『おんな城主直虎』第11~15回―直虎、舐められすぎ | 歴史愛~歴史を学び、実生活を豊かにする~

歴史愛~歴史を学び、実生活を豊かにする~

「温故知新」とは言いますが、世の中を見渡すと表面的な教訓ばかりでイマイチ実生活に活かすことのできない解説ばかりです。歴史的な出来事を、具体的な行動に置き換えて実生活をより豊かにし、願望を実現する手助けになるように翻訳していきます。


※こちらの記事は、平成29年11月12日に書かれたものです。

皆さんこんばんは。
今回は、人気が低迷しているらしいNHK大河ドラマ『おんな城主直虎(なおとら)』の第11~15回についての感想です。


【これまでの記事】
・第1~5回―子ども時代はセオリー通り・第6~10回―遠州錯乱を描いてほしかった



まずはあらすじ

今川義元(春風亭昇太)亡き後、三河(みかわ)を勢力下に治めつつあった松平元康(阿部サダヲ)の元から井伊(いい)家へ使者があった。落ちぶれゆく今川(いまがわ)家に比べて勢いのある松平(まつだいら)家に近づいておきたい井伊直親(三浦春馬)、次郎法師(柴崎コウ)は小野政次(高橋一生)に相談し、直親は松平元康に会うこととなった。しかし、それは今川家の放った偽元康(星田英利)であり、謀反(むほん)の嫌疑をかけられた直親は弁明のため駿府(すんぷ)へと向かう。

駿府への道中で直親は暗殺され、遠江(とおとうみ)国内で松平方へ呼応した飯尾連竜を討つために出陣した井伊直平(前田吟)、中野直由(筧利夫)、新野左馬助(苅谷俊介)らも討死(うちじに)にしてしまう。井伊谷(いいのや)にまともに政治を執れる人間がいなくなってしまったために、南渓和尚(小林薫)は次郎法師を還俗(げんぞく)させて「直虎」と名乗らせ、直親の遺児虎松(鈴木楽)の後見とすることになる。

当主代行となった直虎はまず井伊家の財政の建て直しに苦戦する。そこで、商人である瀬戸方久を家臣(かしん)とすることになるが、直由の息子、直之(矢本悠馬)が反発する。

直虎は領内の瀬戸(せと)村、祝田(ほうだ)村の借金を解消するために徳政令(とくせいれい)を発布しようとするができず、それに反発した村民たちは今川家に直接徳政令を出すように訴え、今川家から直虎の元に徳政令を出すように命令が来た。しかし、このまま今川家の命令を受け入れては瀬戸、祝田の二村は今川家領のようになってしまうため、直虎は両村を龍潭寺(りょうたんじ)に寄進(きしん)。同時に家臣や村民たちに事情を説明する。

徳政令の顛末について説明せよという今川家からの命令に従わざるを得ない井伊家だが、先に直満(宇梶剛士)・直平や直親が暗殺された経緯があるため、使者に身をやつして駿府に到着。今川家の実権を握っていた今川氏真(尾上松也)の祖母寿桂尼(じゅけいに)(浅丘ルリ子)を説得し、なんとか事なきを得る。

という感じです。




という訳でまずは第11回「さらば愛しき人よ」ですが、やはり政次、つまり高橋一生氏の演技がすさまじかったですね。
幼馴染である次郎法師にも直親にも好意的でありながらも、今川家に呼ばれて駿府に行き、井伊家の裏切りを指摘されたときの顔面蒼白感と、悪に心を染めたと洞察させる描き方。素晴らしかったです。

そして第12回「おんな城主直虎」ですが、やはり直親の妻しのが面倒くさくていやでした。さらに他の人も書いていらっしゃいますし、僕も書いていますが、遠州錯乱(えんしゅう・さくらん)はどこいったんだというのが大きい。

直平、直由、新野の3人はいつの間にか出陣していつの間にか死んでいるが、これもいろいろある話で、飯尾連竜の裏切りとかもよくわからずにスルーされているし連竜の妻お田鶴(たづ)の方も出てこないし、歴史を知らない視聴者の人は3人の死がいったいなんなのかよくわからなかったのではないかなと思います。

第13回「城主はつらいよ」ですが、瀬戸方久はいいのですが、中野直之が見ていられませんでした。
いくら直虎擁立に反対とはいえ、また、井伊家中で力のあった中野(なかの)家とはいえ、当主代行にあんなに面と向かって罵詈雑言を浴びせられる家臣がいたのか?

ドラマの構成上、主人公への試練や視聴者を多少嫌な気持ちにさせるキャラクターは必要かもしれませんが、あれはちょっとやりすぎな気がしました。

第14回「徳政令の行方」についても、井伊家臣たちや村民たちの直虎への冒涜っぷりがすさまじくアホかと思いましたね 笑
確かに当時の領主たちは家臣や村民たちの一揆(いっき)に悩まされてはいましたが、あんな面と向かって侮辱するか?

