母のこと | yukoのブログ

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うた、クリスタルボウル、ボイジャー、とか。

母が入院することになった。
耳鼻科の手術の為で、命に別状ないものだったが、平凡な我が家にとっては大きなことだった。
前にもこんなことはあったが、その時は父だけが付き添った。
でも今回はわたしも付き添うことになった。


わたしは、母とは合わないと思っていた。

母がくれるものは、わたしが欲しいものではなく、わたしが求めるものは、母は与えてくれなかった。

ずいぶん後になって、母は母なりの愛情を注いでくれたと理解したけれど、それでもわたしは、本音を母にぶつけることができなかった。
自分の、本当に大切にしている部分を理解されないことを恐れて。
ずっと、安全な距離をおいていた。

わたしは母に愛されたいけれど、どこかで愛されていない子どもだと思っていたんだ。


そんなふうに、少し離れたところから接していたわけだけど、入院初日と次の日の手術と、2日間付き添った。

こんなに母の側に長い時間いたのは、どれくらいぶりかわからない。

そして、今さらながら、わたしと母の体の中には同じものがあると気付かされる。

わたしの目の色は母と同じだ。

母の声は少し高くて小さいが、きれいだった。

わたしが持っているお気に入りのものは、母からもらったものだった。

わたしは母の娘だ。
ただ、それだけのこと。



母は、自分をせっかちだと言った。
そして、母の母もせっかちだったと。

わたし自身は、母に早くしなさいとせかされて、苦労したものだった。

母は祖母にしつけられてせっかちになったのか、元々そういう性格だったかはわからない。
でも、母から祖母のそんな話を聞いたのは初めてだった気がする。


その話を聞いた時、わたしの中で何かが溶けるのを感じた。
わたしから母、その母、またその母…とずっと続いているのを感じた。
わたしは、ただ、ここに存在している。
それだけでいいんだと。
これでいいんだと。
言葉では上手く言い表せないけれど、涙が出てきた。


溶けたのは何だったんだろう。

こだわってきた何か。

許せないと思っていたけど、何を許せないと思っていたのか、わからなくなってしまった。


ただ、わたしはここにいていいんだということ。
それが、ふっと、落ちた。


すべてが、そのままで、自然の流れの中にあるようだった。