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※こちらの記事は、平成19年12月26日に書かれたものです。
歴史学者上杉和彦氏による、源頼朝(みなもと の よりとも)の鎌倉開府(かまくら・かいふ)についての再考察の本である。
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著者自身も述べているように、この本は歴史学を専門的にやっていない、一般の読者でもわかりやすいことを目指して書かれたようで、源頼朝の鎌倉開府に至る過程が非常にわかりやすく書かれていた。
平安(へいあん)時代末期の戦乱までさかのぼり、源氏(げんじ)と平氏(へいし)との間の覇権の移り変わり、源氏から北条(ほうじょう)氏への権力の移行の様子をわかりやすく解説していて、この時代に興味がある方にはとてもわかりやすい入門書と言えるか。
ただし、目新しい学説には欠けていて(2003年発行だから、この本に述べられている学説が僕にとって目新しくないのは当然だが―僕が歴史学、特に『吾妻鏡(あづまかがみ)』の時代を勉強していたのは2003~2004年)、確か上杉氏自身も参考文献として挙げていらっしゃるが、川合康氏の『源平合戦(げんぺいがっせん)の虚像を剥ぐ―治承(じしょう)・寿永(じゅえい)内乱史研究』 (講談社選書メチエ)のフォロワー的印象を払拭しきれない。
ただ、上記川合氏の著書よりもフォローしている時代範囲が広いので、まったく同じとも言い切れず、それがこの本のよい部分かもしれない。
上杉氏ご本人もこの本をまとめるに当たって、時代範囲の広さに相当苦労されたようだ。
平安末期~鎌倉初期の入門書として、上記『源平合戦の虚像を剥ぐ―治承・寿永内乱史研究』 と合わせて読むとよいかもしれない。
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