減量に成功しても1年以内でまた体重が増加するのは、空腹ホルモン(hunger hormone)が原因であることが小規模研究で示された。米医学誌「New England Journal of Medicine」10月27日号に掲載されたオーストラリアの研究者らの報告によると、過体重や肥満の患者で低カロリーダイエットを10週間実施後、患者らの食欲ホルモン(appetiter hormone)や空腹ホルモンの値が変化することが判明した。その変化のほとんどすべては、身体が失った体重を再び得るためのものであるという。
「10週間のダイエットの終了時と1年後に9種類の異なるホルモンを血液検査で調べたところ、体重減少後から12カ月以内に元の値に戻ることはなかった」と、論文指導著者であるメルボルン大学Austin Health(ビクトリア州)教授のJoseph Proietto氏は述べている。例えば、胃の内壁細胞が産生する食欲刺激ホルモンであるグレリン(ghrelin)は減量後に増加し、その値は研究期間中持続した。一方、食欲抑制ホルモンであるレプチン(leptin)は減少する。「減量後も警戒が必要で、いったん体重が減ったとしても闘いが終わったわけではないことを理解する必要がある」とProietto 氏は述べている。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)ヒト栄養学センター長のDavid Heber氏は、「過去の研究でも今回と同様に、減量するとホルモンが体重を再獲得するよう促進することが示されている。ヒトの身体は飢餓(starvation)には適応しているが、栄養過多にはうまく適応していないためである」と述べている。専門家からは、この研究が非常に小規模かつ対照群がない点や、脳の変化を調べていない点に限界があるという指摘もある。
Proietto 氏によると、被験者の一部は途中で脱落し、4人はこの研究の追跡に必要な、10ポンド(約4.5キロ)の減少に失敗したため、最終的な結果には当初の50人中34人しか含まれていない。今回の研究では、ホルモン値測定のほかに、被験者自身が食欲度を採点し、時が経つにつれ“顕著な”増加が認められたという。しかしある専門家は「患者自身の主観的な空腹度評価から結果を引き出すのは難しく、また、空腹感は食べ過ぎる人のほとんどにおいて推進力ではない」と指摘している。
著者らは「今回の知見は空腹を抑制する薬剤が長期的に有効であることを意味する」と述べているが、Heber氏は「過食に結びつく行動因子の追跡も必要である」としている。同氏は「食物依存に注目すべきであり、肥満者の50%が食物依存である」と述べている。さらにHeber氏は「ホルモンが体重増加に大きな役割をもつからといって、肥満者本人は気落ちすべきではなく、健康的食生活と運動、的確な医学的指示を受けることで、健康な体重を得るための主導権は自身の手にある。多くの人がこの方法で減量に成功している」と述べている。
[2011年10月26日/HealthDayNews]
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