熟成には向かない」というのが専らの見方で
確かに果実味やアルコールに比べて酸が相対的に弱く感じられるせいか
フレッシュな時期が過ぎると今ひとつパッとしない印象のモノが多かったが、10年経つと漸く全貌が見えて来る。

結局、酸が弱いというのはあくまでも相対的な感覚であって
絶対的な酸量に不足の無い、ちゃんとした造り手のちゃんとしたモノは
これから面白くなる大器晩成型のヴィンテージのようである。
ということで、2003年産の辛口リースリングはもう少し大事に開けて行くことにしよう。飲み急ぎは禁物である。

それはそうとエバートの旦那、元気にしてるのかなぁ...。

2003 Schloss Saarstein Riesling Kabinett trocken
Weingut Schloss Saarstein (Serrig/Saar)

A P Nr 3 555 014 6 04,Alc 11.5%vol,8.25€


おまけ。今夜の我が家はポトフ。