イベリア半島ダービーであり、リーガファンには言わずもがなの“クラシコ”代理戦である。
わかりやすいスペインの方からいうと、プレイスタイルは基本的にバルサと同じショートパスを用いたポゼッションサッカー。そしてチームの要である中盤にはシャビ、イニエスタ、セスク、ブスケッツの4人が、ディフェンスラインにはピケが、アタッカーにはペドロがいる。出場機会はないだろうが、GKビクトル・バルデスもバルサの一員だ。
一方のポルトガルにいるマドリーの選手はクリスティアーノ・ロナウドとコエントラン、ペペの3人だけだが、ディフェンス固めを優先し、前線のタレントがカウンターでゴールを狙うスタイルはマドリーのサッカーに酷似している。
もっというと、中盤の3人にもまず守備を課す戦術は、ポルトガル出身のモウリーニョが'10-'11シーズン終盤のバルサ戦で用いたものだ。当時のマドリーはこの策をもって、前回5-0で惨敗したバルサを相手に1-1で引き分け、直後の国王杯決勝では延長戦の末、勝利している。

華やかさに欠け、好き嫌いが分かれるだろうポルトガルの戦法。
今大会開幕前のポルトガルは、ベスト4に残るとはとても思えないチームだった。
それが実際ここまで勝ち進んできたのは、パウロ・ベント監督がプレイオフを含む予選10試合で14失点という戦力を冷静に分析し、ドイツやオランダと同じ“死のグループ”に入ってしまった現実を受け入れ、現在のスタイルを選択した結果だ。
華やかさに欠けるし、観る者の好き嫌いも分かれるだろうが、トーナメントを勝ち進むという目標を考えると、ポルトガルにとっては正解だったといえる。
しかし、同時に弱点も持ってしまった。クリスティアーノ・ロナウドへの依存である。
チームは90分間守りきる術と力を得たけれど、反面、勝利に必要なゴールチャンスの演出や得点はどうしても彼に頼ってしまう。見出しとして映えることもあって、スペインのメディアは今回の対戦を「対クリスティアーノ」と騒ぎ立てているが、あながち間違いではないのだ。。
そして、ポルトガルにとって不運なことに、スペインにはこれまでクリスティアーノを何度も抑えてきたピケがいる。
マドリーではクリスティアーノの側に立つスペインのGKカシージャスも「これまでピケは、バルサでも代表でもクリスティアーノとの対戦をうまく制してきた」と認めている。さらに、ポジション上クリスティアーノが対峙するスペインの右サイドバックは、彼をよく知るマドリーのチームメイト、アルベロアである。
この局地戦、見たところ状況はクリスティアーノ不利だが、果たして軍配はどちらに上がるのか。
ここが、今夜の見所のひとつであり、ポルトガル勝利のカギを握るポイントだ。

ボール支配率70%と分厚い守備壁との熾烈な戦いになる!?
では、スペイン勝利のカギはどこにあるのか。
ずばりポルトガルの厚い守備壁をいかに崩すかだろう。
ボールは自由になるはず。支配率は70%近くに及ぶに違いない。
だが、それだけではゴールネットは揺らせない。スペースを消すことに長けたポルトガルの中盤や堅いセンターバックの間にヒビを入れるには、オーソドックスな手法ではあるけれど、速く正確なパス回しとサイドに開く選手を活用しなければならない。
正確なパス回しをするためには、敵のカウンターに繋がるミスを絶対に犯さない集中力と90分間足を止めない体力が必要だ。
中5日で準決勝を迎えるポルトガルに対し、スペインは中3日と疲労蓄積の点でやや不安はある。
だが、デルボスケ監督によると、「うちの選手は日曜日-水曜日といったペースで試合をすることに慣れている。中3日はむしろ我々にとってプラスに働く」とのこと。少なくともコンディションの問題はないと見ていい。

デルボスケの、選手起用の才が試される一戦に。
サイドに開く選手の活用では、交代出場したフランス戦でキレのよいところをアピールしたペドロやナバスの起用という選択肢がある。
特にプレスが巧く、得点力もあり、コンビネーションプレイに長けたペドロは膠着しそうな流れを一気に変える存在になるかもしれない。思い切って先発させるか。これまでどおり後半の途中に投入か。デルボスケのお手並み拝見だ。
2年前のワールドカップで対戦した際はスペインが1-0で勝利した。その約5カ月後、リスボンで行われた親善試合はポルトガルが4-0で大勝した。
双方、自信はあるだろう。
ユーロの準決勝に相応しい熱戦が期待できる。