昔、近所に物知りで器用な「よいち」(通称)さんという方が居りました。・・・昔は屋敷内に大木の有る家が多く、その木を切って下さる専門家(木こり)も居りました。・・・よいちさんは、木こりでも難しいような大木でも、上手に登り大きな枝を魔法使いのように切り落としました。また、竹を割って籠を作るのも上手で、私の家でもいろいろな籠を戴きました。昭和20年前後は、物不足の時代だったので、多くの方がよいちさんに助けられました。
 そのよいちさんが、過労で入院していたある日、外出で家に帰る折りに、私に2本の赤松の苗を山から採って来て下さいました。・・・あんちゃん(私の通称)山の松の木は移植が難しく「つけばつく つかねばつかぬ」と言われている。この意味が分からないと枯れてしまうよ。「つく」ということは、根本をしっかり固めることだ、と教えてくれました。
 あれから60年、今でも私どもは「よいち松」に見守られております。・・・