私たちは当たり前のように術後の腫れや脚が思うように動かないこと、リハビリなどについて話をしていますが、変形性股関節症について調べ始めた方々にとっては「なぜ?どうしてそれが必要なの?」と感じることがたくさんあると思います。

そういう質問がきたのでコメントでお返しするよりもここにアップする方が有意義だと思いましたのでわかりやすくまとめてみました。

 

●変形性股関節症の原因

①生まれつき臼蓋形成不全と言って骨盤側のかぶりが浅く股関節に負担がかかるもの 

②生まれつき脱臼気味あるいは布おむつで強く締め付けられて脱臼気味になったもの

③激しい運動などで股関節の使い過ぎ、あるいは加齢による変形など

 

●痛みの原因

①骨の炎症・・・何年周期かで炎症が進み変形を残して落ち着く を繰り返しある時点から  

 加速度的に痛みが増す。 寝ていても痛くなるということは軟骨がすり減ることだけではない

②じん帯の拘縮によって筋肉が動かしづらくなり筋肉の萎縮・拘縮と悪循環に陥る

 

●消炎鎮痛剤について

 ①確かに炎症を抑える作用はあるが、喉の腫れを抑えるような訳にはいかない

 ②一時的に痛みが抑えられると無理をしてしまうので「ここぞ」というとき以外には勧めない

 ③常用すると肝臓・腎臓に負担がかかる

 

●脚のむくみ

①股関節周辺の炎症により血液・リンパ液のの流れが悪くなり下肢からの静脈血の戻り

 が悪くなる

②痛みのために動きが減るのでますます循環が悪くなる

 

●術式による筋肉の損傷

①後方アプローチ・・・術視野が広く手術がやりやすいが筋肉を切断する、脱臼に注意、禁忌

 肢位が多い

②前方アプローチ・・・傷口も7.8cmで筋肉を切断しないので回復が早く脱臼も少ない

③前側方アプローチ・・高位脱臼などがあるとき

 

●術後の骨盤・脚の腫れ

①人工関節を入れるためには自分の骨を切り取る必要がある(骨折と同じ)、骨髄を削るので

 出血も多く強く引っ張るので骨盤内にかなりの浸出液が溜まり骨盤・術脚が倍くらいに腫れ

 て動かしにくい。そのむくみが夜間頻尿の原因となる。2週間くらいで消失する。

②他の部位の捻挫や骨折の場合はギブス固定するが、股関節の場合はステムという木の幹

 のようなものを挿入するので固定しない。但し自骨と人工関節が馴染むまでの3ヵ月間は

 あまり激しい運動は禁止。

 

●リハビリ・歩行訓練

 術前は痛みや拘縮をかばった歩き方が身についてしまっており筋肉に萎縮もある。術後は

 新しくなったのは関節だけであり弱った筋肉はそのままであるため歩けるようになると筋肉

 の使い方が今までとは違ってくるので当然筋肉痛になる。これをほぐしたり萎縮している筋 

 肉を強化する必要がある。術前の変なクセのついた歩き方も補正しなければ手術した意味

 がない。これらを含めて私は「ケア」と表現している。

 

●退院後のケア

 通院リハビリのない病院の場合、次に主治医と会うのは術後3ヵ月のことが多いが、実は

 この期間の過ごし方が最も重要である。執刀医は基本的に人工関節がうまく馴染んでいる

 かどうかに最大の関心がありリハビリや歩き方の指導をしてくれるのは理学療法士である。

 よほどリハビリの知識があり自己管理ができる人以外は、リハビリ施設で理学療法士の指

 導を受けることをお勧めする。せっかく変形のない立派な人工関節を手に入れても術前と

 同じクセのある歩き方をしていたのではもったいない。

 

●手術の決断の時期

 よく「「ギリギリまで我慢して駄目なら手術を受ける」という意見を目にするけれど、ここ3,4年

 の医学の進歩により人工関節の寿命は25年と言われている。さらに25年後の医学の進歩

 は全く想像もつかない。私のように70代になって「どうしてもこれをやりたい」という目標が無

 くなってからではなく40代から60代の体力勝負の時期に痛みややりたいことを我慢して生活

 するよりも早く決断した方が充実した人生を送れると思う。要は「自分はこの先どのように

 生きたいか」が全て。

 

 

 

今までブログに書いてきたようなことを簡単にまとめてみましたが、詳しくはそれぞれのブログをお読み下さい。ご意見・ご質問など遠慮なくどうぞ !!