友達の結婚式が10月に行われる。


その友達は高校の頃一番仲良かったやつで、

隠れて一緒にタバコ吸ったり授業サボって遊んだり、

仲の良いグループで集まって酒飲んで宴会したり 笑

中学時代の元カノに未練タラタラだった俺の背中を押してくれたこともあったし、逆によくそいつから悩みの相談も受けた。

夏には面倒だからって水着姿で電車に乗ったこともあったな 笑

煙草自販機の盗み方を伝授してみんなでやったり。

今になって考えると馬鹿なことばかりしていた。

だけど本当に楽しかった。


あるとき俺の家族の不和がピークに達し、

とても抱えきれず落ち込みを隠し通せずにいた。

そいつはそんな俺に明るく言う。

「何暗い顔してんだよ。カラオケでもいって発散しようぜ」

知ったような顔で言うから腹が立つ。

「人の気も知らないでふざけんなよ」


結局両親は離婚してしまったが、

そいつは進んで俺を励ましてくれた。

家庭のことは何も言ってないのに、以前より俺をやたらと遊びに誘ってきた。

俺が落ち込んでる様子に気付いて気遣ってくれていたんだろうな。

些細な悪事、飲み会、旅行…

なんてことないことなのにそれで心が晴れた気がした。

一人じゃない気がした。

そんな楽しい時間をくれたそいつは俺にとってヒーローだった。


別々の大学に行ってからは当然疎遠になる。

そいつが通う大学と俺の大学はかなり離れていたから顕著だろう。

と思っていたが、年4回くらいほぼ強制的に遊びに誘ってくる。

自分からあまり誘わない俺の性格を分かっていたんだと思う。

金もないのに遊びに行ったり、迎えに来てもらったりしていた。


当時大学の空気に馴染めなかった俺は、そいつの誘いにものすごく助けられた。

好きだったギターでバンドも組めるようになったし、友達も彼女もできた。

それも全てそいつのおかげだったと思っている。


そして現在、介護士として働くそいつは人生の節目にいる。

電話で結婚式の話をそいつから聞いたときは「おめでとう」しか出てこなかった。

正直「おめでとう」以外の言葉が出なかった。

「おめでとう」なんて一言で終わってしまうことが忌々しかった。

「おめでとう」という一言に全てを乗せられる訳ねぇよ。

でも言葉に表すには「おめでとう」しかなかった。

「おめでとう」と言われたそいつは照れながら「ありがとな」と返した。


10月の結婚式にはもちろん俺も出席する。

どうか幸せになってくれよな、ヒーロー。