70歳まで生存する確率を示す指標として、人種や地理的な因子(要因)よりも教育、所得、職業などの社会経済的な因子群の方が優れていることが、新しい研究で示された。研究を行った米スタンフォード大学医学部(カリフォルニア州)の研究グループは、「長年、人種および居住する地域が寿命の最も優れた指標となると考えられてきたが、この知見はそれに疑問を投げかけるものである」と述べている。
これまでの研究から、米国のさまざまな地域で平均余命(life expectancy)に大きな差がみられることがわかっていた。例えば、大都市圏や南部では平均余命が短い傾向がみられる。昨年(2011年)発表された研究では、ミシシッピー州の5つの郡では男性の平均余命が66.5歳であり、米国人男性の平均である75.4歳よりも大幅に短いことが明らかにされている。人種格差も平均余命の因子として十分に確立されており、例えば最近の研究では、白人の平均余命は黒人よりも男性で約7年、女性では約5年長いことがわかっている。
今回の研究では、米国の各郡に暮らす人が70歳まで生きる確率に関するデータを検討した。このデータをまず性別および人種によって区分したが、その後、別の因子が平均余命にどのような影響を及ぼすかを検討した。分析の結果、各地域の社会的条件(教育、所得、職業、婚姻状況など)に関連する因子を分析に含めると、人種および地域による健康状態の差が事実上消失した。
研究の筆頭著者で同大学医学部教授のMark Cullen氏は、「一部の郡の間では大きな平均余命差がみられるが、最も問題となるのは社会的・環境的特徴と人口である。その郡での高校を卒業した成人、管理職や専門職に就く人、両親がいる家庭に暮らす成人の割合など、特定の因子を考慮した場合、南部に暮らすなどの地理的因子は意味がなくなる」と同氏はいう。この研究は、オンライン医学誌「PLoS One」に4月17日掲載された。
[2012年04月17日/HealthDayNews]
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