またマニアックなお話です。



最近相棒になった

Zeiss Ikon Contax D

+

Schneider Kreuznach Curtagon 35mm F2.8


YouTubeでこのカメラを紹介する動画
に登場する個体よりも
はるかに綺麗なんです。

ということで、このカメラ「で」撮る前に
このカメラ「を」撮りました。

まずはカメラ本体から。

1952年〜1956年頃まで販売されていた、
私の年齢よりも遥かに年上のカメラ
気になったので色々と調べてみました。


ペンタ部に書かれている「VEB」とは
旧東ドイツの人民公社を意味するそうです。



フィルムの巻揚はレバーではなく
このダイアルをグリグリと回します。

金属質の光沢がカッコいい。

ミラーはまだクイックリターン式になっておらず
普段はミラーアップされた状態。
つまり、ファインダーは真っ暗で
何も見えない状態。

このダイアルでフィルムを巻き切ると、
その時点でミラーが降りてきてファインダー越しに
被写体が見えるようになります。


そしてシャッター半押しでミラーアップ、
更なる押し込みでシャッターが切れるという
流れになります。


シャッタースピードダイアルは複雑で
高速シャッターはこの窓の右側の黒い数字で
低速シャッターは窓の左側の赤い数字で合わせます。

合わせるのは窓の下にあるダイアルを
押し込んだ状態で反時計周りに回します。

低速か高速かは
別のところにあるスライドスイッチで
切り替えます。

最速で 1/1,000秒

おそらく…ですが、
高速シャッターの方は先幕と後幕との物理的間隔を
低速シャッターの方は先幕と後幕との時間的間隔を
それぞれ調整してるんじゃなかろうか。

あと、今時のカメラは
「絞り優先オート」
「シャッタースピード優先オート」
がついています。
完全マニュアルなこのカメラでは
このシャッタースピード調整より
絞り調整の方が素早くできるので
そういう意味では実質的な
「シャッタースピード優先オート」
だと解釈しました。


TTL測光も露出計もついていませんので
ISO感度ダイアルは多分備忘録。
この頃はISOではなくてASAだったと思いますが。

よく見ると☀️と💡の絵があるのが謎。
カメラにホワイトバランス調整
なんて無いでしょうし。

もしかして当時のフィルムは
屋外用、室内用と、
フィルム単位でホワイトバランスが
違ってたのかもしれません。
そこを含めた備忘録。

ISO感度ダイアルと同軸上にある2階建のダイアルは
フィルム巻き取り用のダイアルです。
クランク式では無いので
グリグリと回すのに時間を要します。

露出計が無いのでそもそも電池が不要です。
完全機械式です。


レンズはシュナイダークロイツナッハ
というブランドで、ヨーゼフ・シュナイダーさんが
ドイツのバートクロイツナッハ市で創業。
現在でもライカやハッセルなどに
レンズを供給している現役ブランドです。

クルタゴンという名前は
ものの本には「ドイツ製のレンズには〜ゴンという
恐竜のような名前が多い」
と書かれていました。
恐竜で良かったです。
ダンスにゴンじゃなくて。

前回も書きましたが、
フォーカスリングの適度なトルク感と
ちょうどいいピッチは
今時のオートフォーカスカメラには無い良さです。

同じくマニュアルフォーカスの
ペンタックス6x7用のレンズは
トルク感は最高なのですがピッチが長いんです。
微調整しやすいけど
いっぱい回転させる必要があります。



フィルム室にこのような貼り紙がしてありました。
2001年の11月に、
ゲルリッツ市にあるオルブリッチという会社で
オーバーホールをしてもらったようです。
この会社も調べると現在も活動しており
評判が良い、とのこと。



続いてはこのカメラで撮影した写真です。
フィルムから「フォトCD」に
焼いてもらいました。

見ていただくとわかるのですが
むか〜し撮った写真のように写りました。
昭和の写真?みたいな。

横浜のブーゲンビレア


横浜の大桟橋


カラフルな象の像


雰囲気のあるビル


そして大塚へ。

アサガオと都電


まだ残っている薔薇


うっすらピンクの薔薇


赤い薔薇


奥に都電が走っています。

わかるかな?

駅前の花壇の植え込み


踏切



都電
一つ前の写真の踏切から撮影

ちょっと通りますよ


山手線と都電のコラボ

線路



どれもレトロ感満載です。
レトロなカメラで撮っているので
レトロな仕上がりは大歓迎なのですが、
ここでちょっと疑問が。


全体的に露出がオーバー気味で
グラデーションが出ていません。

大桟橋の写真

同じところから同じ構図で
デジタル一眼レフでも撮影しています。
(上:デジタル一眼レフ   下:フィルムカメラ)
空が白飛びしています。

ブーゲンビレアについても

同じ角度をそれぞれ撮影
(上:デジタル一眼レフ   下:フィルムカメラ)
逆光なのでそもそも綺麗に撮るのが難しいのですが
全体的に白っぽくなっています。

レンズの特性
逆光の処理の仕方
カメラ内の光の乱反射など
原因を考えていたところ、
あることに気づきました。

このカメラの少し後の時代から
TTL測光という機能が実現されます。
撮影に使う対物レンズに入ってくる光の量を
測って露出計で表示します。

そのため、
測光やピント合わせをやりやすくするために
絞りがどの位置にあっていても
実際の絞り羽は開放状態にしておき、
シャッターを切る瞬間だけ絞り羽を閉じる
という動作をするようになりました。

1952年のこのカメラにはそのような機能はなく
(少なくとも一般的ではなく)したがって
「シャッターと連動して絞り羽を閉じる」
という機能はついていません。

ということは、
絞り5.6とか8とかで撮った「つもり」の写真は
実は全部絞り開放だったのでは疑惑が
持ち上がってきました。


これを回避するためには、レンズ側で
「絞りダイアルと連動して
リアルタイムに絞り羽を閉じるモード」
が必要になります。
レンズにそのようなスイッチが無いかな〜
と探したところ
こんなところにひっそりと備わっていました。

ゴン…お前だったのか。

ということで、
謎が解けたので
早速「次」を撮りに行ってきました。



それはまた今度のお話。