そして、小野政次(高橋一生)の悪役っぷりはやりすぎ。
これでは完全に悪いやつではないか。

ただ、今までのドラマであまり描かれなかった戦国(せんごく)領主と領民(りょうみん)たちのかかわりが描かれていたのはよかったかなと思います(実際はどんなかかわりだったかは知りませんが 笑)

第15回「おんな城主対おんな大名(だいみょう)」に関しては、一応今までのやきもきや嫌な気持ちが解消され、政次の悪人っぷりが解消されていきほっとしました。

特にこれまでの中野直之の描写がクソ野郎だっただけに、味方になったときの安心感は大きかったですが、こんな風に脚本家の手玉に取られている自分が嫌です 笑

ちなみに寿桂尼からの書状に「井伊次郎」と書かれていたのは別に「直虎」という名前が今川家側に認められいなかったわけではありません。

以前に書きましたが、当時は今のように苗字と名前はひとつずつではなく、おそらく直虎のフルネームは「井伊 次郎 藤原 直虎」であったわけです。

「直虎」は実名(じつみょう)〔=諱(いみな)〕であって、実名は神聖であるため常用はしませんでした。そこで登場するのが「次郎」という仮名(けみょう)〔=通称〕であり、家臣たちからも「直虎様」ではなく「次郎様」と呼ばれていたはず。

以上、毎回5回分感想を書くのは大変なのですが、第11回~15回の感想、何とか書き終えました 笑

次回の記事を読みたい方は、下記リンクをタップしてください:
『おんな城主直虎』第16~20回―小野政次がいいやつになった

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・今川 治部大輔〔通称不明〕 源 朝臣 義元
いまがわ じぶのたいふ みなもと の あそん よしもと
・松平 蔵人佐〔通称は次郎三郎〕 源 朝臣 元康
まつだいら くらんどのすけ〔通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん もとやす
・井伊 肥後守〔通称不明〕 藤原 朝臣 直親
いい ひごのかみ〔通称不明〕 ふじわら の あそん なおちか
・小野 但馬守〔通称か官職か不明〕 小野 朝臣? 政次〔道好〕
おの たじまのかみ〔通称か官職か不明〕 おの の あそん? まさつぐ〔みちよし〕
・飯尾 豊前守〔通称は善四郎〕 三善 朝臣 連竜
いのお ぶぜんのかみ〔通称はぜんしろう〕 みよし の あそん つらたつ
・井伊 信濃守〔通称不明〕 藤原 朝臣 直平
いい しなののかみ〔通称不明〕 ふじわら の あそん なおひら
・中野 越後守〔信濃守、通称か官職か不明〕 藤原 朝臣? 直由
なかの えちごのかみ〔しなののかみ、通称か官職か不明〕 ふじわら の あそん? なおよし
・新野 左馬助〔通称不明〕 源 朝臣 親矩
にいの さまのすけ〔通称不明〕 みなもと の あそん ちかのり
・中野 越後守〔通称不明〕 藤原 朝臣 直之
なかの えちごのかみ〔通称不明〕 ふじわら の あそん なおゆき
・瀬戸〔松井〕 四郎右衛門〔平兵衛〕 (氏不明) 方久〔諱不明〕
せと〔まつい〕 しろううえもん〔へいべえ?〕 (氏不明) ほうきゅう〔諱不明〕
・井伊 信濃守?〔通称は彦次郎〕 藤原 朝臣 直満
いい しなののかみ?〔通称はしこじろう〕 ふじわら の なおみつ
・井伊 平次郎 藤原 直義
いい へいじろう ふじわら の なおよし
・今川 治部大輔〔通称は彦五郎〕 源 朝臣 氏真
いまがわ じぶのたいふ〔通称はひこごろう〕 みなもと の あそん うじざね
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

※画像はイメージです。

参考
第11回
真田のよもやま話
渡る世間は愚痴ばかり
Cantabile
第12回
Cantabile
渡る世間は愚痴ばかり
やまもも書斎記
第13回
Cantabile(その1)
Cantabile(その2)
渡る世間は愚痴ばかり
第14回
渡る世間は愚痴ばかり
Cantabile
雑記帳
第15回
事務職員へのこの1冊
真田のよもやま話
渡る世間は愚痴ばかり


/
記事を読んでいただき、ありがとうございました!他の記事もぜひご覧下さい!

twitterfacebookでのフォロー、お待ちしてます!


☆「この人の書いてること、ちょっと面白いかも」と思った方はぜひメルマガ登録してみてください!

歴史を学んで、知識をつけるだけではなく「歴史を活かして自分の生きたい人生を歩む」というテーマで、ブログでは語れない話などを書いています。

↓こちらの画像をタップしてください↓


また、メルマガに登録してメルマガに記載されているメールアドレス宛にリクエストを送っていただければ、順次お応えします。

・○○(武将、合戦等)について語ってほしい
・大河ドラマ(『軍師官兵衛』以降)について語ってほしい
・今、○○について悩んでいるが、どの武将を参考にしたらいいか

…等々

ブログと違ってほぼリアルタイム配信なので、会話をしているかのようなコミュニケーションが楽しめます!

登録、お待ちしています!

※メルマガが迷惑メールフォルダや「プロモーション」フォルダに入っている可能性があります。
不定期配信なので、ちょこちょこチェックして、迷惑メールフォルダ等に入らないように設定しておいてください。




ブログランキング参加中!
クリックをお願いします。

にほんブログ村 歴史ブログへ
にほんブログ村


歴史ランキング