「鉄道一人旅」

 

そう聞いて、思い浮かべたのは「寅さん」だった。

全国津々浦々を旅して歩くフーテンの寅さん。

旅をしながらさまざまな人たちと関わりながらも

いつものお決まりの展開「それを言っちゃおしまいよ」と言ってまた旅に出てしまう。

そんな姿に憧れともなんとも言えない思いを抱いていた子供時分。

 

まさか自分の人生に「それを言っちゃおしまいよ」という

場面が訪れるとは、さすがに思ってはいなかった。

行き着くところまで行き着いてしまったのだ。

これはもうどうしようもない。

 

旅に出てみようと思った。

 

きっかけは単純だ。ただ一人で旅に出る時間ができたのだ。

 

このところ、車での移動がめっきり減った。めんどくさくなってしまったのだ。

車の運転は好きではあるのだが、運転には常に責任が伴うし、気を抜くことはできない。

そしてお酒との相性は法に触れるレベルで最悪だ。

その点、鉄道移動は気が楽だ。

のんびり車窓の風景を楽しむことができるし、眠くなったらうたた寝をしても構わない。

観光列車に乗ればお酒を飲みながら移動もできる。

自由気ままな一人旅に鉄道の相性は悪くない。

乗り鉄や鉄オタなどと言えるほど、本格的に鉄道趣味に取り組んでいるわけではないのだが

今の自分の気分には鉄道移動があっているように思う。

 

旅と旅行の違いはなんだろう。

このご時世、なんでもAIに聞いてみるのが流行りのようだが

くだんのチャットA Iに聞いてみると

 

旅行=目的地が中心 観光スポットや名物など「予定された楽しみ」を味わう

旅 =過程が中心  目的地より、道のりや体験が中心

             「どこへ行くかより、どう歩くかが大事」

 

だそうだ。最近のAIは人間より人間らしいことを言う。

「鉄道で一人旅」

悪くなさそうだ。

 

一人旅といえば響きはいいのだが、家族旅行やグループ旅行と違うことは

移動から目的地で過ごす時間も含めて全て一人ということだ。当たり前だが。

そうなると「目的地での遊びの予定」を立てることにはあまり気が進まない。

それよりも「旅路そのもの」を楽しむことを目的としたいと思った。

今の自分にとってはやはり「旅」なのだろう。

 

一人は寂しい、と思わないわけではない。でも誰かがいないと何もできないタチでもない。

他人と関わることは、いい面もあればそうでないこともある。

仕事もあるし、少ないながら友人もいる。全くの孤独というわけでもないし

それなりに人と関わる人生ではあるのだが

今は一旦、人と関わることと距離をとってもいいのだろう。

この際だから自分自身と向き合って、自分自身を大切にするのもよかろう。

たとえ自己中だと言われようとも。

そして、自分自身と向き合った先に新しい人生のステージが見えてくれば

それはそれでいいのだろう。

なんとも中途半端なモチベーションだ。

 

人生は旅路に似ていると思う。AIが言うように「どこへ行くかより、どう歩くか」

これから、新しい人生どう歩いていくかを大切にしていこう。