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黒背景と高コントラストの図(笑)


昨日、カラバッジョの話を書きました。

カラバッジョ展の最初の一枚目は
「女占い師」でした。

これはどういう絵かというと、
ジプシーの格好をした女占い師が
育ちの良さそうな剣士の手相を
占おうとする図。

でもなんだか占い師の表情も意味深だし
手つきも怪しい。

何かと言うと、女占い師が
手相を見るふりをして剣士の指輪を
盗もうとするシーンなのです。

2枚目の絵は、カラバッジョに
影響を受けた(カラバジェスキと呼ばれる)
人の絵で、似たような構図なのですが
今度は女占い師が手相を見る隙に
老婆が客の男のポケットから
財布を盗み出す絵でした。

カラバッジョはこうした
街の闇も絵の対象としていたのです。


そういえば…。
思い出しました。

私もかつて、ジプシーの少年に
同じようなことをされたことを。

いまを遡ること20数年前、
まだ通貨がリラだった時代。
私がローマの街をあるいていると、
正面からジプシーの少年たちが
歩いてきました。

そのうちの一人が目の前で新聞紙をひろげ、
私に何か語りかけてきました。

よく聞き取れませんでしたが、
「ねぇねぇ、この新聞に
何が書いてあるの??」
的なことを言い、新聞のとある記事を
トントンと指差しました。

目の前に新聞を広げ、死角を作った瞬間、
取り巻きの少年が私のポケットに
両方から手を突っ込んで、
手に触ったものを掴み取ると
全員一斉に走って逃げて行きました。

ぽか~ん…。

としてしまいましたが、
ポケットにはレシートくらいしか
入っておらず、実害はありませんでした。

こういうことはよくあると聞いてたので
現金や貴重品はポケットなんかに
入れてなかったんですけどね。
初めての洗礼を受けました(笑)

イタリア人は温和で優しい人が多いですが
東欧あたりからくる難民(ジプシー)は
手癖の悪い人がたまにいるんです。

余談ですが、リラのコインは世界でも珍しく
ツートンカラーのコインでした。
紙幣の肖像画には、カラバッジョの肖像画
のものもあったと思います。

それから何年かして、やはり
ローマの街中を歩いていると
浅黒い肌に黒髪の北アフリカ系の
お兄さんが話しかけてきました。
しばらく話をしてると
「あなたは私の友達!
友達の印にミサンガをつけてあげる」
と、私の手を取り、有無を言わさず
私の手首に綺麗な色の糸を編んでいき
ミサンガを作ってくれました。

「はい、25ユーロね」

(この時はすでにユーロに変わってました)

しまったっ!油断してた(笑)

「んなん、払うわけねーだろ!あほか」

というと、そのお兄さんは

「もう結んじゃったんだから
お金払えよぉ」

だと。中学生かおまえは!
(見た目の推定年齢は20代前半)

いわゆる押し付け商法ですね。
あーでもないこーでもないと
言い合いをしていたら
ミサンガ兄ちゃんの仲間がやってきて

「つべこべ言わずに、そいつに
金払えばいいんだよ!」

とあおってきました。
そのおっさんはなんか
楽器を持ってた気がします。

こっちも結構短気なもんでして、
カチーンときて

「ぁあ? んだと!?
てめーはカンケーねーだろ
金払うなんて一言も言ってねーぞ!?」

とおっさんに詰め寄ったら
楽器のおっさんは後ずさりしながら
なんか捨て台詞を吐いて逃げて行きました。
(こちらの推定年齢は40代後半)

まぁ、こっちも曲がりなりにも
格闘技の有段者ですので
多少腕っ節にも自信がありました。
若気の至りですね(笑)

で、ミサンガ兄ちゃんに目を移すと

「25ユーロ!25ユーロ!」

と、壊れたプレーヤーのように
繰り返してましたが、兄ちゃんの後ろは壁。
後ずさりしようにも後がありません。
声もなんだか小さくなっていき
おどおどした目つきに変わっていたので
なんだか哀れになって、

「あのな、今1ユーロしかないから、
これ、やるわ。持ってけ」

とコイン1枚渡したら、
ミサンガ兄ちゃんも、
走って逃げて行きました。

「ヘイ!ポリッツィア」などと声を上げて
お巡りさんが来ようもんなら
あちらさんも色々厄介なことになる
ご身分なんでしょうね。

※近頃は銃を持っててもおかしくないので
無茶はしないように(^_^;)

そのミサンガ、どうしたかって?
実はなんだか気に入ってしまい、
当時使っていたバッグの取っ手に
結い直し、現存しています(笑)