弓は難しい。

 
 
28メートル先の的に向かって
射るのだから
当てるのは当然だがそこに罠がある。
 
当てようとすると当たらないのだ。
 
 
良い射をすれば
当たるとわかっていても
 
的前に立つと
どうしても当てたい気持ちが出る。
 

当てようとした射は美しくないし
当たらないとわかっているのに
 
 
考えないようにすればするほど
当てたくなってしまう。
 
 

的に向かうと
引き絞ったままでいられなくなり
自然に矢が離れるまで我慢できずに
離してしまうことになる。
 
 
充分引き絞った末に
自然に矢が離れる射は美しく、当たる。
本来はそういうものだが
 

当りが出るようになると
最初は10秒間弓を持てたのに
次第に持てなくなり
すぐに離してしまう。
 
 
的は恐ろしい。
 
 
皮肉なことに初心者は
当てようとしないから(当ると思わない)
いつまででもそのまま弓を保っていられるのだ。