ここでつねづね話してきた人として、夫として、父親としてはいかがなものかな親父様。


しかし、人間、完璧じゃないという言葉にふさわしく、彼にもすぐれた部分がある。


それは商売の才。


昨日から急に動き出し、先程確実のものとなったのだが、とても大きな仕事がひとつまとまった。


ひとつの仕事でそこから得られる利益は現在の平均的ひと月分の売上に相当する。


大きい…ありがたい。


あたしは彼のもとで仕事をするようになって早5年、商売のおもしろさというものを教わった。


この仕事は6月から親父様がひとり水面下で客先と静かに駆け引きを繰り広げて来たものだ。


前に書いた利家とまつの中で秀吉の言ったこういう言葉がある。


戦は地味に ただ地味に…

こんな仕事をやれたら、商売ホントにおもしろいだろう。


田舎からまさにあの時代、戦後の復興期に風呂敷包みひとつで誰も頼る者もいない東京へ、その少し前に病気で亡くなった彼の母、つまり私の祖母に病床で「男なら東京に出て勝負しなければだめ」と言われ、その言葉に促されてのコトだった。


そしてその通り東京に出て、貧乏人とばかにされながら今に見てろとただただ意地で今日まで来た親父様が培ってきた商売の才。


若い頃は誰よりも朝早くから夜遅くまでと真っ黒になって働いたらしい。


先程電話でお客様からその仕事を頂き、途端すぐ伺います!と風のように出掛けて行ったがその為の着替えの最中、「オレってすごいだろ!たいしたもんだろ!こんな仕事、誰にも出来ないぞ!」と大声で自画自賛して行ったが、ここが彼の…なところだ。


亡くなった母が言っていた。


「お父さんは自分で言っちゃうところがダメなのよね。自分が言わなきゃまわりが言ってくれるのに…」って。


ホント学ぶコトの多い反面教師な親父様…(-"-)


あたしは出掛けの父に言った。


「きっと今週末が命日のママが叶えてくれたんだよ」って。


オレがオレがな親父様はちと不満そうだった。


い~い親父様!あなたの努力とママの支えあってこそなのよ!