こんな夜に、おまえに会えないなんて!② | 女子力向上!一日一歩、三日でやっぱり一歩。

こんな夜に、おまえに会えないなんて!②

絶対この人がいい。
から
この人じゃなきゃやだ。までに0.5秒。
地元に残してきた遠距離の彼女がいるのを知ってむしろ脱臼するくらいの勢いを持って脱
力するまでに0.3秒。
いや遠くの古女房より近くのニューカマー!っつって自分を奮い立たせるまでに0.1秒。

10秒以内。即効で狙いを定めてからは慎重に。いちいちかいてたら確実に字数オーバー。

なんで飛ばして、結果として、私は彼と、デートできるまでは、いった。

かかった時間は1年間。
出せる限りのものは出し切った。
出さなくていいものも少々。

映画見に行って、お酒飲んで、だんだん二人の距離が近づいて、
そのうち、手を握ったり、抱き合ったり、とかがあって。

あと、一歩だと思ってた。

でも、その一歩はいつまでたっても進まなかった。
私も、彼も、後一歩、と
思しき場所で、立ち止まったままだった。

やがて、私は諸事情で会社を辞めて、会ったり、連絡する感覚がだんだん遠くなり、
新しい環境に四苦八苦したりして、
進まない関係にいらだち始めて、本当に好きだったのかももうわからなくなってきて、
ある日、私は彼の連絡先を携帯から削除した。

違ったんだ。そう思って。

いつまでも引きずっててはだめだと。

連絡をとらなくなってから、3年たって、
別の同期から、同期が辞めるからと、送別会のお知らせが来た。
出席者の中に彼の名前があった。
もうぜんぜん思い出さなかったのに、
自分でもびっくりするくらい張り切った。
そして私はかつての同期の集う、1年半で退社した私にとっては、ある意味アウェーな場所へ向かった。

なんでだろう。なんでだろう。
どうしてなのか、私にはひそかに自信があった。
彼は今も私を気にかけてくれていると。
3年間1度も連絡をくれなかったのに、なのに。

お座敷に通されて、一番に彼の姿を探した。
変わってない。あいかわらず、にこにこと、ヒトの話を聞いている。

私は目を、あわさなかった。
自分から、声をかけたりしなかった。
かつては好きだったけど、今はそうでもないのよ。
私、今はほかに楽しいことが色々あるんだよ。
そんな風に、いたかった。
そして、彼はそんな私を見て、必ず声をかけてくれるはずだと、
馬鹿みたいに、信じてた。

いや、声はかけてくれた。
トイレにたったとき、後ろから、彼もやってきて、
「元気?」って、聞いてくれた。
「○○君こそげんき~。」なんて軽い感じにかわしながら、
私は、「ほら!やっぱり!」って思ってた。

席が離れてたから、あんまりそれからも話せなかったけど、
お店を出たら、話しかけようと思ってた。
二次会では、隣に座って、色々話しちゃおうなんて思ってた。

だって、久しぶりに会って、やっぱり、昔いいなあ、って思ってたところが変わってなくて、
だから今度こそ、残りの一歩が踏み出せるような気がしてきてたから。

でも彼は、二次会には来なかった。

自転車でさわやかに、あっさりと帰っていった。

「えー!帰っちゃうの?」っていったのに。いったのに。

かつて同期だったみんながなぜか引き止めることもなく、

彼を見送って、二次会会場へ移動を始めた。

私は、そばにいた子に、「なんでかえっちゃったんだろ~」って聞いた。

「まあ、結婚してるしね~。」

え?

「マア、ケッコンシテルシネ~。」

エ?

ケッコン?

・・結婚。(血痕・・・?)

彼は、結婚したんだという。

周りの「え?ぺこしらなかったの??」がいてえ。

「あんなに仲良かったのに~」がいてえ。

あーーーーーーーー。

結婚、かあ。

考えてみれば、27歳。

不思議でもなんでもない。

実際ほかの同期たちも聞いてみると、結構結婚してた。

呆然。

自分でその呆然っぷりに呆然。

そのあと、彼のいない二次会ではどうやって帰るかばっかり考えてた。

考えすぎて、こっそり帰る間際にドリンク倒して、おもっきし、場の雰囲気を変えて帰った。

家から遠い。遠すぎる街から、どうにか帰る途中。

頭の中をぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。

いろんなことがめぐる。

私が何一つ変わらないまま、新しい恋もいまだにみつからず、

ただただ、だらだらと過ごした3年間に、

彼は、恋をして、たぶんたまにはケンカもして、そして仲直りをしたりして、

きっと色々考えたりして、大事な決断をして、

誰かと、人生をともにしていたのだ。

なんだそれ。

なんだそれ。

私だけをおいて、世界はそんな風にめぐっていたのか。

私だけが、いつでも、後一歩の場所から抜け出せず、ぐずぐずしてる、

その間に、世界は、勇気をもってその姿を変えていっていたのか。

・・結婚したのは、あの遠距離だった彼女なのかな。

そういえば、二人であってるとき、私は一度も、彼女の話を聞かなかった。

二人で並んでご飯を食べてるとき、手をつないで一緒に花火を見てるとき、

そんなときでもいつでも気になっていた。

それはもう、ものすごく。

でも、一度も聞けなかった。

彼女とまだ続いてるの?とか、聞きたかったのに、怖くて聞けなかった。

私はいつだって、自分を守るのに必死で、必死すぎて、

大事なことを知るのをやめてしまう。

そして、私の恋はいつだって始まりもしない。

「好き」っていえばよかった。

って何度思っただろう。

いえばよかった。ああすればよかった。こうすればよかった。

私の恋はそんな後悔の集積でしかなくて、

だから、私の恋はいつだってうまくいかない。

始まりもしない恋は、終わらせることも出来なくて、

やがて、こんな風に、外部からの強制リセットを食らう。

失ってから気づく恋もある。

というならば、私の恋はすべてがそうだ。

どんな風にすきだったか。

どんなに、好きだったか。

一緒にいる時間が、どれくらい楽しかったか。

一緒にいるとき、どれくらいうれしかったか。

手が離れる瞬間が、どれくらい悲しかったか。

本当は、どれくらい、なくしたくないと切実に、祈っていたか。

いつだって、こんなふうに、私の恋は、うまくいかない。

それはもう、あんまりにも確固とした事実のようで、

私が私であることの一翼を担っているような、そんな気持ちになる。

私の恋が、うまくいかない。

のではなくて、

うまくいかないのが、私の恋。

それでも、いつか、と思う。

でも、そんなことを一番強く思うのは、

それを失った夜だったりするのだ、やっぱり。

あ~長い。怖いくらい長い。

この文章の長さで、自分がどれくらいショックをうけてたかがわかるのがちょっといや。

さて、最後に。

かつて、確かに好きだった彼が、人生を共にする人と、シアワセでありますように。

・・・って思わないわけではないけど。