安岡氏の胸裡(きょうり)に生じた文案は〈
爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル然レトモ朕ハ義命ノ存スル所堪ヘ難キヲ堪へ忍ヒ難キヲ忍ヒ万世ノ為ニ太平ヲ開カント欲ス
〉といふ至高の格調を具へた一節だつた。

 事情を知つた安岡氏は〈学問のない人にはかなひません〉と長大息したが後の祭だつた。

『安岡正篤と終戦の詔勅』(PHP研究所刊)