元日本代表監督のジーコ氏が、「JAPAN」と書かれた紙を広げた瞬間、運命は決まった。抽選会に出席した日本協会 ・霜田正浩技術委員長補佐は「安全な環境でできるか」。別の日本協会関係者は「行きたくないところが、みんな来てしまった」とつぶやいた。
元川崎FW鄭大世がいる北朝鮮 、今年1月のアジア杯 で4位に入ったウズベキスタン 。全4チームが今年のアジア杯 に出場している組はC組だけで、シリア 以外は南アW杯 の最終予選にも進出。ただ実力、実績で上位のイラク、サウジ、バーレーンを回避できたのは朗報だ。原博実 技術委員長も、「中東3カ国とかではなくバランスはいい」と前向きにとらえた。
代わりに壁となるのが試合を取り巻く“ピッチ外の敵”だ。特に北朝鮮 とは国交がなく、独特のアウェーの雰囲気は選手への精神的な重圧も大きい。事実、平壌開催で日本は2分け1敗と勝ったことがない。
9月2日のホームでの初戦も、日本政府が入国を認めなければ中立地開催が浮上する。06年ドイツ W杯 予選では北朝鮮 を破ってW杯 出場を決めたが、当時はFIFA (国際サッカー連盟 )の制裁でアウェー戦はバンコクで開催されての結果だ。シリア も今回の2次予選が安全上からヨルダン 開催となるなど、民主化運動「ジャスミン革命」で政情が不安定。治安面の不安は大きい。
11月11日のシリア、15日の北朝鮮とアウェー開催が予定通りに行われても、中3日で「北朝鮮 →シリア 」の移動は困難が伴う。日本の航空会社による2カ国間のチャーター機は国際法上難しく、日本協会 関係者は「1度日本に帰る必要があるかも」と指摘する。
原委員長は、「心配なのは政局。現場がピッチに集中できる環境を整えたい。最初の2試合が大事。女子に負けないよう、今度は男子がやる番」と気を引き締めた。国の誇りをかけた戦いは1カ月後に迫る。
