車を降りると水は膝下位まで来ていました。

とにかくムスコだけは濡れないように注意しました。

逃げる…と言ってもどこに行けばいいのか。。

とりあえずすぐ近くに住む先輩の家に向かうことに。
今頼れるのは先輩しかいません。
まだ家にいるかなんてわからないけど
とりあえず足下に気をつけながら向かいました。

先輩は一人家にいました。
知ってる人に会えただけですごい安心感。
奥さんとお子さんは小学校に避難してるということで
私たちも小学校に向かうことに。

でも私たちは車に、ムスコのものも、すべての荷物を置いてきてしまったので
先輩と主人は車に戻って荷物を持ってきて
私はムスコと2人で先に小学校へ向かうことにしました。

正直主人と離れるのはすごく不安でしたが
ムスコだけは1秒も早く避難させたかったので
主人と、これが最後の会話にならないことを祈りながら「気をつけて」と話し小学校へ向かいました。

小学校は割と近くにあります。
でも水の中を歩くのはすごく時間がかかります。
津波の流れのスピードは遅くなっていってるものの、
どんどん水かさは深くなっていくし
マンホールの蓋は浮いてるし
水は濁って足下は全く見えないし
…縁石などにつまづいたら流されてしまいます。
水は膝上まであがってきていました。

周りには誰もいないし、とっても恐くて恐くて泣きそうになりました。

でもムスコの前では泣けませんでした。
「大丈夫だよ。もうすぐあったかくなるからね。」と声を掛けながら前へ進みました。

ムスコは不思議そうに下を向いて瓦礫の浮いた水を眺めていました。


小学校の近くまで来ると、入り口に立ってる人が私の名前を呼びました。
先輩の奥さんでした。
知らない人も、みんなで「もうちょっとだ!頑張れ!」と声を掛けてくれました。

なんとか入り口付近まで行くと
先輩の奥さんが手を差し伸べてくれたのでムスコを渡しました。

その瞬間、本当に本当にホッとして
思わず涙が出てしまいました。

私もなんとか校舎に入り
奥さんと助かった喜びを分かち合いました。



主人と先輩は
その後なかなか小学校に来ませんでした。
電話も繋がりません。
あたりはどんどん暗くなってきました。
水かさもゆっくりゆっくり深くなっていきます。

奥さんと校舎の3階から街を見下ろして2人の帰りを待ってました。

街は海となり
遠くでは炎があがっていました。
途方に暮れていると
たまに公園で一緒になったりする、ムスコと同じくらいの子のお母さんが
「乗ってく!?」と声を掛けてくれました。
本当に本当に、すごくすごくありがたかったです。

急いでムスコの着替えとオムツを持って車に乗りました。

逃げるって行ってもどこに…?
とりあえず高台に…?
道路は渋滞、信号も消えているし、
みんな必死になって逃げているので
いつ事故が起きてもわからないような状態でした。
まるで映画のようでした。


しばらくすると主人から電話がありました。
私たちのすぐ近くにいるということでしたので、主人とおちあうことにしました。

主人と会えた時は
本当に本当にホッとしました。。。

とにかく急いで出てきたため、
布団も着替えも食料も通帳も何も持ってきていないと伝えると
一度家に戻ってみよう、と言われました。
主人は愛車のことも気になったようです。

不安はあったものの、海からそんなに近くもないし、川だって津波の時用の貯水池があるし
大丈夫だろう、ということで家に戻りました。


これがいけなかった。


家に戻ると津波は来ていませんでした。
川も大丈夫。
アパートにはまだ残っている人もいました。

急いで荷物をまとめ車を乗り換えました。

私とムスコが先に車で待っていて、
ふと東側を見ると
なんとすぐそこまで瓦礫と一緒に津波が襲ってきていました。
高さはそんなにないものの、走って逃げても追いつかれる位のスピード。
初めて見る光景に血の気が引き、言葉も出ませんでした。

慌てて車の窓をバンバン叩き
津波に気づいていない主人に合図をしました。

主人も血相を変えて車に乗り込み
「やばいやばいやばい!!」と慌てて車を出しました。


アパートの私道を抜け交差点に出ると、
なんとそこは既に津波にのまれ、行く手を阻んでいました。

とにかく前に進むしかなかったのですが
津波にのまれた主人の愛車は当然のように車はエンストし、びくとも動かなくなりました。


荷物は全部捨て、
命だけでも助からなければ!と思い
慌ててムスコを抱きかかえ車を降りました。
地震が起きた時
私はムスコと2人でくっついてお昼寝をしていました。

1番幸せな時間。

突然の激しい揺れに
慌ててムスコを抱きかかえ外に逃げました。

立ってられなくて
ムスコをぎゅっと抱きしめてしゃがんで揺れがおさまるのを待ちました。

とにかく長かった。。
これは夢なのか現実なのか、区別がつかず
「なにこれ!?」と叫んでました。

ムスコはびっくりしたのかちょっと泣いていたので
「大丈夫だよ!!」と声をかけました。

しっかりしなきゃ
冷静にならなきゃ

だけど全然冷静になんてなれませんでした。


しばらく強い余震が続いたので
30分位は外にいました。

同じアパートではムスコと同じ位の子とお母さんたちが
みんな子供を抱っこして外で待機していました。

仕事中の主人とは
お互い大丈夫だということはメールできました。
あと家族と友人とも何人かと安否確認ができました。


その後
だいぶ落ち着いたかと思ったので
部屋の片づけを始めました。
耐震用の突っ張り棒や、いろんなグッズで対策していたので
倒れたのは電子レンジだけ。
びっくりする位部屋の中は綺麗でした。


しばらくすると
何やら外が騒がしいことに気がつきました。

いつもは車通りがほとんどない道路が渋滞していて動かず、クラクションが鳴り響いていました。

目の前の川は堤防があるので普段は川の流れなんて見えないのに
いつもとは反対方向の、海側から、瓦礫や車が逆流して行くのが見えました。

アパートにいた人達は布団や大きな荷物を持って急いで車で逃げていきます。

「津波がきた!!早く逃げて!!!」
と、知らない人から声を掛けられました。



逃げたくても主人の車しかありません。
チャイルドシートがありません。

私1人が逃げれても
ムスコと2人では逃げれません。



どうすることもできず途方に暮れてました。