4月1日 新年度となりました。私の居住する処には某大手建設会社の寮があり、今朝の駅には真新しいリクルートスーツに身を包んだ30人程度の一団が居ました。初出勤となるのでしょうか、何とも言えない緊張感明るい未来に対する期待感を漂わせていました。もう30猶余年も過ぎてしまったというなんとも言えない寂しさと、何で制服かと思うような格好を全員がしているのかというやっかみ半分の反感を覚えながらの出勤となりました。
そこで、羽織の裏側の話
アンティークと称される古着の大島の羽織の裏についている絵です。
男の羽裏ですので、まあお目出度い柄または絵が普通好まれます。
特に解説はありませんので絵柄だけで理解しなければなりません。
拡大して見ますと面を付けています。面は福福しい感じのものです。
さらに立烏帽子をかぶり、扇子を持っています。
対面には裃姿の二人が土下座しています。
肩衣には「万」の字、「宝尽くしの打ち出の小槌」の絵があります。
ここまで来るとこれは能・狂言の狂言の絵だと気づきます。
全体の景色はこうなっています。狂言となると何の演目でしょうか?
調べてみますと「福の神」でした。
節分に「福は内」と一声をあげていると福の神が現れます。
神様のご登場ですので太郎冠者次郎冠者は土下座で畏まります。
「はぁーはっはっはっ」と狂言特有の笑声で福の神様ご登場の図のようです。
この福の神は呑ん兵衛ですのでやたらと二人にお神酒をねだります。
そういう性格の神様の絵柄ということです。
この羽織それほどまでは古くないと思います。よくある大島でしょう。
ただこの羽裏を付けたという処に何とも興味をそそられます。
粋人でしょう。時代の差はあるでしょうが、作った当時もこれを見て福の神とすぐ解る人は多くなかったと思います。うまい絵なので福福しい感じはよく出ていますが、狂言福の神とすぐに解る人は少なかったと思います。また御誂えということでしょうから費用も嵩んだと思います。今ではこういう凝った裏はほぼ絶滅しました。
楽しいお酒の飲める粋人のダンディズムが見事に現れた羽織です。
さて、話を元に戻してまして
若い方の格好に不満を覚えて自分の世代より前のダンディズムの話をさせて頂ましたが、私自身も普段は某量販店で1度に2着ずつ購入したものを着ています。ただしかし、せめて和服の時は先人の真似事程度は心がけたいとは思って居ります。またそのような精神性を身に着けたいとも思って居ります。
ジジ



