数ヶ月ぶりに実家に滞在して父といると、自分が妙にイライラしているのに気づいた。

 

 

3年前に母がなくなってから、まともに父と向き合うようになり、今まで影響力の大きかった母の陰に隠れて見えなかった父の姿が見えてくると、これまで私の中にあったのとは違う父が現れた。

 

 

そして、我が儘放題に見えた母の言動もあの父の頑固さによったのだとわかると、そんな父との様々な格闘が始まったが、

高齢とともに耳も遠くなり、物忘れが激しくなると、また違う煩わしさが増えた。

 

 

何度も言わないと歯磨きもせずやりたい放題の生活になるので,注意すると、ワシは毎日やっている、と言い張る。

 

 

嚥下障害で喉のイガイガをクリアにしようと、咳払いのような音をさせることが増えてきたが、

ほとんど飲み物を取らないので、常にお茶を飲んでと言わねばならない。

 

いつも言われて、本人もそうしなきゃと思っているからか、注意すれば必ず、いつも飲んでいる!と主張する。

とにかくうるさく言っても、お茶を一口飲むのがやっとなのだ。

 

 

ただでさえ喉に引っかかるところに、水分を取らないから、食べた後は必ず喉に引っかかったり、

喉を頻繁に鳴らすことになり、こちらが耐えられなくなってくる。

 

 

風邪でもないただの鼻水のために、高い漢方薬が効くと信じて

体質改善のために飲む煎じ薬とバッティングすると言っても効く耳持たないし、

気に入った店のランチ食べたさに、家で作ったお昼は食べたくないと駄々をこね、毎日同じ店に出かける。

 

 

とにかく融通が効かず、自分のやりたいようにまわりを振り回すやり方に、

何年か前から一緒に暮らす私の娘はもう我慢の限界のようだ。

孫という立場上、彼女には上から目線で声を荒げたり、言う事を聞かなかったりすることも腹が立つ要因らしい。

確かに父は、私や妹が言うことはとりあえず聞くからだ。

 

 

さらにこの何年かの父とのバトルの歴史で流せなかった感情が、娘には溜まっているから厄介だ。

 

 

 

久しぶりに会う私でさえ、耳が遠い父に何度も何度も言い直すことだけでも、こんなにイライラするのだから、

薬を飲ませたり、気遣って取らせる健康食品や食事、掃除や着る物の世話、デイサービスに出かけるために起こし、送り出すことなど、一緒に暮らせば、手間も気遣いもキリがない。しかも、毎日同じことが続くのだから。

 

 

言ってもやり方を変えない態度や、忘れてしまうから繰り返し言わねばならない苦労は、体験せねばわからないだろう。

 

 

一方、父の病院の付き添いや役所の手続き、買い物など目に見える手伝いばかりにやってくる妹を、父は大いに評価し、何があっても帰る時には長い階段を降りて送っていくことも娘には不満となっている。

 

 

 

自分がしていることは、ほかっておいても有難がられる妹の様には認められず、かえって反抗されて、報われない無念な思いとなっている事は、私にもよく分かるだけに、どうしたものかと思う。