北米で、Amazing Race というテレビ番組を知らない人はいない、
と言ってもいいくらい人気な番組があります。
ペアーで参加し、世界を飛び回り、色んなチャレンジをやり遂げ、
一番最初にゴールしたチームには、百万ドルの賞金が与えられるという
名の通り、「素晴らしいレース」。
今さっき、そのAmazing Raceミニバージョンに参加し、2時間休みなく
歩き、走り回って「障害物競争」を終えたところです。
ここは、トロントの少し北にあるクリスチャン研修センター。
毎年この時期に、クリスチャンの警官達とその妻や夫達のためのカっプルの研修会があり、
警官たちを夫や妻に持つ側として、どのようにサポートすればいいか、
どのようにすれば、二人の関係を末永く、仲良く維持できるか、
家族関係の改善に繋がるコツ、などなど
今回はアメリカからのスピーカーを招いての研修会となりました。
セミナーでスピーカーから学ぶだけではなく、その他の時間で、Amazing Raceやスポーツ、
カップルのデザートタイム、夜のキャンプファイアーなど、
色んな活動が組み込まれた2泊3日の研修会です。
警官同士でしか分らない気持ちや、警官を夫や妻に持つ側にしか分らない苦労など、
各々の経験談を通して、対策を考えるといったような内容で、とてもためになっています。
警察という仕事は、関わりのない人には全く想像もできない世界にあり、
一般の人には縁のない、社会の一番醜悪な部分に毎日面し、
随時命を落とす可能性もあるため、警官はトラウマといつも闘っています。
この現状は、その身近な人達、家族にしか分らないものです。
が、私も恥ずかしながら、ここ数年、もっと正確に言えば、
ここ数ヶ月になってようやく理解し始めることができるようになりました。
自分たちの妻や夫も理解しがたいこの仕事。
関係者のプライバシーのため、周りの人はもちろん、
一番身近な妻や夫と話すこともできないケースが多々あります。
そのため、一人で苦しんでいる警官は数えきれないほどいます。
どんなに気をつけても、そういう苦しみは、色んな形で家庭に持ち込まれ、
家族危機につながってしまいます。
警官達の離婚率は非常に高く、65%から80%、場所によっては、90%だといいます。
そういう現状だから、警官の婚姻関係、家族関係を守ることを目的とした
この研修会が6年前企画されました。
絶えずストレスと面する仕事だからこそ、家は安らぎの場であって欲しいのに、
ほとんどの警官は、自分の家でその安らぎを見つけられないでいます。
警官という仕事は、家族にとっても、大変な苦労があるため、警官達は
家に帰ってからもストレスに面するというのが実態で、
それが、警官達の非常に高い離婚率と家庭崩壊に繋がっています。
今回のセミナーでは、警官という仕事に対しての理解を深めることができました。
今まで疑いもせず、ただ夫の性格だと思っていたことが、
実は仕事で影響されたものだと気づくことができ、自分の理解が足りなかったことに反省し、
違う観点から自分たちの関係を見つめ直して、
これからどのように夫をサポートしていけばよいか、
ということにもっと目を向けようと思えたことが一番の収穫となりました。
「じゃ、私は? 誰が気にかけてくれるの?」と問いているうちは、
自分のことしか頭にないため、相手のことを理解してあげられる余裕がありません。
私がそうでした。
自己中心で無知だったために通らなければならなかった苦労の道。
自分たちも大部分の警官家族のように、そのまま行けば家庭崩壊になり得る
こともあったものの、こうして一緒にセミナーに参加できたことに感謝です。
今までの15年を振り返ってみると、まさしくAmazing Race だったなと
思わずにはいられません。
Amazing、「素晴らしかった」のは、苦労もなく、全てがバラ色であったからではなく、
思ってもいなかった「障害物」に面した時、きつくてこの「レース」を諦めたい
と思ったこともあった中、諦めずにそれらを乗り越えて、
今、今日という日を生きているということ。
それは、疑いもなく、神のAmazing な恩恵があったから。
そして、ゴールしてもらえる賞金は、百万ドルあっても買えない家族の幸せ。