東京電力社員の父親を持つ、東京都内の小学6年生の男子児童から
毎日小学生新聞編集部に届いた手紙に対し、全国から反響が
寄せられている。
福島第1原発事故を受けて「世界中の人が無駄に電気を使ったことが
原発を造るきっかけになった」などとする手紙に、各地の小学生が
子供なりに考えて賛否の意見をつづっている。
◆ぼくは、東電がまちがっていると思います。人々が大量に電気を
消費するから原発をつくるしかなかったというのは、いいわけにしか
聞こえないと思います。
安全だといい、人々をだまし、古くなった原子炉をうごかしつづけてきた
ことにより、事故が起こってしまったことも問題です。
(男子児童の)手紙には、原子力にみんながたよっていたから
事故が起こってしまったという感じで書いてあったけれど、
それは東電の人たちが、福島の人たちに、道路をよくしたり、
補助金を出したりして、たよらせるようにしむけたのだと、
ぼくは思います。(京都府・小6)
◆私は、原発事故にかんして国民全体に責任があるという考え方には
反対です。電気の無駄使いについては責任があるかもしれません。
でも、私たちは(原発の)危険性についてどれだけ知らされて
いたでしょうか? 学校で習ってきたでしょうか?
むしろ、学校の掲示板に、原発はクリーンなエネルギーで、
安全で不可欠なものだというポスターがはってありました。
そうしたポスターや作文の募集もありました。それをしたのは、
東京電力と国です。そんな教育をうけた私たちが、原発はあぶない!
つくらないほうがいい! という意見をもつことができたでしょうか。
これからみんなで話し合って、大人が何を間違えたのか、を
考えていく必要があると思います。(神奈川県鎌倉市・小5)
◆私の友達に、お父さんが東電で働いている子がいます。
前は、明るくて文武両道で、みんなから好かれるすっごく良い子
だったのに、今は不登校ぎみで、私を含む数人としか話しません。
どうして、何も悪くない彼女がいじめられるのでしょう。
原発は、人の役に立ちますが、今回のように人を傷つけることもある
「もろはのつるぎ」です。今回の地震は1000年に1度の大地震。
せめて新しい発電方法が見つかるまで、原発を批判しないでください。(M)
◆僕は(男子児童の)意見に一番共感を覚えた。なぜなら、僕の母は
経済産業省に勤めているからだ。原発事故の問題では東京電力だけ
でなく経産省も批判されている。母も加害者という意識が強く、とても
申し訳ないと思っているようだ。
確かに、国や東電の責任も大きいが、電気を日々の生活で大量に
使っている国民全員、いや世界全体の責任でもあると主張したい。
(東京学芸大付属小金井小・6年)
◆僕のお父さんも東電の社員です。お父さんが原発に行くときは、
とても心配です。たしかに東電にも責任はあるけど、全面的に東電に
責任をおしつけているのはすごくいやな感じです。
責任をとらないといけないのは、国だと思います。国と日本人が
便利を求めているから、原発が必要とされたのです。(横浜市立汲沢小・6年)
◇男子児童からの手紙の要旨
突然ですが、僕のお父さんは東電の社員です。
(原発事故や計画停電についての東電の責任を指摘した毎小の
記事を読んで)無責任だと思いました。
原子力発電を造ったのは東京電力ですが、つくるきっかけをつくったのは、
日本人、いや世界中の人々です。
発電所を増やさなければならなかったのは、日本人が夜遅くまで
スーパーを開けたり、ゲームをしたり、無駄に電気を使ったからです。
中でも原発を造らなければならなかったのは、地球温暖化を防ぐためです。
温暖化を進めたのは世界中の人々です。そう考えると原発を造ったのは、
東電も含み、みんなであり、みんなも無責任であるといえます。
~~~~~~~~~~~~~~~~6月23日付け、毎日JPより転載
小学生新聞に投稿された文に対して、異議を唱えて手紙を
送った男子児童。 父親が東電の社員だというその子の書いた
手紙を読んで、今度は全国の小学生から自分なりの意見を
それぞれ書いています。
子供の言うことは、いろんな無駄がそぎ落とされていて
実にシンプルで直球なのが気もち良いです。
そして、みんな自分のこととして真剣に語っていることが
何よりも素晴らしいですね。
こういう子供たちが、日本の未来を担うと思うと頼もしいです。
大人もしっかりしないとね。