メイドの手帖 | 女医ときどき患者

女医ときどき患者

そしてときどきママ。

オバマ大統領の2019年の推薦図書にもなったという、掃除婦をしながら子育てをするシングルマザーの話。

遅ればせながら読みました。

 

 

 

 

正直、自分には縁のなかった世界だった。

貧困の連鎖、離婚の連鎖で、頼れる家族もなく、自分しか頼れる人がいない。

具合が悪くなって仕事を休めばその分収入が減り、仕事自体続けられなくなるかもしれない、という不安定な生活。

頑張って働いて収入が上がると、福祉のサポートが減り、かえって生活が不便になること。

福祉の力を借りながら生活を成り立たせるということに対する屈辱も大きい、ということ、よくわかった。

色々と著者の選択に共感できないところもあったけれど、そんな過酷な環境の中、自分を信じて自分の目標に向けて少しずつ進んでいく逞しさに感嘆した。

 

そして、私の生活、私の子供たちがどんなに恵まれているか、どんなに幸せか、ということを実感した。

子供たちの面倒を夫と分担できること、年休を取得できる仕事(もちろん日本社会的な休めない雰囲気ということはあるけれど)。外食やテイクアウトでの食事を楽しむこともできること(コロナということは置いておいて)。

たくさんのお気に入りのおもちゃや洋服、本に囲まれた子供たち。私も夫も子供たちと一緒にいてあげられるということ。

なんてありがたいことか。身の回りのものに感謝の念が湧いた。

これらを今私が持っているのは、私の能力が高いから、私が努力したから、では決してない。生まれた環境や、様々なめぐりあわせによるものの方が大きいだろう。
最近、芸能人によるホームレス・生活保護批判が日本でも話題になったけど(米国でもそういうStigmaは常にあるよう)、自分の境遇に感謝していれば、それが自分の能力によるものだと自惚れなければ、現在苦しい境遇にいる方達やそのサポートとしての福祉に不満を持てなくなるように思う。
 

とは言っても、税金高すぎ、、とは思っているけど。。(福祉じゃなくて政治家の無駄に不満が。。)
私自身も月1回、清掃サービスを利用する身である。
我が家に来てくれるクリーナーに、普段から礼節をもって接しているつもりであるけれど、クリスマスにはプレゼントをあげよう。