前回の記事で書いた、医療関係、メンタルヘルス関連の展示品が多いロンドンの美術館、Welcome Collectionに行く度に気になっていた本が、ボビー・ベイカーというパフォーマンスアーティストの、境界線パーソナリティ障害と戦う絵日記を綴った「Diary Drawings: Mental Illness and Me」(2010年)です。今回買ってみてゆっくり読んでみました。
11年の病との闘いの中、毎日絵日記を描いた中から158点選び、世界でパフォーマンスのツアーを続けながら、プライベートはかなり深刻な被害妄想や、自傷の衝動、泣きながら過ごした時を素直に絵に記録されていて、すごいなあと思います。
家族やNHSでの精神科医やサポートチームやセラピーに来ていた人たちとのやりとりから感じた事、回復へのプロセス等がうまく表現されていて、とても興味深いです。ここに描かれた人たちに対してすこし失礼だったかも、とコメントされてありましたが、彼女の素直さが、すごく単刀直入に、インパクトの強いまま表現され、病の壮絶なつらさを感じ取られると同時に、ユーモアも感じさせられる本です。
彼女は水彩絵の具と水彩画用のスケッチブックで描いていますが、私も水彩絵の具は好きな画材の一つです。さっと色鮮やかに、その瞬間を空気までを記録したようなテキスチャーが好きなのです。私も毎日ではないのですが、アートセラピーのトレーニングを始めたころからスケッチブックに自分のプロセスを描いたり、書き込んだりしています。
2009年、Welcome Collectionの特別展覧会で彼女の作品は公開されましたが、今日でもオンラインアーカイブでも彼女の作品をみることができます。
https://wellcomecollection.org/bobby-bakers-diary-drawings