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[実験小説]神の子たちの境界線

◆実験小説とは?◆
小説よりも短く、詩よりも長い短編です。登場人物の「心情」と「情景」から物語が生まれるんじゃないか?そんな実験です。プロットを書いていないので書いている本人にもどうなるかわかりません><

寿司屋を後にし彼女を送ろうとしたが、
家に帰りたいと言い出したのでそのまま帰してしまった。

やれやれだ。

彼女を駅まで送りスクランブル交差点に立つ。
夜になるほ匂いが強くなるように感じる。

それは甘く、腐えたような臭い。

人ごみが腐りかけのりんごに群がるハエのようだ。

狂騒の始まりと終わりが交差し群れはピクトグラムに合わせて動き出す。
ジョニー・ウォーカーが点滅している。
足早に人波が割れる。真っ赤なチャップリンが点灯する。

群れに飲まれ、人の歩幅に合わせ歩くことに不安を覚え立ち止まる。
立ち止まる僕を避け人波が割れる。

僕の顔を見ることもなく、触れることなく避けていく。

振り返えると、スクランブル交差点には
闇を照らすテールランプの赤い河が流れていた。


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「なってねえなぁ。最近の若い奴は寿司の食い方もシラネエのかい」
彼女の隣に座る老人が話しかけてきた。

「寿司ってのはなこうやって食うんだよ。」
徳利をひじで押しやり、コハダをひょいとつまみ、
中指で起用に寿司を裏返し、小皿のしょう油をちょんとつけ
ひょいっと口に放り込んだ。

落語の熊さんが食べる寿司のように
流麗で見事な江戸前流の食べ方だった。

「ほれ、やってみな」
「ええ!?爪が汚れちゃう」
「やれやれ。そんなに身なりが気になんのかい?」
「大変なんですよ。爪の手入れって。男の人にはわかんないだろうけど」
「まあ、わかんねえな。わかんねえついでにあんたの知らない事教えてやるよ。その洒落たバッグ何の革だい?」
「えぇ~?ラビットファーですけど・・・」
「うさぎか・・・。皮を剥ぐにはな、まず頭を殴って気絶させるんだ。そして大人しくなったところを剥いでくんだ。」
「生きたままですか?」
「死んじまうと血が固まって上手く剥げないんだ。途中で目え覚まして暴れだしたらまた殴って大人しくさせて、そうやっているうちに皮を剥ぎ終わった頃にはちょうどよく死んでるんだ。」

「そうやってできたのがこのかわいいバッグだ。」

彼女は押し黙り狐を目の前にしたウサギのように身を震わせていた。
老人は下卑な笑みを浮かべ、とどめを刺した。

「あんた猫とか飼ってんだろ?癒しとかいってさ。創造してみなよ。あんたの猫が生きたまま皮剥がされて三味線になるところをさ。」

彼女は嘔吐した。
かつて僕が、醜く残酷な現実を知り吐いたように。
可愛く着飾ったはずの服も、爪も、バッグも、自らの吐瀉物で汚れていった。



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寿司の食べ方は様々で面白い。
古臭い考え方だが、食べ方に育ちが出る。
良し悪しを決めるというわけでなく、
人の生まれ育った背景を感じるのが好きだった。

彼女は小皿にしょう油をたっぷり張って
不器用な箸使いで寿司をつまみ
シャリをしょう油に浸して食べていた。

僕はビールを飲みながら、隣で彼女の食べる姿を眺めていた。
美しく彩った顔が租借するたび一瞬醜く歪み、
獣が入り混じった本能を覗かせる。

抑えきれぬ快楽に顔を歪めるあの時のように。
本能をさらける一瞬に耽美な魅力を感じる。

食べることはこの後に行う情事の前戯のようなものだ。
食欲を満たすと共に、性への渇きをたぎらせる。

欲が生み出す渇きもまた、

人だと知り、認め受け入れて。
僕は彼女を欲した。



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