『青天を衝け』第4回―阿部家について | 歴史愛~歴史を学び、実生活を豊かにする~

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「温故知新」とは言いますが、世の中を見渡すと表面的な教訓ばかりでイマイチ実生活に活かすことのできない解説ばかりです。歴史的な出来事を、具体的な行動に置き換えて実生活をより豊かにし、願望を実現する手助けになるように翻訳していきます。


※こちらの記事は、令和3年4月25日に書かれたものです。

皆さんこんばんは。
今回は令和3年の大河ドラマ『青天を衝け』第4回に関しての楽しみ方を解説したいと思います。

大河ドラマを見てみたけれど、歴史もよくわからないし、どう楽しんでいいのかわからない
歴史には興味あるけど、自分では積極的に勉強する気になれない、という方必見です!
※記事下部に武家や公家の人物名の読み仮名を載せています。

【『青天を衝け』の楽しみ方】
・第1回―渋沢家について・第2回―身分秩序について
・第3回―平岡家について


まずはあらすじ。



第4回のあらすじ


嘉永(かえい)6年(1853年)、12代将軍・徳川左府家慶(吉幾三)が亡くなり、四男・右大将家祥(渡辺大知)が将軍職(しょうぐんしき)に就き13代将軍・徳川内大臣家定となった。

次期将軍にと推される刑部卿一橋慶喜(草彅剛)は相変わらず将軍継嗣(けいし)への意欲を見せなかったが、父・権中納言斉昭(竹中直人)の差し金で小姓(こしょう)となった平岡円四郎(堤真一)には笑顔を見せていた。

一方、血洗島(ちあらいじま)で仕事に精を出していた渋沢栄一(吉沢亮)は、藍農家の一年の労苦をねぎらう宴を催す役を担うことになった。
通常であれば宴の上座には最年長の角兵衛(かくべえ)(渡辺哲)が座るはずであった。

しかし栄一は、権兵衛(ごんべえ)(永野宗典)を上座に座らせ、角兵衛を下座に座らせた。

場は騒然となったが、栄一は一番質のいい藍葉を作った権兵衛を上座に座らせたという。
一触即発の雰囲気となった一座であったが、角兵衛が権兵衛に「どこで〆粕(しめかす)を買ったか教えやがれい。来年こそはわしが大関になってみせるんべえ」と宣言したことにより、盛り上がりを見せた。

嘉永7年(1854年)、マシュー・ペリー(モーリー・ロバートソン)が二度目の来日を果たした。

大統領の誕生日を祝う祝砲に恐れをなした幕府は、ついに開国へと舵を切るのであった。

ということで、




第4回「栄一、怒る」の感想


平岡円四郎と一橋慶喜のやり取りはよかったですね。
下町育ちで、がさつでご飯をまともによそうことができない円四郎に丁寧によそい方を教える慶喜に心が和みました。

円四郎の最期に号泣することが確定しましたw

血洗島での藍農家の番付のシーンもよかったです。
前回も書きましたが、主人公が明るくて前向きなサクセスストーリーはとても面白いです。

平岡家について知りたい方は、下記リンクをタップしてください:
『青天を衝け』第3回―平岡家について

そして、栄一が代官・利根吉春(酒向芳)の失礼な態度に憤慨するのもよかったです。
あんな態度を取られたら誰だって憤慨しますが、処世のために怒りを飲み込んでいた時代があります。

百姓差別こそなくなりましたが、昭和の時代は年齢、役職、性別により相手を軽んじる態度をとる人もいましたし、現在も決してなくなったわけではありません。




第4回の楽しみ方―阿部家について―


ドラマでは、老中(ろうじゅう)・阿部伊勢守正弘(大谷亮平)が活躍していましたが、今回はその阿部(あべ)家について書こうと思います。

由来としては第8代孝元天皇の第一皇子・阿部大彦命から始まると言われます。

通常、武家のほとんどは巷に流布している「名字」の他に「氏」をもっているものですが、阿部家に関しては名字も氏も「阿部」となります。
※「氏(うじ)」が「名字」化したパターンです。

関連記事:
武家や公家の名前について

阿部大彦命は「四道将軍(しどうしょうぐん)として北陸道(ほくりくどう)に派遣されていますが、その後の動向やその子孫の動向はよくわかっていません。

戦国(せんごく)時代には三河(みかわ)・松平(まつだいら)家に仕え、松平家の古い家臣である「安祥譜代(あんじょうふだい)に数えられています。
※他の「安祥譜代」は酒井(さかい)家、大久保(おおくぼ)家、本多(ほんだ)家、石川(いしかわ)家、青山(あおやま)家、植村(うえむら)家です。

