最近まで

母に愛されなかったと

思い込んでいた私は

 

ずっと妹に母を取られた

と思っていた。

 

 

 

自分の家庭を大切にし

大きな波風も立たず

 

平穏な生活を送ってきた妹は

それなりの苦労はあったろうが

 

私からみたら

苦労など無いように思える。

 

 

だから

報われない

やりきれない気持ちがずっとあった。

 

 

 

でも私が妹を羨むほど

 

それを証明するような

現実がやってきたのだった。

 

 

 

愛されない私は駄目だ

 

と思っている限り

それは終わらないのだった。

 

 

 

「母に愛されない私」

という思い込みを見つめ

 

それは違っていたことに気づいた時

 

 

不思議なことに

母が亡くなった。

 

 

 

 

そして

その最期をみとったのは

 

妹でなく私だったのだ。

 

 

 

母は最期に

「ほらね。あなたをちゃんと愛していたことわかったでしょう?」

 

そうやって

私に教えてくれたのだと思った。

 

 

 

ちょっとだけ

ひいきしたようなやり方で

 

母が私にくれた

最後のプレゼントだった。