とみたまの観劇記録

とみたまの観劇記録

劇団四季を中心に、年20回程度観劇しています。
観たこと、感じたことを素直に記録しています。
ネタバレあり。

2020年7月までは観劇の感想・イベントレポートのみでした。
現在は観劇に関する話を広く書かせていただいています。

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オリジナル作品がブラッシュアップして再演されました。
とはいえ、私は配信で2回しか観ただけなので、
どこがどう変わったかほとんどわかりませんてへぺろ
 
ただ、前回の配信で好印象だったのに、
今回は肩透かしを食ったような印象になりました。
初演は、原作をどう舞台化するか
という点から観ていましたが、
今回は作品を通して何を伝えたいか
という点から観ていたからです。
 
ですから、今回は作品のメッセージ性
劇団四季の今後という点から
まとめてみようと思います。
厳しい指摘になると思います。
批判的な意見を読みたくない方は
ここまでにしてください。

配信を一通り観終えた時、
こんなに流れていってしまう作品だったっけキョロキョロ
と思いました。
 
タングロボットはかわいいし、歌やダンスは楽しいニコニコし、
良いセリフもあるグッド!し、見終えてほっこりする照れけれど、
強いインパクトに欠ける気がしたのです。
 
その原因は下記の2点にあると思います。
 
(1)作品の柱となるメッセージが伝わりにくい
 
この作品を通して一番伝えたいことは何でしょうかはてなマーク
ベンの成長はてなマーク
ベンとタングの絆はてなマーク
ベン&エイミー夫婦の再生はてなマーク
命の大切さはてなマーク
 
どれもあてはまるのでしょうが、
どれが中心と明確に指摘できるほど
掘り下げて描いているものが
見えてきませんもやもや
 
ブラッシュアップによって、
タングロボットの成長という要素が
消えたようにも見えました。
メッセージを絞り込めたという意味で
良かったグッド!と思いますが、
まだまだ散漫な印象が拭いきれません。
 
さまざまな要素を描こうとしたことで、
作品の深まりが妨げられた気がします。
 
(2)エンタメに寄せたブラッシュアップ
 
細かい変更点はよくわかりませんが、
全体のテンポがよくなったような気がします。
また、全体的に明るく華やかになったような
印象も受けました。
 
見ている人により受け入れやすい形の
エンターテイメント性を重視したのでしょうかはてなマーク
 
そのような方向性の作品もありだとは思います。
ただ、この作品ならではという見せ場がなければ
たとえエンタメに振り切っても
インパクトに欠ける気がします。
 
例えば、美女と野獣の変身シーンや
ライオンキングの動物たちから
受けた衝撃ほどにはならないでしょう。
(タングロボットを具現化した点は素晴らしいですが、
その一点だけでは物足りなさが残るでしょう)
 
そもそも原作がエンタメに振り切れる作品ではありません。
じっくり丁寧にエピソードを描くことで
読者をひきつけている作品です。
舞台化にあたっては、その長さがネックになるのです。
 
 
 
エンタメに振り切るのは難しい。
メッセージを深め、丁寧に描くには長すぎる。
だからこそ、
エピソードを上手くまとめた点は素晴らしいけれど
主となるテーマを掘り下げられなかった。
 
舞台化するには難しい作品を
選んでしまったのかもしれません。
 
以前書いたように、
長い作品の様々な要素を盛り込むことには
成功したと思っています。
ただ、それによって、雰囲気的に好ましい物語を
サラッと描く作品になってしまったような気がします。
 
作品自体は楽しく見られます。
温かさや優しさもある作品だと思います。
心に刺さるセリフもあります。
 
残念なのは、
じっくり考えさせる要素がいくつもあるのに
それを生かせなかったことです。
 
劇団四季が好きだったり
お芝居から何かを見出そうとしたりする人は
価値がある作品としてリピートするでしょう。
 
でも、その他の人は
「ロボットかわいいし、楽しかったねー音譜
と言って、1回の観劇で終わる作品になりかねません。
 
どんな作品を上演していくか、は
今後、劇団がどのような方向に進んでいくかを
示すものだとも言えます。
 
新作が、アラジン、アナ雪と続いたことを考えれば、
近年の劇団四季は、幅広い客層に訴え、
長く引き付けておく方向を目指しているように見えます。
そのような方向に進むための作品としては
ちょっと弱いのでは、という懸念が残りました。
 
とはいえ、今の体制になってから
初の一般ミュージカルです。
まだまだ今後への希望や可能性はあるはず。
コロナ禍の難局を乗り切るためにも
今後に期待したいと思っていますクローバー