東照大権現(とうしょうだいごんげん)徳川家康の祖父・松平次郎三郎清康の代には阿部大蔵定吉を輩出していますが、大蔵の子・弥七郎正豊が主君・清康を刺殺するという事件が起こり〔森山(もりやま)崩れ〕、松平家は騒然とします。

弥七郎はその場で討ち果たされ、大蔵は子の狼藉(ろうぜき)の責任を取って自害しようとしますが、清康の子・次郎三郎広忠に止められ、以降も松平家臣として活躍します。

この大蔵の系統は断絶していますが(一説によると井上(いのうえ)家は大蔵の末裔とされます)、のち、同じ阿部一族で別系統と言われる伊予守正勝の系統が徳川家臣として活躍することになります。

伊予守は幼名を徳千代(とくちよ)といい、徳川家康の尾張(おわり)~駿府(すんぷ)人質時代にも同行したと言われる忠臣です。

関連記事:
これぞ徳川家の柱石・三河武士の死にざまだ!!(山岡荘八『徳川家康』第2巻)

伊予守自身は関ヶ原(せきがはら)合戦以前に死去していますが、子の備中守正次が大坂(おおさか)の陣で城内に一番に突入し、その功で大坂城代に任じられます。


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その子孫が備後福山(びんご・ふくやま)藩主となり、ドラマで活躍している伊勢守正弘へとつながるのです。

こんな感じで、ドラマの背景にある知識が分かるとドラマをもっと楽しめます!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

以下もご覧ください!

※トップ画像はイメージです。

○今回登場した人物のフルネーム(参考:「武家や公家の名前について」)
・征夷大将軍〔将軍家〕 徳川 左大臣〔幼名は敏次郎〕 源 朝臣 家慶
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 とくがわ さだいじん〔幼名はとしじろう?〕 みなもと の あそん いえよし
・征夷大将軍〔将軍家〕 徳川 内大臣〔幼名は政之助〕 源 朝臣 家定〔家祥〕
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 とくがわ ないだいじん〔幼名はまさのすけ?〕 みなもと の あそん いえさだ〔いえさち〕
・(一橋、水戸)徳川〔松平〕 刑部卿〔幼名は七郎麻呂〕 源 朝臣 慶喜〔昭到〕
(ひとつばし、みと)とくがわ〔まつだいら〕 ぎょうぶきょう〔幼名はしちろうまろ〕 みなもと の あそん よしのぶ〔あきむね〕
・(水戸)徳川 権中納言〔通称は敬三郎〕 源 朝臣 斉昭
(みと)とくがわ ごんのちゅうなごん〔通称はけいさぶろう〕 みなもと の あそん なりあき
・平岡〔岡本〕 円四郎 源?〔清原?〕 方中
ひらおか〔おかもと〕 えんしろう みなもと?〔きよはら?〕 の あそん けたち
・渋沢 栄一〔栄二郎、栄一郎〕 源 美雄
しぶさわ えいいち〔えいじろう、えいいちろう〕 みなもと の よしお
・利根 (官職・通称不明) 平〔藤原?〕 吉春
とね (通称・官職不明) たいら〔ふじわら?〕 の よしはる
・阿部 伊勢守〔通称は四郎五郎〕 阿部 朝臣 正弘
あべ いせのかみ〔通称はしろうごろう〕 あべ の あそん まさひろ
・阿部大彦命
あべのおおひこのみこと
・征夷大将軍〔将軍家〕 徳川 太政大臣〔右近衛権少将、左近衛大将、内大臣。通称は次郎三郎〕 源 朝臣 家康
せいいたいしょうぐん〔しょうぐんけ〕 とくがわ だじょうだいじん〔うこんえごんのしょうしょう、さこんえのだいしょう、ないだいじん。通称はじろうさぶろう〕 みなもと の あそん いえやす
・松平 次郎三郎 源 清康
まつだいら じろうさぶろう みなもと の きよやす
・阿部 大蔵 阿部 定吉
あべ おおくら あべ の さだよし
・阿部 弥七郎 阿部 正豊
あべ やしちろう あべ の まさとよ
・阿部 伊予守 阿部 朝臣 正勝
あべ いよのかみ あべ の あそん まさかつ
・阿部 備中守 阿部 朝臣 正次
あべ びっちゅうのかみ あべ の あそん まさつぐ
☆武家の「通称」の普及を切に願います!

参考
ゆーくんはどこ?
ぴえーるのテレビブログ
大河ドラマ応援ブログ。

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