今日、クボタショック後では、最悪の判決が言い渡されました。
アスベスト被害についての政府責任を、醜いまでに免罪したもので、まさに、満腔の怒りをもって糾弾する。
全面的に、以下の声明を発した原告団、弁護団、被害者とともにあることを表明します。

声 明
                 201 1 (平成23) 年8月 25 日

大阪泉南アスベスト国家賠償請求訴訟原告団・弁護団
泉南地域の石綿被害と市民の会
大阪泉南地域のアスベスト国賠訴訟を勝たせる会

1 (冒頭部分)
本日、大阪高等裁判所第14 民事部は、大阪・泉南アスベスト
国家賠償請求訴訟第1陣・原告 32 人・被害者26人)において、国の責任を認
めた大阪地裁判決を取消して原告の請求を棄却する不当判決を言い渡した。

2 (判決の要旨部分)
本判決は、不当にも、一審原告らの主張する国の不作為責任を一切認めなかった。

3 (判決の問題点)
大阪泉南地域は、戦前から100年にわたり,石綿紡織業が発展し、零細小規模の工場が集中立地していた。国は、 70年前に大阪泉南地域の石綿工場労働者を対象とした自らの調査によってアスベストの危険性を知っていた。にもかかわらず、国は、戦前は軍需、戦後は経済成長を優先させて、泉南地域 の事業
主、労働者やその家族、近隣住民に対して危険性情報の提供や必要な対策や規制を怠った。泉南地域は国の経済発展の捨て石にされ、その被害は、長期、広範、深刻なものとなった。国に泉南被害の発生と拡大に責任があることは明白である。それゆえにこそ、昨年5月 1 9日の大阪地裁判決は、アスベスト被害について、はじめて国の責任を認め、しかも、全損害について賠償責任を認めたのであるo
しかるに、本判決は、不当にも大阪地裁判決を取り消した。これは、アスベスト被害の原点である大阪泉南地域の被害と国の加害の事実から目をそむけ、国民の生命、健康よりも経済発展を優先させた国の責任を不問に付すものであって、許し難く、信じ難い暴挙である。 また、本判決は、国の不作為の責任を認めた筑豊じん肺最高裁判決以降の一連の司法判断の流れに全く逆行する極めて不当な判決である。そして、アスベストによる深刻で悲惨な生命、健康被害という最大の人権侵害を目の前にしながら、これを救済しなかったものであり、法的正義の実現と人権救済の砦としての裁判所の役割を自ら放棄したもので、強く非難されなければならない。
原告団、弁護団は、満身の怒りをもって、大阪高裁第14 民事部の裁判官らに対して、本日の不当判決に抗議する。

4  (:決意部分)
私たちは、大阪泉南アスベスト国賠訴訟の1陣訴訟、および 2 陣訴訟(原告 55人、被害者 33人) そして裁判を提起することなく亡くなった被害者ら、さらには、アスベスト被害で苦しむ全国の被害者のためにも、本日の不当極まりない判決に屈することはできない。
本日の不当判決にかかわらず、国に国民の生命・健康を最大限尊重し、守る憲法上の責務があることは疑いないことである。また、泉南アスベスト被害の早期救済と解決を求める声は今や広範な世論である。 原告団、弁護団は、不当判決に対して直ちに上告するとともに、引き続き、国に対して、泉南アスベスト被害の全面解決を求めて最後まで闘い抜くことを決意する。

以上。